咲村良子プロレス挑戦記32「ホントにしんどいヤツ」

咲村良子連載第32回
「ヴィランの花道 ~咲き乱れ 散りゆくままに~」
ハードでタフな憧れのプロレスラー達。
みんな、同じ人間かと疑いたくなるような個性豊かなプロレスラー達もちゃんと人の子。
もともとは私たちと変わらぬ普通の人だったことを思うとまた新たな驚きがある。
そんな規格はずれな人間の職業プロレスラーにはどうやってなるのか?
そう、みんな最初は“練習生ちゃん”だった。
そこから地獄のような練習を耐え抜き、さらに「プロテスト」に合格しないとプロレスラーにはなれない。
Xのタイムラインに最近、気になる動画が流れてきた。
それはスターダムの入門テストの映像。
女の子達が腕立て伏せや、腹筋したり、回転運動をしている。
その映像に映っているのは『普通の女の子』ばかりで、キラッキラのスターダム選手たちとはかけ離れた姿だったが、この中から入団を認められ、練習を耐え抜き、プロテストに合格して未来のスターとなったら、いつかお宝映像になるかも。
ただ、練習生になれたところでプロレスラーになれると約束された訳ではないことがプロレスの厳しいところだと思う。
たくさんの人がプロレスラーを目指して諦めてもいく。
デビューまでの過程を経験した者としても、もう…二度と通りたくない…くらい厳しかった。
たくさんの練習があるけれど、やっぱりひとつ大きな関門は基礎トレーニングだと思う。
スクワット300回から始まるような筋トレをこなさないといけない。スクワット、腕立て伏せ、腹筋、首の筋トレ、ブリッジといった内容を連続してこなさないといけない。
練習生時代ほんとにこの筋トレがしんどかったー。
当たり前に先輩達と同じメニューをこなさないといけないけどもちろんそんなのできる訳ない。
特にスクワットは回数多い。
やってもやっても永遠に終わらないんじゃないかと思えてきて辛かった。
プロレスラー特有のものだと首の筋トレが私は一番嫌いだった。
いくつかやり方はあるけど全部嫌いだった。
ひとつはリングの端から首を出して上下に、左右に首を振ってそのあと1分間キープというもの。1分キープの時、首が辛すぎて足をバタバタしながら耐え抜いた。
もうひとつは「首押し」と言われてるもの。
四つん這いになったところを上から抑えられながら上下に動かしたり、横向きに寝てまた首を抑えられながら上げ下げする。
厳しい先輩に押されると首の筋がおかしくなりそうだった。
思い出しただけでもしんどい…。
そんなこと考えてたらしんどい筋トレをもうひとつ思い出した。
それは「腹踏み」。
もう名前から怖い。絶対しんどい。
ご想像のとおり、仰向けに寝たところにズカズカ人がお腹に乗って足踏みする腹筋です。
気を抜くとほんとに死にそうになる。
久しぶりにしんどい練習を思い出した。
思い出すだけでもうしんどい。
そんなしんどい練習を乗り越えてるからこそあんな超人的な試合が実現するんですね。
私もまだまだ筋力足りないので初心に帰って頑張ります。
まだまだ鍛えろ咲村良子。
(文=咲村良子)