フワちゃんに宮迫博之、渡部建の民放キー局地上波番組復帰のハードルは?

電気グルーヴのピエール瀧の民放地上波キー局復帰が話題となっている。
ピエールは2019年3月にコカインを摂取したとして麻薬取締法違反罪で逮捕され、その後に懲役1年6カ月、執行猶予3年の有罪判決を受けた。
20年2月には俳優業に復帰し、以降はNetflixの人気作品『サンクチュアリ -聖域-』や『地面師たち』などでの好演が印象深いが、テレビの地上波番組でその姿を見ることはなかった。
そんな中、今年9月28日に放送された日本テレビ系『メシドラ 〜兼近&真之介のグルメドライブ〜』にゲスト出演し、約6年半ぶりに地上波復帰を果たした。
近年では私生活に関する報道が世間の物議を醸し、地上波番組とは距離ができていた芸能人のテレビ復帰が注目を集めることも多い。
以前に金塊強奪事件容疑者との写真騒動などが耳目を集めた手越祐也は昨年10月に『世界の果てまでイッテQ!』(同局系)に出演し、今年9月14日放送の同番組の2時間スペシャルにも登場している。
また、2023年8月に友人女性と韓国を訪れた際、現地のホテルなどで指定暴力団の現役幹部らと行動を共にしていたことを「FLASH」(光文社)に報じられた加護亜依も9月22日放送のテレビ朝日系『くりぃむナンタラ』に出演。
人気企画「裸の王様チェック」に登場した加護は元AKB48の峯岸みなみとともに参加した架空の番組の打ち合わせの場で「禁煙場所で電子タバコを吸いながらスタッフと番組打ち合わせ」や「ディレクターにタバコを買いに行かせる」、「怪しい社長とのバーベキューに峯岸みなみを誘う」など自身の過去のスキャンダルを逆手に取った演出で“非常識な先輩”を演じて番組を盛り上げた。
加護は報道後、自身のユーチューブチャンネルの動画で、韓国旅行前に暴力団幹部に「お会いしたことは一度もございません」と否定。
「反社ということはまったく知らなかった。名前も存じ上げませんでした」などと記事について説明し、同誌や続報する一部メディアに対して法的措置を検討していることも明かしていたが、トラブル沙汰を嫌がったり、悪く言えば「事なかれ主義」が蔓延する昨今のテレビ業界において地上波番組出演のハードルは決して低いものではなかったはずだ。
実際、番組制作会社に勤める知人は語る。
「昨今のテレビ業界において反社との交際疑惑は致命傷になりかねません。手越さんに関してはだいぶ時間も経っていますからまだ分からないではないですが、加護さんについては本人が疑惑を否定しているとはいえ、報道からわずか2年というかなり短い期間での出演となりましたし、番組の演出内容も含めて正直驚きました」
他方、かつては地上波番組で派手な活躍を見せていたものの、いまだに復帰を果たせていない者もいる。
18年に“多目的トイレ不倫”を「週刊文春」(文藝春秋)に報じられたお笑いコンビ・アンジャッシュの渡部建はネット番組やYouTubeチャンネルなどでは一時期よりもその姿を見る機会は増えたが、いまだに本格的なキー局の地上波番組には出演できずにいる。
今年7月には妻の佐々木希が同局系『1周回って知らない話』(日本テレビ系)に出演して夫の不倫騒動当時の心境を赤裸々に告白したことで、「夫の地上波復帰への追い風になるか?」といった見方も一部ではあったが、現状を鑑みるにそこまでの影響は見て取れない。
また、19年の「闇営業騒動」により吉本興業から契約を解消され、21年8月にコンビを解散し、以降はYouTubeチャンネルを中心に活動を展開している元雨上がり決死隊の宮迫博之も昨年10月にテレビ埼玉の『Beauty Man~宮迫博之イケおじ宣言~』で5年ぶりに地上波復帰を果たしたものの、いまだ民放キー局の番組への出演は実現していない。
宮迫といえば、今年9月11日放送のテレビ朝日系『アメトーーク!』に“天敵”とも言えるお笑いコンビ「霜降り明星」の粗品が出演した際、自身がMCを務めて昨年放送されたフジテレビ系『FNS24時間テレビ』を成功させるため、宮迫との共演を同局の番組スタッフに打診したところ「本当に無理です」と拒絶されたと告白していたことが記憶に新しいが、バラエティー番組を手掛ける放送作家はこう話す。
「結局のところ番組出演者の選定については各局統一の確たる基準というものはなく、それぞれの局の判断に委ねられているというのが実状です。過去に違法薬物で逮捕されていようが、反社との交流疑惑が浮上していようが局がゴーサインを出せば出演はできますし、逆に大した問題を起こしていなくても多くの視聴者の強い反感を買いそうならアウトということです。最近復帰したピエールさんについては映画や動画配信サービスの作品での俳優としての活躍が評価されてのことでしょうし、加護さんに関しては番組企画のニーズとマッチした結果でしょうけど、いずれにせよ番組に起用しても視聴者からの抗議といった大きなハレーションは起きないだろうという局サイドの見方が前提にはあるでしょう」
芸能人が人気商売である以上こうした判断基準はある意味で当たり前なのかもしれないが、さらに先の放送作家は続ける。
「そのうえで、大前提として昭和や平成の頃に比べるといわゆる“いわくつき”の芸能人のテレビ復帰のハードルが高くなっているのは間違いない。昭和の頃なんて人気歌手が違法薬物絡みで逮捕されたり、暴行事件を起こしたりしてもそれほど長くない謹慎期間を経て音楽番組に復帰したりしていましたからね。それが好感度や私生活を売りものにするタレントが増えて、芸能界と一般社会との距離感が縮んで芸能人にも世間的な常識や倫理観が求められるようになる中、不倫沙汰ですら芸能生活において致命傷になりかねないものになってきています。それにインターネットやSNSの普及で視聴者の著名人や芸能人への批判がテレビ局だけでなく、番組スポンサー企業への抗議といった形など表面化しやすくなっている影響も無視できないと思います」
テレビ局のこうした現状を鑑みれば、やす子へのSNSを介した暴言が物議を醸し、昨年8月から芸能活動を休止する中、ここに来て復帰が取り沙汰されているフワちゃんについてもそのハードルはかなり高そうだ。
「フワちゃんに関しては有吉弘行さんやみちょぱさん、シソンヌの長谷川忍さん、伊集院光さんらが番組で名前を出しただけでネットやSNS上では嫌悪感をあらわにする意見が噴出していますからね。とくに犯罪をおかしたわけでもなく、“被害者”のやす子さんもすでに謝罪を受け入れているにもかかわらずこの有様ですからテレビ局としても番組起用には相当の覚悟がいるでしょう」(同放送作家)
渡部や宮迫、フワちゃんのいばらの道は続きそうである。
(取材・文=三杉武)