M-1準決勝30組、バカリズム朝ドラ脚本、第2回ゴールデンコンビ……【週刊お笑い雑話】

今週あったお笑い界隈の話題をピックアップ! ライター・新越谷ノリヲと担当編集Sが勝手にしゃべります。お聞き流しのほどを~。
M-1準決勝30組
新越谷 M-1架空コンビ選手権ってなんですか?
編集S 知りませんよ。なんか新企画みたいですね。M-1もAI活用の時代が来た、みたいな。
新越谷 まあそれは別にいいんですけど、コンビのプロフィール写真のとは別で「お笑いパラメーター」っていうのも出てくるみたいじゃないですか。
編集S 架空コンビの能力値を五角形で示してるやつですね。
新越谷 その能力値の項目なんですが、「ボケの破壊力」「ツッコミの精度」「演技力」「独創性」はいいとして「テンポ」っていうのがあるわけですよ。この5項目を「漫才の能力値である」と決めたのはたぶん、AIじゃないですよね。
編集S まあ、そうでしょうね。人間でしょうね。
新越谷 で、M-1の公式企画ですから、M-1はこの5項目が漫才の能力値の基準であると明言してしまってることになる。迂闊だなと感じるわけです。M-1はその基準を「とにかくおもしろい漫才」と言っておきながら、公式企画で「この5項目が漫才の能力値である」と言ってしまっている。テンポとか言うならちょんまげとフースーヤを落とした意味がわからない。
編集S そんな、お遊び企画に目くじら立てなくても。
新越谷 そうなんですけど、今回のこれを見てて、お笑いはAIを上手に扱えるんだろうかということを考えたわけです。いろんなジャンルがAIに侵食されてきて、実際に俳句の大会なんか「AIと判別がつかない」という理由で廃止になったりしてるわけじゃないですか。
編集S はい。
新越谷 それで、今の技術なら例えば1回戦のTOP3動画にAI漫才師が混じってたら、たぶんわかると思うんです。音消して見たらわからなくても、漫才はまだAIには作れないと私たちは思っている。だから、今回の架空企画がしょーもないものに見えている。
編集S そうですね。
新越谷 でも、いつか完全AI生成の漫才が私たちを笑わせる日が来るかもしれない。というか、たぶん来るんでしょう。AIの精度が上がっていく過程で、お笑いだけが聖域であり続けることはできないと思うわけです。そうなっていく時代の中で、今回の企画の雑な五角形の評価基準を照らし合わせたときにですね、AIを使う側の解像度が低いと悲惨なことになるだろうなという予感を感じたわけですよ。
編集S あのー。
新越谷 はい。
編集S 普通に30組の話しません?
新越谷 あっ、やっぱそうですよね。
編集S そうです。どうですか? 134組からあっという間に30組に絞られたわけですが。
新越谷 なんというか、様変わりを感じますね。令和ロマンが抜けて、マユリカとバッテリィズが出てないというのもあるけど、時代が半歩進んだ感じがする。
編集S 一歩ではなく、半歩。
新越谷 うん、令和ロマンの連覇でリセット感があったけど、思ったほどリセットされた感じはしない。真空もヤーレンズもエバースもちゃんといるし、ミキとヨネダも戻ってきた。
編集S ラストイヤーはカナメと黒帯ですね。2組とも初の準決勝。
新越谷 去年のダイタク同様、間に合ったという感じがしますね。
編集S まだ決勝に残ってませんけど、間に合ったでいいんですかね。
新越谷 なんかここんとこのM-1って、敗者復活と本番を含めて「漫才の日」って感じになってる気がするんですよね。この30組が「漫才の日」に出る人たち。そりゃ本人たちは優勝したいだろうけど、ファイナルに出なくても敗者復活で爪あと残せれば、ちゃんと人生が変わる感じがある。
編集S 敗者復活のルールが変わったことの影響ですかね。
新越谷 それもあるでしょうね。単なる国民投票のときは無名コンビにはまるでチャンスなかったけど、今のルールならワンチャンあるから敗者復活がちゃんと勝負の場になってる。今年の敗者復活はTCクラクションあたりに注目ですよ。
編集S なんで準決で落ちる前提なんですか。
バカリズム朝ドラ脚本
編集S 2027年度前期の朝ドラにバカリズムだそうです。
新越谷 とんでもないよね。
編集S 大出世ですよね。
新越谷 朝ドラやることが脚本家としての出世と言い切るのもちょっとアレだけど、まあすごいところに到達したなーとは思います。そうか、50過ぎたバカリズムは朝ドラを書く人になるのかと。東京ドームを膨らませたりラジオ挫折してた人に教えてあげたい。
編集S どうなんですかね。うまくいくのかな。
新越谷 それについては、かなり心配しております。
編集S 心配ですか、そうですか。
新越谷 ここ1年ほど、ちょっとワケあって朝ドラを毎回ちゃんと見てたんですよ。『おむすび』と『あんぱん』と。
編集S へえ、そうなんですね。
新越谷 で、すげえつまんなかったの。つまんないというか、ドラマとして成立してない部分が多々見受けられたわけです。前に言ったことや行動との矛盾が平気で流れていたり、いつの間にか設定が覆っていたり。
編集S 脚本家の能力が低かったということですか。
新越谷 そんな単純な話じゃなく、だって『おむすび』も『あんぱん』もちゃんと名前のあるベテランが書いてるわけですけど、とてもプロの脚本家が書いたとは思えないような出来だったわけです。そんで、朝ドラにはNHKの統括プロデューサーというのがいるわけですけど、その統括が取材に対して「ボクの好きな言葉をセリフで入れてもらった」みたいなことを平然と答えたりしている。クドカンも昔、信じられないほど直されるというようなことを言っていて。
編集S 脚本に横槍が入る。
新越谷 そうそう、たまたまちゃんと見た直近の2本がダメだっただけならいいけど、朝ドラの体制として脚本が脚本家に任されていないと感じたんですね。今まで、言っても『素敵な選TAXI』には筧昌也が入ってたし、その後の作品もわりとバカリズムにとって書きやすい環境だったんじゃないかなと思うんですよね。そりゃ書くのは大変だろうけど、書きさえすればよかった。こんなのは推測でしかないけど、ある意味で制作が味方だったのが、朝ドラでは敵だらけになっちゃうんじゃないの、と思ってるんです。理不尽なリテイクの嵐にさらされそう。その戦いが見ものといえば見ものなんでしょうけど。
編集S なるほど。大変そうですね。
第2回ゴールデンコンビ
編集S アマプラの『ゴールデンコンビ』第2回が始まりました。
新越谷 この番組好きなんですよねえ。バラエティ特番のさらに贅沢なやつって感じで。テレビだったら長くて3時間くらいしかできないだろうけど、配信だと制限がないから、豪華なテレビって感じ。
編集S 作ってるのもテレビマンですしね。今のところ第1回、第2回が配信されてますけど、どうですか?
新越谷 とにかく川北のよさが出まくってる。この番組ってカット多くて、放送されなかったネタの衣装だけバレるっていうことが第1回であったんですよね。それを逆手にとって、結果発表のときに実際にはやってないネタの衣装を着てるというところなんて、すごい頑張り屋さんぶりが出てるし、押し入れのネタは発想がよすぎて感動しちゃった。あとマユリカ坂本と芝の相性が意外にいいなーっていうのと、せいやのスター性がすごい。
編集S 楽しみですね。配信といえばダウンタウンプラスはその後、見てます?
新越谷 あ、見てないや。
(文=新越谷ノリヲ)
