CYZO ONLINE > 社会の記事一覧 > コメ価格高騰と本質的な構造の背景にある問題

【サイゾーpremium】コメ価格高騰と本質的な構造の背景にある問題

コメ価格高騰と本質的な構造の背景にある問題の画像1

この記事の画像(1枚)

【雑誌サイゾー連載】「マル激 TALK ON DEMAND」【190】

コメの値段が高騰している。スーパーで販売されている精米5キロの平均価格は4214円と、1年前の2倍以上に跳ね上がってしまった。コメは2023年の夏前の日照不足と夏場の猛暑、さらにはコロナ明けのインバウンド需要や外食産業の需要が急回復したことで品薄状態が続いていた。日本のコメに何が起こっているのだろうか?

[今月のゲスト]
小川真如(おがわ・まさゆき)
[宇都宮大学農学部助教]
1986年、島根県生まれ。2009年東京農工大学農学部卒業。2017年、早稲田大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。23年より現職。東京農工大学大学院連合農学研究科助教、一般財団法人農政調査委員会専門調査員などを兼務。著書に『日本のコメ問題』、『現代日本農業論考』(春風社)など。

神保 今回はコメの話をします。これまでコメはいくらでも安く買えて当たり前な時代が長く続いたので、多くの人にとっては空気や水のような存在になっていたのかもしれません。そのせいか、我々はコメやコメ市場で起きていることについて、十分な関心を払ってこなかったように思います。

宮台 本来であれば国民が見ていなくても行政官僚がそれなりの専門性をもって適切な政策を営めばいいのですが、誰が見ても馬鹿げた政策をしているので、それを私たちがチェックしなければならなくなったということが今回の〝コメ不足〟の真相だと思います。

神保 ゲストに『日本のコメ問題』(中公新書)の著者で、宇都宮大学農学部助教の小川真如さんをお迎えしました。今、一番問題になっているのはコメの平均価格が高騰していることで、2022年7月の段階では5キロあたり2000円を切っていたものが、25年4月には4214円まで高騰しています。小川さんのような専門家にとっても、これは想定外の事態なのでしょうか。

小川 収穫後にこれだけ価格が動くというのは異例の事態です。当初は安すぎたために上がったという部分もありますが、23年の夏以降は品薄になったことで高くなり、その価格の水準を維持しながら新米の値段が決まって、24年末から今年初めにかけて集荷競争が激化。この結果、ここまで価格が高騰しました。

神保 それでは日本のコメ政策について、歴史的な経緯をたどっていこうと思います。

小川 まず1942年に制定された食糧管理法(食管法)の前段として、1918年に大正のコメ騒動がありました。それ以前、コメはある程度自由に流通していたのですが、国がコメを直接統制していこうという機運が高まり、いくつかの法律を経て、食管法が制定されます。その後、67年にはコメの自給が達成され、これが第1の転換点でした。日本人の生活という観点からしても、有史以来の非常に大きな転換点だと考えられます。

神保 そこで初めて自給が可能になったということは、それまで日本はコメが自給できず、輸入していたということでしょうか。

続きはサイゾーpremium

サイゾーpremium編集部

サイゾーpremiumとは、“検索できない真実を。”標榜する雑誌「サイゾー」のデジタル版です。ジャーナリズムより柔軟で、エンタテインメントよりも鋭い、「芸能ゴシップ」「社会問題」「カルチャー批評」など、読むほどに視点をクリアにするコンテンツをお届けします。

X:@premium_cyzo

サイゾーpremium編集部
最終更新:2025/07/17 20:00