長濱ねる、フラーム移籍で大化けの予感 賛否分かれる演技力はどう進化する?

元欅坂46で女優の長濱ねるが、芸能事務所「フラーム」に移籍したことを発表した。同事務所は戸田恵梨香、有村架純、吉瀬美智子ら多くの人気女優を擁し、近年は田中みな実や吉岡里帆、白石聖らが他事務所から移籍。所属タレントが軒並み活躍していることから「今もっとも勢いのある芸能事務所」と称されている。
長濱については、かねてから演技力に対して賛否両論があったが、フラームに移籍したことで女優業にどのような影響があるのか。業界事情に詳しい芸能記者が分析する。
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精鋭ぞろいのフラームに移籍でどうなる?
長濱は5日、事務所公式サイトなどで「このたび、Seed&Flowerを離れ、フラームに所属することになりました。10年という節目を迎え、自分自身のこれからを見つめ直す中で、お芝居により深く向き合いたいという思いが芽生えました」と報告。女優業に邁進したいという思いから、移籍を決めたことを明かした。
また、SNSでは前事務所のSeed&Flowerに言及。「Seed&Flowerで過ごした10年間は、何ものにも代え難い大切な日々で、この先も自分を支え続けてくれるものだと深く実感しております。愛情深く、常に相談しながら最善の道へ導いてくださったチームの皆様のおかげです。これまで関わってくださったすべての皆様に、心より感謝申し上げます」と感謝の思いをつづっている。
長濱は2015年に「けやき坂46」(現・日向坂46)として活動を始めた後、欅坂46(現・櫻坂46)のメンバーとしてデビュー。2019年にグループを卒業してからは、NHK朝の連続テレビ小説『舞いあがれ!』やテレビ朝日系『警視庁アウトサイダー』、フジテレビ系『ウソ婚』、今年1月期に放送された日本テレビ系『アンサンブル』など数々のドラマに出演し、女優としてのキャリアを積み重ねてきた。
前事務所は櫻坂46や日向坂46、その卒業メンバーが所属しており、いわばアイドル事務所。多くの人気女優が在籍するフラームへの移籍は、長濱の「もっと女優業を極めたい」という思いからだと想像できる。
フリーアナウンサーだった田中みな実がフラームに移籍し、女優としてのポジションを確固たるものにするなど、フラームのマネジメントは業界内でも評判だ。吉岡里帆ら他の「移籍組」がフラームを選んだのも、マネジメント能力の高さを知ってのことだろう。
なぜ演技力の評価が賛否分かれたのか
ただ、ネット上では長濱の「女優路線」について懐疑的な声もある。それというのも、かねてから彼女の演技力については「アイドル出身と思えないくらいうまい」「芝居の才能がある」といった称賛の声がある一方、「演技が作品にまったく合ってない」「演技が下手すぎてびっくり」などと厳しい意見もあり、賛否両論となっていたからだ。
実際、長濱の演技はうまいのか、下手なのか。業界事情に詳しい芸能記者はこう解説する。
「長濱が女優として本格的に活動を始めたのは、2022年度後期のNHK朝ドラ『舞いあがれ!』。第4話から最終回までキャストに名を連ねた。長崎・五島列島が舞台の一つになったが、実際に彼女が幼少期を過ごした場所でもあるので方言がナチュラルで、それを生かして人懐っこいキャラクターを好演した。劇中では、長く長距離恋愛をしていたい男性と結婚するが、徐々に落ち着きのある雰囲気に変化していくことで、数十年にわたる時の流れを上手く表現していた。それまでの連ドラ出演は欅坂46のメンバーとしてだけだったので、これほど演技力があったのかと驚かされた。
同時期に放送された『警視庁アウトサイダー』では、アニメオタクで神コスプレイヤーの『コメビカリ様』という別の顔を持つ警務課の巡査長を演じた。ぶっ飛んだキャラクターだったが、アイドル時代のイメージを彷彿とさせる役柄だったこともあり、こちらもキャリアの浅さを感じさせないほどうまくこなしていた」
女優としてのキャリア初期から高評価だったようだが、なぜ否定的な意見も多くあるのだろうか。前出の記者が言う。
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「否定的な評価の一因となっているのが、2023年に初めてキラキラ恋愛ドラマのヒロインを演じた『ウソ婚』。同作で演じたのは、菊池風磨演じるドSでモテモテの一級建築士と『半年限定の婚姻関係』を結ぶお人好しの派遣社員という役柄だったが、あまり長濱にはハマっていなかった。現実離れしたストーリーに気負いもあったのか、内面を表情で表現しようとするあまり、わざとらしさが鼻につき、それとは対照的にセリフ回しは単調で、稚拙な演技という印象になってしまった。
同ドラマは人気コミックが原作で、菊池風磨と渡辺翔太(Snow Man)が共演したこともあり、視聴率は好調だったものの、原作ファンからの評判は良くなかった。また、2024年にヒロインを務めたフジテレビ系『院内警察』では、桐谷健太演じる主人公の刑事に振り回される新人事務員を演じたが、コミカルさとシリアスさを兼ね備えたドラマにあって、自然な演技の長濱はインパクトに欠けていた」
フラーム移籍で「大化け」の可能性
しかし、長濱はそうした作品を経て成長し、着実に演技力を高めているという。前出の記者が続ける。
「『院内警察』以外にも、2024年は精力的にドラマに出演した長濱は、タイプの違う作品で様々なキャラクターを演じることで、演技の幅を広げていった。初の月9ドラマ出演となった『366日』(フジテレビ系)では、特別養護老人ホームで介護福祉士として働きながら理学療法士の資格を取るために奮闘する女性をひたむきに演じ、『若草物語-恋する姉妹と恋せぬ私-』(日本テレビ系)では堀田真由、仁村紗和、畑芽育との4姉妹役で息の合った芝居を見せた。
中でも綾辻行人原作のHuluオリジナル『十角館の殺人』の演技は出色の出来栄えで、くせ者ぞろいのメンバーばかりのミステリ研究会メンバーの一人として、サスペンスを盛り上げた。今年も『アンサンブル』(日本テレビ系)で、恋愛体質でムードメーカーのパラリーガルをはつらつと演じたかと思えば、桐谷健太と再タッグを組んだ『いつか、ヒーロー』(テレビ朝日系)では小さいころから親に虐待され、中学時代には性的虐待も受けていたという壮絶な過去を持つ女性を繊細に演じ、新境地を開いた」
フラームへの移籍により、今まで以上に「女優・長濱ねる」の進化が期待できそうだ。前出の記者はこう力説する。
「芸能活動を始めて10年目の長濱だが、芝居を活動のメインに据えてからは4年ほどなので、まだまだ女優としては発展途上にあるが、着実に成長を続けている。デビュー当時から所属していたSeed & Flower合同会社は、櫻坂46と日向坂46のために設立された会社なので、卒業後にソロで活動するために適しているとは言い難かった。実際、同事務所に在籍する卒業メンバーの加藤史帆、丹生明里、佐々木久美の活動を見ても、バラエティやドラマの仕事は多いものの、映画や舞台は皆無に等しい。長濱についても、女優としての大きな成長につながる映画や舞台の仕事は拘束時間が長いためか、一つもなかった。
2023年にSeed & Flower合同会社からトップコートへ移籍した元櫻坂46の菅井友香は、バラエティのMCやドラマの主演を務める一方で舞台にも出演。今年は『怪獣ヤロウ!』、Koki,主演の『女神降臨』シリーズと出演映画が相次いで公開となり、来年は『豊臣兄弟!』で大河ドラマ初出演を果たすことが決まるなど、移籍前よりも明らかに女優として多忙になっている。『豊臣兄弟!』のまつ役はオーディションで勝ち取ったものだが、菅井の演技への強い思いもさることながら、多数の人気俳優を抱えるトップコートのバックアップあってこそなのは間違いないだろう。
長濱の新天地となるフラームも女優ファーストの事務所で知られ、近年は吉岡里帆、白石聖ら旬の女優たちがこぞって移籍し、それまで以上の活躍を見せている。すでにタレントとしては確固たる地位を築いている長濱だが、女優として飛躍するには、うってつけの事務所といえるだろう」
これまでは演技力について賛否分かれていた長濱だが、フラームに移籍したことで環境が整い、女優として大化けする可能性もありそうだ。
(文=佐藤勇馬)
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