「36歳の彼女は少し年を取りすぎている」――20代と付き合いたい47歳弁護士が結婚できない理由

「結婚したいのに結婚できない」――。そう考える男性は少なくない。
別に女性を蔑視しているわけでもない。性格がめちゃくちゃ悪いわけでも、見た目が極端に悪いわけでもない。それでも、“普通の人生”を歩めないのはなぜなのか?
この疑問を抱える中年男性たちに、自らの半生を振り返ってもらい、「なぜうまくいかないのか」を自己分析してもらった。
俺がおかしいのか? それとも、社会がおかしいのか? 弱者男性たちのリアルな婚活事情に迫る。
高身長・高学歴・高収入なのに結婚できない!?
「30代や40代で結婚する人が増えているように見えるかもしれませんが、実際には27歳で結婚する人が最も多いです。初婚に限れば、9割の人が39歳以下で結婚しています。40代以上になると、初婚での結婚は非常に難しくなります」
そう語るのは、恋愛・婚活アドバイザーの菊乃さん。近年は「晩婚化」が叫ばれているが、実態としては、仕事や精神面が安定し始める20代後半で結婚する人が、今も昔も多数派だという。
それでは、年齢を重ねた人は何を武器にすればいいのか? やはり「お金」なのだろうか。同年代の若い男性にはできないようなラグジュアリーな体験を提供できれば、年上でも選ばれるのではないか……。そんな発想も浮かぶ。
「結婚相談所だと男性は年収が上がるほど成婚率は高くなる傾向はあるのですが、残念ながら、年収800万円台が成婚率のピークでそれを超えると、逆に成婚率が下がることがあります。年収が1000万円、2000万円と上がるほど、相手に対して“わがまま”になってしまう傾向があるんです」(同)
まさに、そうした状況に陥っているのが、東京都出身の上島俊樹さん(仮名・47歳)だ。身長176センチの高身長で、スリムな体型。俳優のような端正なルックスをしている。
職業は弁護士。高身長・高学歴・高収入という、いわゆる「3高」を兼ね備えた人物で、一見すると独身には見えない。しかし、何年も婚活を続けているものの、なかなか理想の相手に出会えずにいるという。
そこには、現在の輝かしい経歴からは想像しにくい、波乱万丈な人生が関係しているようだ。
「親は大企業に勤めていて、家庭は裕福でした。親なりに僕の将来を思って、小学生の頃から『勉強しろ、勉強しろ』と言われて育ちました。塾にも通って中学受験をしましたが、勉強に身が入らず、成績はあまり良くなかったですね」
中学受験は全滅し、公立中学へ進学。周囲の目を気にしながら、希望を持てない日々を送っていたが、そこで上島さんの人生を大きく変える出会いがあった。
「友達がジミ・ヘンドリックスのCDを貸してくれたんです。それに衝撃を受けて、『ギターを弾きたい』と思いました。そこで親に頼み、誕生日プレゼントとしてエレキギターとアンプを買ってもらったんです。教則本を片手に、毎日練習しました」
そこからロックにのめり込み、ミュージシャンの自伝を読みあさる日々が続く。勉強はそっちのけとなり、成績も低迷。せっかく入った高校も、間もなく中退してしまう。
「学校に行く意味が見つからなかったんです。好きなロックミュージシャンたちは、みんな高校なんて行っていませんでしたし……。それに将来について考えたとき、高校に通う理由が見いだせなかった。だから、働きながら音楽をやりたいと思ったんです」
倦怠期になると冷めてしまい恋人を取っ替え引っ替え
当然、親には激怒され、家出同然のかたちで実家を出た。未成年のため自分名義では賃貸契約ができず、母親名義で風呂なしの四畳半アパートを借り、独り暮らしを始める。
日給1万円の道路工事のアルバイトをしながら、ギターの練習に打ち込む日々。それだけではなく、レンタルビデオ店で借りた『イージー・ライダー』に影響を受け、バイクでの放浪にも憧れるようになった。
「自由でロックな、あのヒッピーのような生活に惹かれてしまったんです。そこで、中型バイクの免許を取り、中古のビッグスクーターを購入しました。そのままバイトを辞め、家も引き払って、日本を放浪する旅に出ました」
旅先では、現地で見つけた住み込みのアルバイトをしながら生活。短期間の海鮮加工工場や引っ越し業者の仕事などを転々としていた。
当然ながら、女性との出会いはほとんどなく、アルバイト先の仲間に連れて行かれた風俗店で、初めての経験をする。
そんなふうに自由を謳歌していた上島さんだったが、ふらふらとした生活を1年ほど続けるうち、さすがに限界を感じるようになる。
「このままではしんどいと思い、実家に頭を下げに行きました。そこでお願いして、高卒資格を取得できるフリースクールに通い始めたんです。今でも付き合いのある友人もできましたし、振り返ると、学校に通って本当によかったと思っています」
モラトリアム期間を1年間満喫した結果、上島さんは急激に大人になっていった。同世代の仲間との交流のなかで、「大学へ進学したい」という思いが芽生え、大学受験を決意する。
「死に物狂いで勉強して、実質2浪というかたちで、それなりに偏差値の高い大学に進学しました。入学後は勉強もきちんとしながら、バンド活動にも励んでいました」
大学卒業後も就職はせず、バンドで食べていくことを決意する。その頃にはワンマンライブも開けるほどの集客があり、「音楽一本でやっていけるかもしれない」という手応えもあったからだ。
「でも、『将来性がない』と思われたのか、当時付き合っていた彼女には振られてしまいました。今思えば、いろいろと理解されない悔しさをバネに、音楽活動を頑張っていたのだと思います」
しかし、30歳を過ぎてもバンドは芽が出ず、プライベートでも何人かの彼女とは付き合っては別れることを繰り返す。バンドで成功するまでは結婚するつもりがなかったため、いずれも長続きはしなかった。
「ドーパミン中毒というのでしょうか。『好き好き!』と盛り上がっているときは楽しいのですが、倦怠期になると急に冷めてしまうんです。その間に別の人を好きになって、彼女を振ったりしていました。今思えば、かなり自分勝手な恋愛をしていたと思います」
バンドメンバーも次第に就職していき、スタジオに集まることも難しくなった結果、活動は自然消滅となった。
「『これからどうしようか』と考えたとき、普通の会社に就職するという選択肢には、どうしても気が乗りませんでした。そこで思いついたのが、『弁護士になって悪徳企業と戦う』ということです」
弁護士になったから若い子と付き合いたい!
急激な方向転換のようにも見えるが、上島さんの中には一貫した「アティチュード」があった。
「法律を武器に戦う弁護士は、『ロックやパンクの思想に近い生き方かもしれない』と感じたんです。それに音楽で挫折したままでは、自分を肯定できない気がして、一番難易度が高そうなことに挑戦してみようと思いました」
こうして、それまでバンドに注いでいた時間を、すべて勉強に費やすようになった。昼間は現場仕事で生活費を稼ぎ、夜は法科大学院に通うという過酷な毎日が続いた。彼女を作る余裕もなく、「地獄の3年間だった」と振り返る。
「この頃が一番つらかったですね。今でも司法試験に落ちる夢を見ますよ。本当にストレスで禿げそうでした。でも、合格したときは本当にうれしかったです。『これからは、立場の弱い人たちを助けていこう』という気合が入りました」
紆余曲折あり、33歳で弁護士となったが、ここでも仕事に慣れるまでは彼女を作る余裕もなかった。ようやく仕事が軌道に乗り始めた頃、友人の紹介で2歳年下の女性と交際をスタートする。上島さん38歳、彼女は36歳だった。
一見すると結婚適齢期のカップルだが、上島さんは「彼女は少し年を取りすぎている」と感じてしまったという。
「彼女は結婚したがっていたと思います。半同棲のような形で、ほぼ毎日うちに来ていました。でも、僕自身はあまり乗り気ではなくて、『結婚する気はない』と伝えてしまったんです。彼女は結婚を焦っていたので、『それなら』とお別れしました」
弁護士にもなれたし、彼女よりもっといい人が絶対に見つかる……。そんな謎の自信が上島さんにはあった。それ以降は、マッチングアプリを駆使して20代女性との出会いを求める日々が続いたが、交際まで発展することはほとんどなかった。
「『いい感じだな』と思っても、突然連絡が途絶えるんです。一緒に温泉旅行まで行った子もいましたが、その後は何の進展もありませんでした。今でも相手を探していますが、20代の子とはうまくいきません。たまに、以前付き合っていた彼女のことを思い出すこともあります。あのとき、結婚していてもよかったのかもしれないな……。まさに『後悔先に立たず』ですね」
自分勝手な恋愛を続けてきたが、年齢を重ねるにつれ、それも通用しなくなってきたということだ。前出の菊乃さんは、こう指摘する。
「年収1000万円超のアラフォー男性よりも、年収400万円台の30代前半男性のほうが、圧倒的に成婚しやすいです。結局のところ、『若さ』は大きな価値であり、20代の女性と付き合いたいと考える男性たちは、その現実をほとんど理解していません。女性が最終的に同年代の男性を選ぶのは、ごく自然なことです」
若い結婚相手ばかりを求めるのではなく、同世代にも目を向けることが、上島さんの結婚への第一歩になるのかもしれない。
婚活アドバイザー菊乃さんのオフィシャルブログ
https://ameblo.jp/koakuma-mt/
(取材・文=山崎尚哉)
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