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『あんぱん』第97回 多方向の矛盾に引きずり回される今田美桜のイメージダウンが止まらない

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今田美桜(写真:サイゾー)

 冒頭からなんだよ。会社員時代はマンガの仕事めっちゃあって、退職したら急になくなって、今日は最初から黒板を埋め尽くすスケジュール。いったいなんだ。何がやりたいんだコラ。たこコラ。

『あんぱん』5年間がチャラになる

 ホントに大丈夫なのこれ。別の2人が1日おきに交互に脚本書いてて、その2人がすごく仲が悪くてお互いの脚本をブチ壊してやろうとしているかのような、もう矛盾ともいえない、意図的な嫌がらせにも感じられる今日のアバンです。

 と思ったら、ウソなの? ウソの打ち合わせと〆切の日程を黒板に書いてたの? なんなのぉー、もう! あのねこっちは嵩(北村匠海)の仕事があるのかないのか、まったく判然としていないわけですよ。そういう状態で変なことしてくんなよ。信じらんないよ。

 そんで、のぶさん(今田美桜)は「ほいたらね」つって出勤したらクビだって。雇用形態どうなってんの。

「お互いのために、これがいちばんいい方法なのよ。ここにいても、あなたの探してるものは見つからないわ」

 なんそれ。あんたが「路頭に迷わないように」って世話したジョーガサキショージの社長秘書をやれば、のぶの探してる「逆転しない正義」が見つかるとでも? どういうやつなんだよジョーガサキショージ。もうむちゃくちゃだよ。

 あのね、今回のぶさんが解雇になるプロセスですけどね、5年も6年も二人三脚で働いてきた人が「なんか最近、反発してくるな」と思った鉄子(戸田恵子)がですよ、偶然、街角で会ったのぶの旦那に「のぶは逆転しない正義を探してる」って言われて「それは初耳! クビだわ!」ってことですよ。

 のぶは信念を通した、それが鉄子の信念と相容れなかった。そういうことをやりたいのはよくわかる。でも、こっちはのぶが信念を通した場面なんて昨日、勝手にスケジュールを変更して施設の人と面会させたくらいなもんで、この6年間何をやってきたのか全然知らんのよ。

 話し合え。とにかくおまえたち全員、ちゃんと話し合ってくれ。結論だけ見せるな。ドラマ見せろ。アバンだけで10回ゲロ吐いたわ。

 NHK朝の連続テレビ小説『あんぱん』第96回、振り返りましょう。

落ち着いていきましょう

 案の定、即日解雇のようで、のぶさん今日は早く帰宅して大根など切っております。世良さんが辞めたときは数週間前から引き継ぎやってたようだけど、今回はあのシゴデキっぽい秘書さんへの引き継ぎはないんですかね。こういうのも「のぶ、いったい秘書として何をしてたのか」という疑問に拍車をかけるところです。

 そういう乱暴なことをやっておいて、ドラマは鉄子と八木ちゃん(妻夫木聡)のセリフを通して、のぶに「清らか」という評価を与えます。『あんぱん』では前代未聞の評価軸である「清らか」。何がどう清らかなのか、清らかってなんなのか。Oxford Languagesの定義によれば「清い様子」「けがれがなく美しい様子」だそうですよ。

 私個人的な意見としましては、のぶさんが教職を放り出したことも、新聞記者の仕事を通して救おうとしていた高知の子どもらぁを放り出したことも、次郎さんとの思い出いろいろを放り出したことも、全部「けがれ」だと思ってますよ。それは別にいいじゃん、人なんだから「けがれ」を背負って生きてたっていいよ。なかったことにすんなって話なんだよ。その「けがれ」をなかったことにしたら、「けがれ」と共にあった美しい瞬間さえ消えてしまうんだよ。またヒロインの人生がリセットされるんだよ。

 こんな空虚な使われ方をしてしまう日本語「清らか」。「清らか」がかわいそうだ。「清らか」に謝ってほしい。

トリックスターに会いに行くなよ

 さて今日は愛すべきトリックスター登美子さん(松嶋菜々子)の出番が多かったわけですが、トリックスターにヒロイン自ら会いに行くなよって話なんですよ。登美子さんというのは、急にどこからともなく舞い降りてひっちゃかめっちゃかにして消えていくからこそ楽しい人なのであって、簡単に会いに行けちゃうと魅力がなくなるのですよ。

 会いに行った理由もよくわかんないし、登美子も当たり前のことしか言わないし、「あの日に戻りたい」とか言われてもこの人が千尋を養子に出した経緯も知らないし、今日の登美子はやっぱり全然おもしろくない。

 そんで、のぶの「大志」とやらは見事に「議員秘書として子どもらぁを救う」から「逆転しない正義を探す」にすり替えられましたね。なんだか正義が逆転してる気がするんですけど、どうなんですかね。

 あと「失業した」とか言ってますけど、なんでジョーガサキショージの仕事は断ったんですかね。「嵩を支えたい」と「就職を斡旋されたけど断る」は大いに矛盾してるんじゃないですかね。どういう思考回路なんですかね。

 今日のこの登美子の登場は、「のぶが秘書をクビになったことを嵩に言えない」→「登美子のおかげで言える心境になった」という話をやりたいがためなんでしょうけど、その前提がおかしいからなんの意味もないんです。その前に仕事あるんだから働けよ、ムカつくんだよ。

 これ、ホントに今田美桜の印象悪くなるな。せっかくオーディションまで受けて通ったのに、俳優ってのも因果な商売スネ。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

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どらまっ子AKIちゃん

どらまっ子。1977年3月生、埼玉県出身。

幼少期に姉が見ていた大映ドラマ『不良少女と呼ばれて』の集団リンチシーンに衝撃を受け、以降『スケバン刑事』シリーズや『スクール・ウォーズ』、映画『ビー・バップ・ハイスクール』などで実生活とはかけ離れた暴力にさらされながらドラマの魅力を知る。
その後、『やっぱり猫が好き』をきっかけに日常系コメディというジャンルと出会い、東京サンシャインボーイズと三谷幸喜に傾倒。
『きらきらひかる』で同僚に焼き殺されたと思われていた焼死体が、わきの下に「ジコ(事故)」の文字を刃物で切り付けていたシーンを見てミステリーに興味を抱き、映画『洗濯機は俺にまかせろ』で小林薫がギョウザに酢だけをつけて食べているシーンに魅了されて単館系やサブカル系に守備範囲を広げる。
以降、雑食的にさまざまな映像作品を楽しみながら、「一般視聴者の立場から素直に感想を言う」をモットーに執筆活動中。
好きな『古畑』は部屋のドアを閉めなかった沢口靖子の回。

X:@dorama_child

どらまっ子AKIちゃん
最終更新:2025/08/12 14:00