大谷翔平の元通訳・水原一平の父が語った「フジテレビの横暴」と「大谷本人への含み」
こうした夫妻が営む店が工作活動の拠点となっているのでは……。そのために公安警察が出てきたというのである。
たしかに、食事をしながら国会議員たちが秘密の話をしていれば筒抜けになるし、そうした常連客を引き込み、よからぬ頼みごとをしていたとしたら由々しきことではあるが、果たして何が出てくるのやら。
お次は、またまた斎藤元彦知事の公選法違反疑惑について文春が報じている。
2月7日に神戸地検と兵庫県警が、斎藤の選挙中のSNS戦略を担ったといわれているPR会社「merchu」の社長折田楓の自宅や事務所を家宅捜索し、スマホなどを押収したという。
文春によれば、捜査当局は実態解明のための「武器」を手にいれたそうだ。
「本件を重く見る有志がSNS情報の解析や自治体への情報公開請求などを駆使し、メルチュの『主体性・裁量性』を立証する証拠を総括的にまとめた報告書を作成」したという。
文春は、その「SNS解析記録」を入手したというのである。それによると、「チラシデザイン作成費」の支払いが実質的にSNS上での活動に対価を支払ったのと同等である。折田がXの斎藤本人名義のアカウントにログインできる権限があったことは明らかである。
などなど、折田が斎藤の選挙中に仕事として関わっていたことは疑いようがないと指摘している。
これを読む限り、斎藤はまたまた追い込まれていることは間違いないようだ。
新潮によれば、先の知事選実施に要した費用は21億円超だという。また斎藤が辞職すれば、無駄なカネが使われることになる。そのカネがあればもっとできることがあるだろうに。兵庫県民はどう考えているのだろう。
同じ文春が、同じような“手口”が問題になっている石丸伸二を追及する第2弾を報じている。
石丸のほうは、先週紹介したとおり、都知事選の最中にネットを駆使して無党派層の支持を呼び込んだが、そうした戦略を外部の業者に頼み、しかも、例えば、投開票2日前に文京シビックホールで開いた「決起集会」のライブ放送を配信するにあたって、業者に97万7350円を支払っていたのに、それが不味いとなり、キャンセル料として同額を支払ったと、「選挙運動費用収支報告書」に記載していたというのだ。
業者に業務料として払ったことが不味いと、キャンセル料として書き直したというのでは、自らが罪を認めたも同然ではないか。
時代の寵児と持ち上げられたが、その中身は薄っぺらだったということだろう。
さらに、疑惑の発注は、石丸の選挙に深く関わっていたドトールコーヒー名誉会長の鳥羽博道が元幹部だった「一般社団法人東京ニュービジネス協議会」の関係者ではないかといわれているようである。
斎藤も石丸も、同じような疑惑で追及され、司直の手が伸びるようだが、今一つピンとこないのは、なぜ、今時、SNSを使うのに業者を使うのだろうかということである。それぐらいのことができるボランティアはいっぱいいるだろうにという素朴な疑問である。
石丸も今回のことで、新党を立ち上げても目ぼしい優秀な人間は入ってこないだろう。あまりにも早い偶像の崩壊である。
お次は、2月14日「毎日新聞」が報じた、吉本興業に所属している10人弱のタレントが警視庁からオンラインカジノに関する任意の事情聴取を受けていることを深堀したFLASHの記事である。
SmartFLASH(02.17 13:46)から引用してみる。
《「すでに2月5日には、『ダイタク』の吉本大さんと『9番街レトロ』のなかむら★しゅんさんが警視庁から事情聴取を受けていると報じられていました。今回はさらに、『M-1』王者の『とろサーモン』の久保田かずのぶさんと、『令和ロマン』の高比良くるまさんも事情聴取を受けていたことが明らかになりました。くるまさんは、2月15日に公開された公式YouTubeチャンネル『official令和ロマン』で、オンラインカジノへの関与を認めて謝罪しています」(社会部記者)
国内には、オンラインカジノのユーザーが約300万人いるとされているが、その中で逮捕される人間はごくわずかだった。だが、
「警察は近年、ようやく決済業者の摘発に本腰を入れるようになりました。2023年9月に警視庁に摘発された決済業者は、約4万人の顧客から合計500億円ものカネを集めていました」(同前)》
日本では、公営ギャンブル以外の賭博行為は、オンラインであっても違法だ。賭博罪なら50万円以下の罰金と科料、常習性が認められれば3年以下の懲役が科される場合もある。ではなぜ、これほどまでにオンラインカジノが蔓延したのか。
《「まず、SNSなどにオンラインカジノ業者の広告があふれていることがひとつ。とはいえ外国人向けのオンラインカジノにハマれるのは、限られた人だけです。問題なのは、日本人向けのオンラインカジノが存在することです。
オンラインカジノのなかでもとくに人気なのは、実際のカジノから映像を中継して賭けをおこなうジャンルのものです。そこでポーカーやバカラなどに遠隔で参加するんです。そして最近では、ディーラーが日本語を話す日本人女性のカジノが増えてきました。つまり、完全に日本人向けのカジノなんです。英語に不安がある人でも、これなら簡単に参加できてしまいます。
トランプのカードを並べる場所が海外というだけで、日本にカジノができたようなものです。だから警察も本気で摘発するようになってきているのです」(オンラインカジノ関係者)》
これは面白そうだ。私も人語に落ちないギャンブル好きだから、バカラでもやってみるか。だが、先立つものが……。
これからはポストの記事が2本続く。この欄も長くなるが、こんなことは初めてだろう。
まずは、日産と本田の合併が破談したが、日産のこれからについて、あのカルロス・ゴーンにリモートインタビューした記事。ゴーンはレバノンのベイルートにいたそうだ。
ゴーンは、「破談はあらかじめ分かっていたことだ」と話している。
――日産とホンダの破談の原因をどう見るか。
「同じ日本企業として強みも弱みも重複する部分が多い日産とホンダには補完性がない。仮に経営統合をしても、成功すると思えなかった。
今回は日産が話し合いを打ち切った。ホンダによる『子会社化』の提案を受け入れるには、日産はプライドがあまりにも高すぎた。自分たちのブランド、それに成し遂げてきたことに誇りを持つ日産の従業員にとって、子会社化は本当に飲み込みにくいことだったろう。
それでもホンダが子会社化を望んだのは、日産の経営陣の完全な交代が必要だと理解してたからだと私は思う。経営陣が脆弱な会社と手を組めないのは当然だ」
日産が示したリストラ案がホンダの求める水準に達しなかったという報道があったが、という質問には、
「問題はコスト削減だけではない。むしろ“リーダーシップ”の問題だ。適切な製品に投資し、ブランドを強化し、将来のビジョンを持たなければならない。技術戦略も必要だ。率直に言って、今の日産にはこれらすべてが存在していない」
日産の課題は具体的に何か? という質問には、
「意思決定プロセスが非常に弱い。
それはCEOや執行委員会だけでなく、取締役会のことだ。彼らはこの6~7年間、決断力を欠き、たびたび間違った方向に舵を切ってきた。『日産は数を求めすぎていた』とか、過去の言い訳に時間を費やしているが、毎年新しい挑戦があり、それに立ち向かい、毎年、解決策を見つけるのが経営だ。彼らはそれをせず、我々が今、見ているような結果をもたらした」
――あなたなら、どのように今の日産の問題を解決するか。
「そもそも、私の経営スタイルは日産を今のような崩壊に導いたものとは明らかに異なる。私は明確な決断を下し、伝える人間だ。日産のリーダーとしての18年間、私の行動にマスコミが混乱することはなかった。優先順位、予算、3か年計画、結果に対するコミットメントが明確だったからだ。
つまり、当時の『日産リバイバルプラン』を今また新たにやるべきだ。3か月程度をかけて社内で面接を重ねて、何が起こっているのか、何が間違っているのか、何を修正できるのかを明らかにする。経営陣が与えた損害を詳らかにしたうえで、日本の若い世代の経営陣らを起用して、彼らが会社の未来に向かって舵を取れるようにします。
中国との競争があり、新しいテクノロジーが登場するが、これは脅威ではなく、すべてがチャンスだ。変化を脅威と見なす時、すでに戦いに敗れている。今の責任者たちはそのことを全く理解していない。私は、日本社会が一部の組織の経営陣の凡庸さに“寛容”であることに驚いている」
いいたい放題だが、今の日産では致し方ないのだろう。ゴーンのような人材を、またルノーに頼んできてもらったらどうだろうか。
もし、日産が潰れれば、日本の自動車産業そのものが信用をなくすはずである。日本の企業そのものが衰退し、世界的な競争から取り残される。そんな予感がしてならない。
さて、今週の第1位は、やはりポストの記事に捧げる。
ノンフィクションライターの水谷竹秀が執念を燃やして追い続けている、元大谷翔平の通訳・水原一平問題で、水原の父親・英政の貴重な“証言”を書いている。
この国では、大谷翔平をすばらしい人、唯一無二のスポーツマン、いや、全てのジャンルを超えた完全無欠の人間だという“神話”が罷り通っている。
大谷が間違いをするはずはない。悪いのは全て水原一平で、大谷には瑕疵もないと、我々は信じ込まされているのではないか。
そこには、大谷も一個の人間で、間違いもすれば、過ちも犯すという当たり前のことに気付かない、いや、この国の報道では知り得ないという根本的な問題があるのではないか。
私も大谷のプレーは、シーズンが始まれば毎日のようにBSNHKで見ているし、素晴らしいプレイヤーだと間違いなく思う。だが、グラウンド外での大谷のことはほとんど知らない。
彼の愛犬デコピンは可愛い。愛妻の真美子はきれいで可愛い。だが、私は、真美子についてほとんど知らされていない。どこで知り合ったのかは少し報じられたが、どのように親しくなり結婚までたどり着いたのか知らない。
水原一平は知っていたのだろうか? 私は長年メディアを見てきたが、これほど人間的なエピソードが全く報じられないスーパースターがいただろうかと考えている。
長嶋茂雄は戦後の大スターだったが、人間的なエピソードは数多くあり、それが長嶋人気をさらに高めた。
高倉健も孤高のスターだったが、江利チエミと結婚するときは、なぜ、人気歌手が売れない俳優と結婚するのかと書かれた。ロケが終わるとよく海外に行くのは、彼女がいるのではないかという憶測記事まで出たこともあった。
美空ひばりも石原裕次郎も多くのスキャンダルを書かれた。それでも亡くなるまでトップスターであり続けた。
大谷のようなケースを、私は思い出すことができない。
アメリカの新聞でもよく大谷の活躍は取り上げられるそうだが、今のアメリカでは野球はさほどポピュラーなスポーツではないから、メディアは人間大谷翔平に対する関心はそれほどないのだろう。
それでも、水原一平事件では、大谷への批判記事が今でも出ていると、時々、日本でも目にすることがある。
26億もの大金をいくら信用しているからといって、引き出されるのを知らなかったというのは、普通は通用しない話ではないか。
全く大谷に非がなかったのだろうか。そんな疑問さえ抱くことは、この国では「非国民」といわれかねない。
時代劇の定番『水戸黄門』の決め台詞のように「この大谷の紋所が目に入らぬか、控えおろう」といわれるのであろう。
ポストの記事にいこう。
水原一平の父は英政(65)である。水原一平はアメリカ現地時間、2月6日、カリフォルニア州サンタアナの連邦地裁で行われた公判で、禁固4年9か月、賠償金約26億円を支払えといい渡された。
一平の父親の英政は北海道苫小牧出身。彼がアメリカのカリフォルニア州に渡ったのは1991年。一平がまだ6歳の時だった。英政は日本料理店で板前として働いた。
息子が渡米直後から献身的に大谷をバックアップして働く姿を見守っていた。英政はこういったという。
「あんな何もできない奴がさあ。1人でなんか、できるわけないじゃん」
親子で異国の地で生きてきた“矜持”が窺えたという。
大谷の口座から総額約26億円をスポーツ賭博の違法な胴元側に送金していた事実が判明したが、司法取引に合意の結果、量刑は禁錮4~6年程度に減刑されると予想されていた。
水原はもはや街を歩けなくなり、その火の粉は父である英政にも降りかかってきた。英政はこう話したという。
「YouTubeでは父の人生終わったというタイトルの動画がアップされているし。適当に一平のことをネットで見ていると(そういう動画が目に)入ってくるじゃん。見たらわかるよ。まあ、俺は別に何を言われても構わないんだけどね」
そんな英政が未だに根に持っていることがあるという。フジテレビの男性記者が騒動発覚当日、英政の自宅に押し掛けた時のことだった。
玄関のドアにマイクを向け、息子の賭博についていきなり尋ねた。英政は、「知らないよ、俺は」と答え、続けて妻と見られる女性が、「帰って!」といった。
この映像が日本全国に流され大きな話題になった。
英政が語気を強めてこういったという。
「(解雇が発表された)その日かなんかだよ。(事情を)わかるわけないじゃん、本当に。(映像の)前後で、俺も『フジテレビの〇〇さんですね?』と一応、確認したりとかしているの。いきなりあんなこと言うわけないでしょ? そういう前後関係が一切出てこないでしょ? 俺が叫んだり、うちの(妻)が帰ってくださいって言った一瞬しか切り取られていない。だからメディアってそういうもんかって思ってね」
英政はメディア不信になっていたが、一方で、内心はいろいろ訴えたい事情があるのが透けて見えたという。
違法賭博について問うと、英政は言葉を選びながらこう話したそうである。
「やった事は仕方がない。わかんないけど、あいつも謝るなら謝るで、何かしなきゃいけない」
そうはいいつつも、どこか腑に落ちていないような複雑な胸中が伺えたという。
「一平が何かしたのはわかるよ。でもね、ウチらだって、こんなこと言ったらあれだけど、(いろいろ)あるからね。そのうち出るからそれまで待ったら? 俺の口からは言えない」
水谷は、何かいい分があるのか。本当は吐き出したいのかもしれないと思ったという。
昨年、ワールドシリーズをドジャースが制覇した翌日の夜、水谷は英政を訪ね、今回の騒動については、水原だけに全責任が押し付けられているのではないかと問題提起した。
水原一平だけが責任を問われるべきなのか? 英政はこういったそうである。
「でも最初に(ギャンブルを)やったのは一平でしょ。自分からやったんじゃないの? 俺はわからんけど。それに違法な元締めっていうけど、(大谷の)お金を使ったのは一平でしょ? それは言い訳にならないよ。なんだって人の金だから」
それにこんな意味深なこともいったという。
「多分、答えが出ないんじゃないかな。あなたの今の調べ方だったら。見ているところが(俺と)違うと思う。一平のことを調べても、あなたがわかっていることぐらいしか出てこない」
そしてこう問いかけてきたという。
「もっと翔平を調べたらいいんじゃない? 翔平の性格を。彼のことわかんないでしょ? 俺はもちろん知ってる。ただ、俺の口からは言えない。俺のことじゃないから」
さらにこう付け加えたというのである。
「色々と一平のことをメディアに書かれたけど、書かれたことを100%本当ではないっていうのは言っておく。違うことがいくつかあります。なんでこういうふうになったんだって。一平個人のあれだから、俺もこれ以上は喋れない。まぁゆっくり考えて」
そういって車で走り去ったという。
今年1月下旬、本人と英政を含む水原家のメンバーはそれぞれ、審理を続ける米連邦地裁に書簡を提出した。水谷は、特に水原の主張には驚かされたという。
大谷の通訳としてだけでなく、身の回りの世話も含めて24時間体制で働き、過酷な労働環境に置かれていたと訴えたのだ。エンゼルスの球団から支給されている給与に加え、大谷から別途給与を受け取っていたが、大谷の近くに住むための高額な家賃の支払い、グリーンカードを取得していない妻が日米を行き来する渡航費用などで出費がかさみ、ギリギリの生活を強いられていたとも打ち明けた。
そうした経済的困窮によるストレスが、違法賭博への引き金になり、泥沼から抜け出せなくなったというのだ。
「翔平のお金を使う以外に(胴元に)支払う方法が見つけられなかった。私は当時、恐ろしいほどの依存状態に陥っており、ギャンブルをやっている時だけ人生に希望を見出せた」と水原は書簡で述べている。
だが、そんな精一杯の水原側の主張も、検察からはことごとく論破された。
「明らかになったのは、水原が嘘を嘘で塗り固めていたという事実だけだ」
そう水谷は書いている。だが、そうだろうか。26億円詐取したという事実の前に、四六時中働かされていた、カネが底をついてギャンブルにのめり込んだなどという主張は、取るに足りない、情状酌量の余地なしと耳を傾けてさえもらえなかったのではないか。
私は、大谷に大きな非があると思っているわけではない。だが、盗人にも三分の理があるのではないか。グラウンドは別として、大谷とて完全無欠のロボットのような存在ではない。
大谷という存在は不可侵領域ではない。私は、大谷という人間をもっとよく知りたいと思う。だが、この国のメディアは、大谷を崇め奉るだけで、人間として見ていないような気がしてならない。
フジテレビには期待しないが、どこか気骨のあるテレビ局が「人間・大谷翔平」をやらないかと思っている。しかし多分異口同音に、「大谷が活躍できなくなったらね」というに違いない。
知りたいのは今の大谷翔平なのに。(文中敬称略)
(文=元木昌彦)