87かぼちゃ流SNS戦国時代のセルフプロデュース術「フォロワーが増えない」への処方箋

猫も杓子もSNSの時代。政治もスポーツもアイドルも、SNSなくしては勝機をつかめない。
その一方で、SNSをうまく活用できれば一躍スターダムに躍り出ることも可能。1本の動画がバズって即デビューなんて話も珍しくないのだ。
まさにSNS戦国乱世。何かで頭角を現そうとするならば、SNSは当然のように必須のツールとなっている。
しかし、誰もが簡単にバズれるわけでもないのは言わずもがな。必死こいて作った渾身の動画がうんともすんとも言わないなんてザラにある。
そこで今回は人気男性インフルエンサーの87かぼちゃ(はなかぼちゃ)さんを直撃。SNSを始めたきっかけや普段のコンテンツ制作で意識していることなど、セルフプロデュースのコツを聞いた。バズりたい人、世に出たい人、必見のインタビューになっているので、インフルエンサー予備軍の方々にはぜひ参考にしてもらいたい。

【87かぼちゃ(ハナカボチャ)】
コスプレへの強いこだわりと高い表現力に定評のあるYouTuber。ユニークな作品からクールな作品まで、見るものを飽きさせない投稿で人気を集める。YouTube@87kabocha / X@87kabocha / Instagram@87kabocha / TikTok@87pumpkin
コスプレの原点は学祭での女装
――富山を拠点に活動している87かぼちゃさんですが、コスプレを始めたきっかけは?
87かぼちゃ 大学生の頃、学祭で女装をしたことが最初のコスプレでした。大学卒業後、会社員として働いている中で何か趣味がほしいなと思った時に、女装して楽しかった経験を思い出したんです。
――仕事がつまらなくて本格的に活動を始めた有名レイヤーさんって、確かにけっこういるような(笑)。
87かぼちゃ コスプレという趣味を通じて友達もどんどん増えて、いま僕は31歳になるんですが、27歳の頃に思い切って会社を辞めました。そこからはコスプレ1本でやっています。

――会社を辞める時は、すでにインフルエンサーとしてだいぶ軌道に乗っていたんでしょうか?
87かぼちゃ 当時は僕の活動の場もSNSに移り、数字や反応の手応えはありましたが、どちらかというと「挑戦してみたい」という気持ちでしたね。もともと会社を辞めたい気持ちもありましたし、TikTokなども本格的に流行り始めたタイミングだったことも大きかったです。
――なるほど。SNSの使い分けはけっこう意識していますか?
87かぼちゃ メインで投稿しているのはXとYouTubeなんですが、ユーザー層ごとにオタク的な層はX、一般層や若者層はTikTok、コアなファン層はYouTubeという感じで調整しています。TikTokはYouTube動画からの切り抜きが多いんですが、若い子たちが気軽に見られるようなかたちで投稿しています。
――インフルエンサーにとってTikTokってどういうところが特に魅力なんでしょうか? 確かに10代にリーチできるイメージは一般にも強いですけども。
87かぼちゃ TikTokは海外の人などにもカジュアルに見てもらいやすいというのが一番の良いところですね。YouTubeも海外ユーザーはいますが、ある程度、ちゃんと自分に興味を持っている人にしか届けられないんです。逆に言うと、YouTubeはメンバーシップ(有料会員制度)もありますし、すでに自分のことを知ってくれているファン向けにつくっているところもあります。
大切なのはシナリオにはないライブ感
ーーファン層を伺ってもよろしいでしょうか?
87かぼちゃ 僕は女性ファンが多いサブカル的な作品のコスプレが多いので、自然と8割くらいは女性の方ですね。年齢層的には10代〜30代。一番のボリュームゾーンは20代半ばで、次に僕と同世代の30歳前後、10代と続く感じです。
――バズる投稿の傾向って、ズバリありますか?
87かぼちゃ 何がバズるのかはわからないというのが正直なところです。
――わかっていたら誰も苦労しないですもんね(笑)。
87かぼちゃ ただ、最近感じるのは、やっぱりコラボなどが典型的なんですが、何かしら自分以外の要素を取り入れた動画のほうが拡散されやすいかなと。多人数が出演する動画とか、演者が僕一人の動画でも自分の推しキャラを取り上げるとかでも良いんですけど。
――視聴者の入り口が広がるような要素を掛け合わせるイメージですかね。

87かぼちゃ あと、予期せぬ展開が起きるハプニング・トラブル系も鉄板ですね。最初に僕がバズった動画は、『ギャグマンガ日和』の聖徳太子コスプレで撮影していた時に、撮影用のコッペパンをカラスに奪われ、走ってカラスを追いかける動画でした。
――(笑)。いくらでも作り込めるSNSコンテンツだからこそ、出演者の素の表情や現場の空気感が伝わるハプニングなどが起きると、確かにその後の展開も含めて興味を引かれるのかもしれません。
87かぼちゃ コラボに関しても単純にコラボ先のファンに見てもらえることも大きいんですが、僕が一人で考えた動画でリアクションを見せるより、他の人とリアルにやり取りするほうが、嘘偽りない自分の反応が出てくる。お互いのファンだけでなく、より一般層にも届きやすくなる印象もあります。
フォロワーを飽きさせないギャップの考え方
――女性レイヤーの中には瞬間的に画像がバズってもフォロワーが伸びないといった悩みを抱えている人も多いようです。
87かぼちゃ 好きでネタ系のコスをずっとやってきたんですが、バズったらこすっていくことは意外と大事だと思います。僕の場合、イケメンのキャラのコスをしても数字が伸びにくかったという事情もあるんですが……(笑)。ニーズに応えてネタ系のキャラのコスプレに自然と寄っていったところもありますね。
――二匹目のドジョウを狙う的な。

87かぼちゃ ただ、それだけだと慣れて飽きられるので、たまにイケメンのキャラクターも混ぜてギャップを見せるのがコツですね(笑)。ギャップを見せるって、メイク技術などのテクニックや経験も必要で、けっこう難しいんですけど。僕の感覚で言うと、10回中7回は同じことやって、合間に3回違うことに挑戦するんです。その3回の中で比較的反応が良いものを少しずつ育てていきました。
――興味をキープしながら、どんどん派生形を試しているってことですか。策士すぎる……。
87かぼちゃ あと、やっぱりSNSで一番大切なのはコメントや反応ですね。コメントをチェックして要望や提案で良いものはどんどん参考にして、そこに自分の需要が見出していく、という感じでしょうか。
「SNSを心から楽しむことを大事に」
――87かぼちゃさんがSNSで活動を始めた時、参考にしたレイヤーさんっていましたか?
87かぼちゃ かっこいい男性レイヤーで活躍している方はたくさんいましたが、むしろ僕は他の人と被らないことを大切にしてきた感覚ですね(笑)。他の人にないところに活路を探して、MCやトークもできるようになろうとか考えながら頑張ってきました。
――結局、自力で編み出した戦略は最強だなと思いました。身も蓋もないですけど(笑)。いまバリバリ現役で活躍している方にはないものを探す視点は、自分の個性とかを考える上でも大切かもしれませんね。
87かぼちゃ オリジナリティがあれば埋もれにくいのは、やっぱり間違いですからね。

――女性レイヤーはじめ、インフルエンサーを目指す方へ改めて最後メッセージいただければ。
87かぼちゃ 多くの人に見てもらえるコンテンツって、結局、演者本人が楽しんでいることが伝わるようなコンテンツだと思うんです。なので、コスプレを始めた頃の楽しい原体験を忘れず、SNSを心から楽しむことを大事にしてほしいですね。
どんな世界にでもあるような、仕事にすることで生まれる苦労や悩みはコスプレの世界にもありますし、数字に一喜一憂することは仕方ないんですけど。あまり気負わず、どうせなら本気で楽しむ。そのほうが結果的にSNSで輝けるんじゃないなと僕は思います。
(取材・文=伊藤稜)
ネクストコスプレイヤーオーディション
現在、雑誌サイゾーではコスプレ応援アプリ「クラップス」と共に『ネクストコスプレイヤーオーディション』を開催中。すでに予選となる第1、第2フェーズを終え、11月18日より予選第3フェーズが開始となる。
本オーディションは計3回の予選を勝ち抜いた9名(各フェーズ上位3名)によるグランプリ決定戦(2026年1月開催)が行われ、ここでの上位入賞者が雑誌「サイゾー2026年5月号」(3月末発売)で撮り下ろしグラビアを飾ることとなる。
SNSを活用したアピール合戦も超重要なオーディション。それはつまりセルフプロデュース能力の戦いとも言える。今回の87かぼちゃさんインタビューが、エントリーモデルたちの一助になることを期待したい。
Claps!とは…コスプレ応援・オーディションプラットフォーム。コスプレイヤーとファンを繋ぐ無料のアプリ。公式ページ https://claps.pro/