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『R-1グランプリ』総括 らいぱちのリスペクトとお抹茶の多幸感

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写真:イメージ

今週あったお笑い界隈の話題をピックアップ! ライター・新越谷ノリヲと担当編集Sが勝手にしゃべります。お聞き流しのほどを~。

FIRST STAGE

編集S さて『R-1』ですね、準備はいいですか?

新越谷 あんまりよくないかも。今年は準決勝も見てないし、正直ピンとこない人もいるので。あと霜降りMC降りたんですね。粗品が言ってた「2026年は大きな仕事を降りる、意外かも」って言ってたのはこれなのかな、と今さら言ってるくらいな感じ。

編集S 一番手はしんやです。ピンときますか?

新越谷 存在としてはすごくピンと来るけど、「ラグビー」って言ってんのと、あとはこの間のマヂラブのラジオでけっこうセコいやつなんだなと思ったくらい。ネタとしては、やっぱ『向上委員会』で「ラグビー!」って言ってるくらいしか。でもNSC主席なんですよね。

編集S そうですね、で、どうでした?

新越谷 えー、おもしろかった。

編集S ですよね。

新越谷 なんというか、変にちゃんとおもしろくないのがよかった。食った笑いをしてきてないというか。

編集S というと?

新越谷 発想がキャラを追い越してないので、パッケージとして小さく見えない。サッカーの悪口から入っていろんなスポーツに飛び火していくうちにボキャブラリーが枯渇していく感じとか、その最後に漫才を持ってきた中落ちも、結局ひがんでるだけだったという自己批判になってるし、こいつ本当はラグビーもたいして好きじゃないし、何も好きじゃないんだろうなという人としてのセコさもにじみ出てて、すごくよかった。

編集S あんまり評価してるようには聞こえない言い草ですけど。

新越谷 そんなことないですよ。ネタ終わったとき「おもしろーい」って言いましたもん。あと、市川紗椰がサッカーをディスって「1時間半走り回って1-0って」って言ってる画像、よく回ってくるよね。

編集S それは今、関係ないですね。次、らいぱちです。

新越谷 33期の一番星、ヒガシ逢ウサカ解散からもう6年ですね。

編集S ピンになってすぐ川西のモノマネで『オールザッツ』優勝して、それから少し時間がかかった印象ですね。

新越谷 その川西も和牛を解散してしまって、もう漫才はやらないとか言ってる。

編集S モノマネのつらいところではありますよね。「もうええわ」封印するしかない。でも上がってきましたね。どうでした?

新越谷 おもしろかった。それこそ、めっちゃ食いまくったネタという。ここでいう食うというのは、練るみたいな意味なんだけど。

編集S すごい枚数のパワポ。

新越谷 あと、普通にお芝居がうまい。ツカミまでけっこう時間かかったけど、芝居上手いなーというだけで見ていられるというか。

編集S らいぱちのピンネタって見たことありました?

新越谷 それこそ川西関係以外はほとんどないです。でも、同期のkento fukayaからもちゃんと学べるとこ学び取ってきたんだなという感動的な一面もあるし、すごいよかったと思う。優勝するんじゃないですか?

編集S 結果知ってて言ってますよね。

新越谷 こっちだって知らないで見たかったけど、知っちゃったんだもん。

編集S 次、銀次です。こちらはもう、何をやるか見えてるというか。

新越谷 見えてましたよね。見る前から信頼感があるのは強い。

編集S 仕組みとしては、ほんのちょっと前のドンデコルテの漫才というか。

新越谷 すごいおもしろかったし笑ったんだけど、今の銀次にとってはこういうブラを付けるみたいな“変態っぽさ”みたいなのも、もうちょっとノイジーなのかなと感じました。そんな小細工というか、フックを作らなくてももう、みんな銀次の話を聞きたいモードに入ってる。

編集S なるほど。売れるってそういうことなんでしょうね。

新越谷 そうですね、売れてますね。

編集S 初瀬。こっちももうずっとその衣装なので。

新越谷 言い切るんでしょうね。

編集S 言い切りました。

新越谷 これ優勝するんじゃないですか?

編集S してません。

新越谷 なんでよ、超おもしろいじゃん。

編集S おもしろいですよね。

新越谷 間と顔がたまんないんですよね。言い切りましょう~! から、予想より半拍早く言い切ってくる。あの顔で。もうそれだけでいい。

編集S 展開を作るくだりは客席からも「おお~」の声が。

新越谷 展開を作らなそうな男だという信頼を、あっという間に作ってしまってる。そう思わせるくらい、言い切りの内容が薄い。でも、この男は言い切ることに人生のすべてを捧げている。そして、すごく鋭く言い切ったと思い込んでいる。人間描写ですよ、これは。優勝するんじゃないですか?

編集S 仮にファースト通ったとして、2本目何やるんですか?

新越谷 知らんよ、そんなの。それにしても、一言言っていいですか?

編集S なんでしょう。

新越谷 今年『R-1』おもしろくないですか?

編集S おもしろいですね。さすラビ中田です。

新越谷 我らが井口の弟子っこ。

編集S 弟子ではないですけど。

新越谷 結果、井口が大喜びしそうな感じでしたね。

編集S ややウケ。

新越谷 何だろう、設定も言ってることもおもしろいんだけど、この入りでは部員の顔が見えないんですよね。部員の顔が見えないから、「相手校の監督」という最初のバラシがあんまり効いてこないというか、見てる側が引っ掛かった快感があんまりない。比較するのもよくないけど、らいぱちのさっきのネタは最初の「全員手を上げる」から即、次の一手のパワポ連打で聴衆の顔が見えると同時に、「こいつ誰なんだ」という人物の輪郭が行動によってくっきり浮かび上がるんだけど、中田のネタはそいつの言葉で説明されるだけなので、逆に「おまえホントにそうなの?」と思っちゃう。結局のところ言葉だけじゃ信頼関係が結べないというか。あとピンで出てくると「デカい」というファーストインパクトがない。

編集S ずいぶん饒舌ですね。井口の尻馬に乗ってませんか?

新越谷 すみません、乗ってました。

編集S 真輝志です。こちらは36期の星・きんめ鯛の生き残り。『R-1』は一昨年に続いて2回目ですね。

新越谷 いやーきれいなネタ。感心しちゃう。

編集S オチも良心的で。

新越谷 そう、真輝志って良心的なんですよね。前回のネタもそうですけど、アニメとかコミックとか、今回は日本昔ばなしをモチーフにしてるわけだけど、モチーフを壊したり汚したりとかいうことをしないように、すごく気を使って作ってると思うんです。その枠の中でちゃんと展開をエスカレートさせていく、どっちかというと脚本勝負なんだけど、あんまりそう見えない程度の演技力もある。ホントに感心する。

編集S 感心するだけ?

新越谷 いや、ちゃんと笑った。おもしろかったです。

編集S ここで言い切る男が脱落しました。

新越谷 安心しますね。2本目も見たかったけど。

編集S 次は8回目出場のルシファーです。『R-1』における安心感の権化ですね。

新越谷 一昨年でしたっけ、お見合いパーティーのネタがすごすぎたから、ルシファー1人だけアレと戦わなきゃいけない。厳しさの中にいますね。それにしても豪華だな、まだ九条もいるしお抹茶もいる。

編集S どうでしょう、ルシファー。

新越谷 おもしろ。熟練だなぁ、もう。ジャンルだと思う。ルシファー吉岡というジャンル。厳しさの中にいながら、戦いの外にいる感じすら漂ってる。

編集S ちょっと言ってる意味がわからないですけど。

新越谷 たぶん外にいる自覚もあるのに、わざわざ出てきてくれる。もうね、感謝の気持ちですよ。今年もおもしろい1人コントをありがとうという気持ち。吉住今年出なかったけど、ルシファーだってもう『R-1』にノッてはないと思うんですよね。ノッてないのにこのクオリティを出してくれるんだから、もう感謝感激です。

編集S ちょっとわかんないので次行きますね。お待ちかねの九条です。

新越谷 実はピンネタ見たことない。

編集S そうなんですね。

新越谷 正直に言いますけど、ネタ終わってまずGeminiに「ハンドスピナーって最初換気扇から作ったの?」と聞いてしまいました。

編集S 気持ちはわかります。で、どうでした?

新越谷 そういう起源はないみたい。どちらもベアリングを使ってるからそういう説が出たのではないかと。

編集S じゃなくて、ネタどうでした?

新越谷 まず笑ったのは笑ったし、なんか不思議な感じで見てました。間違いなく九条なのに、なんだか九条じゃないような。

編集S そうですね、特にコウテイのときのヤンチャなイメージはけっこう消えてる感じはしました。

新越谷 ピンネタ100本作ったって前振りで言ってたけど、相当、雑味を削り込んで辿り着いたんだと思うんですよね。ウケるかウケないか、劇場に上がれるか上がれないかだけを基準にちゃんとピン芸人として進化してきた感じがする。邪念がないというか。この人はお笑いを続けたい人なんだという、切望をすごく感じました。ズィーヤ!

編集S 優勝しそうですかね?

新越谷 しないんじゃないかな。やっぱコンビで見たいですよ。

編集S 誰がいいんですかね、相方。

新越谷 わかんないけど、森本とか?

編集S ラストはお抹茶です。

新越谷 バカおもろくてカッコいいネタ。しかもかわいい。優勝するんじゃないの?

編集S そればっかですね。

新越谷 スケール感あるんですよね。完全にこのファンタジー世界を掌握して支配してる。だから、笑いどころが録音素材の部分ばっかりでも、音任せな感じがしない。それどころか、なんだか大作を見たような気分になってしまう。

編集S 結果、らいぱちお抹茶銀次の3組が残りました。どうです?

新越谷 今年はマジでレベル高かったと思う。ほとんどずっとおもしろかった。

編集S 特に印象に残ってるのは?

新越谷 お抹茶です。なぜなら今見たばかりだから。

最終決戦

編集S 銀次からです。

新越谷 さっきも言ったけど、これ最終決戦に残ってるってことは個人的な偏見なんだろうけど、やっぱ下ネタ要素がノイズになってる感じがしましたね。2本見せられると飽きちゃうし、だったら1本でいいから15分見たいという。

編集S そうですね。でも4分2本というルールの中では、いい出来だったんじゃないですか?

新越谷 出来でいえば最高のパフォーマンスだったと思う。それは間違いない。

編集S らいぱちです。優勝します。

新越谷 言うなよ。

編集S 知ってるでしょ?

新越谷 知ってるけども。

編集S で、どうでした?

新越谷 はぁー、すごいものを見たと思う。

編集S なるほど。

新越谷 人がすごいって感動してるのに、なるほどはないだろ。感動に対していちばん失礼な返事だよ、なるほどって。

編集S なんか怒られてる。

新越谷 らいぱちのこれって、まず失礼の対極なんだと思うんです。MOROHAに対してもそうだし、モノマネ芸っていうジャンルに対してもそうだし、ちゃんとそういうモチーフにリスペクトをぶつけてる、全身全霊でぶつけてる感じ。そして人生のすべてをピン芸に賭けるんだという覚悟。それこそがファンファーレへのタクト。進むんだ未来へ続くデコボコの悪路。

編集S めっちゃ影響されてるやんキモ。

新越谷 は?

編集S トリはお抹茶です。負けます。

新越谷 知ってるよ黙れよ。

編集S プラネタリウムでしたね。

新越谷 結婚式の余興で会場ブッ壊れるほど盛り上がったという伝説のネタ。誰の結婚式でしたっけ?

編集S 誰だったかな。Gパンパンダの一平じゃなかったでしたっけ。そういえば一平、離婚しましたね。

新越谷 今これ、一平じゃなかったら相当ダメなこと言ってるよ?

編集S それよりネタの話しましょうよ、もうトリですし。

新越谷 だって知ってるし。「天体なんです~」のところ、一緒に言っちゃったし。

編集S ひとりで何してんですか。寂しくないんですか。

新越谷 寂しくないですよ、お抹茶のネタを見ているからね。お抹茶のお笑いって基本ベースにニコニコできるというのがあるんですよね。どんな夜だって、お抹茶のネタを見ればニコニコしちゃう。

編集S では、ネタ全員終わったんで総括をお願いします。

新越谷 寂しくなかった!

編集S はい、お笑いっていいものですね。

新越谷 そうですね。

(文=新越谷ノリヲ)

新越谷ノリヲ

東武伊勢崎線新越谷駅周辺をこよなく愛する中年ライター。お笑い、ドラマ、ボクシングなど。現在は23区内在住。1977生。

n.shinkoshigaya@gmail.com

新越谷ノリヲ
最終更新:2026/03/23 14:00