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台湾黒社会の重鎮が開いた“謎の宴”に日本のヤクザが参加―当局が警戒強める本当の理由

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写真はイメージ(台北の繁華街)

 2025年2月22日、台湾・台北市内の日本料理店で、台湾最大級の黒社会組織「竹聯幇(ちくれんほう)」の元幹部で、「白狼(はくろう)」の異名で知られる張安楽(ちょう・あんらく)氏がディナーパーティーを主催した。この情報は、25日付の現地紙の報道をきっかけに瞬く間にSNS上で拡散されたが、そこに写る張氏は、会食中にやってきた台湾警察に対して怒りを露わにしているというものだった。

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 張氏といえば、台湾において「天下第一幇」と称される竹聯幇において、いまだに絶大な力を持っており、その背後には、情報工作を担当する中国共産党国家安全局第4局が存在すると言われている。

 現地メディアによれば、今回の会食には「海外の暴力団関係者が出席する」との情報を掴んだ台湾当局が、事前に周辺に警察部隊を配置。治安維持を目的として、出席者の中にいた暴力団員と疑われる人物を取り調べようとしたというのだ。それに主催者の張氏が強く反発し、激昂したというのだが、特筆すべきは実際にそのパーティーには、日本から複数のヤクザの幹部が出席していたことだろう。

 現地の関係者によれば、張氏は台湾を中国に返還させ、中国と台湾の統一を目指す人物として知られているが、なぜ日本のヤクザが、張氏を後押しするかのように会食の場に姿を見せたのだろうか。

 もっとも、台湾黒社会とヤクザの親交は今に始まった話ではない。沖縄に本拠地を置く旭琉會の幹部が、2023年には台湾黒社会組織「洪門」の二次団体である華松山(かしょうざん)の代表に就任。この出来事をきかっけに、日本のヤクザと台湾華僑とのネットワークが浮き彫りとなっている。

 2月22日に開催された合同オープンセレモニーには、海外から何百人もの来賓が出席したが、その詳細な目的については明かされていない。単なる親交を深める場だったのか、それとも別の思惑があったのか――。国際犯罪事情に詳しいジャーナリストは首を傾げながら、このような見解を示す。

「日本とは異なり、台湾黒社会の人間は堂々とメディアにも姿を表すことができ、政治にも影響力を及ぼしています。これは文化の違いといえるかもしれません。ただ、張氏が目指す通り、仮に台湾が中国の領土になったとしても、日本のヤクザに直接的なメリットがあるとは考えにくい。中国は共産主義国家ですし、台湾は親日的で日本文化にも理解が深い。台湾当局を巻き込んだ今回の一連の動きには、別の背景があるのではないでしょうか」

 対して、地元メディアでは、張氏のもうひとつの顔を報じ、それが台湾当局の警戒心を強めたのではないかという見方を提示している。

 実は張氏は、過去にメキシコの麻薬カルテルに関わり、「フェンタニル」というオピオイド系麻薬合成を手助けしたという容疑で指名手配された経歴がある。それだけではない。張氏が影響力を持つと言われている竹聯幇の勢力は、一説には10万人を越えるのではないかと言われている。それが事実であれば、中国政府と繋がりがある張氏の動向に台湾当局が危機感を募らせたとしてもおかしくないだろう。

 今後、何が水面下で起きていくのだろうか。日本のヤクザ社会と台湾の黒社会の結びつきはいったいどのような影響を及ぼすのだろうか。今、その動向に注目が集まり始めている。

(文=山口組問題特別取材班)

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山口組問題特別取材班

ヤクザ業界をフィールドとする作家、ライターおよび編集者による取材チーム。2015年結成。同年に勃発した六代目山口組分裂騒動以降、同問題を長期的に取材してきた。テレビや新聞などでは扱いにくいヤクザ組織の内部情報にも精通。共著に 『相剋 山口組分裂・激動の365日』がある。

山口組問題特別取材班
最終更新:2025/03/30 18:00