「孤独死は嫌だから若いパートナーを」――54歳エリート会社員が恋愛遍歴の末にたどり着いたパパ活

「結婚したいのに結婚できない」――。そう考える男性は少なくない。
別に女性を蔑視しているわけでもない。性格がめちゃくちゃ悪いわけでも、見た目が極端に悪いわけでもない。それでも、“普通の人生”を歩めないのはなぜなのか?
この疑問を抱える中年男性たちに、自らの半生を振り返ってもらい、「なぜうまくいかないのか」を自己分析してもらった。
俺がおかしいのか? それとも、社会がおかしいのか? 弱者男性たちのリアルな婚活事情に迫る。
打席の数を増やすよりも打率を上げよ!
「アラフォー以上の男性の中には、マッチングアプリで“打席を増やす(アプローチ数を増やす)”ことに注力すれば、いつか理想の相手と巡り会えると考える人も少なくありません。それ自体は間違っているとは言いませんが、なぜ“打率を上げる(自分自身を磨く)”という発想には向かいにくいのでしょうか?」
そう語るのは、恋愛・婚活アドバイザーの菊乃さん。
「Pairs(ペアーズ)がうまくいかなければ次はOmiai(オミアイ)、その次はwith(ウィズ)と、サービスを変えてとにかく出会いの数を増やそうとする方は少なくありません。でも、いくらバッターボックスに立っても打てなければ意味がないのと同じで、外見の改善やコミュニケーション力の向上を意識しないまま数だけを増やしても、結果にはつながりにくいのです」(同)
一方で、20代の頃から掲示板だけではなく、さまざまな「出会い系サイト」を渡り歩き、出会いを求め続けている男性もいる。
埼玉県出身の倉田俊哉さん(仮名・52歳)は、昭和のトレンディドラマに登場しそうな、いわゆる“ソース顔”の男前だ。大手食品メーカーで営業職として働き、いわば大企業勤めという安定したキャリアを歩んできた。
人生を大きく踏み外すこともなく堅実に暮らしてきた彼だが、なぜ一度も結婚には至らなかったのか? その背景には、自身の自信のなさやコンプレックスがあった。
「小学生の頃から剣道一筋で、道場にも通い、初段も取りました。でも中学生になる頃、道着の臭いがどうしても気になるようになって……。それと関係があるのかは分かりませんが、顔にニキビがたくさんできてしまい、次第に自分の見た目に自信が持てなくなっていきました」
思春期につきものの悩みであるニキビ。治ったと思えばまた現れるその繰り返しに、倉田さんは少しずつ自信を削られていった。
「中学校には両思いのような関係だったけれど、はっきり告白はしていない女の子がいました。でも、顔のニキビが気になって、その子と目を合わせて話すことができなくなってしまったんです。結局、告白もできないまま終わってしまいました」
そのまま高校に進学した倉田さん。ニキビのせいでまったくモテず、人生の“暗黒期”だったと語る。剣道もやめてしまい、部活は中国文化研究会とは名ばかりの麻雀をするだけの部に入った。
「勉強もあまり身が入らないまま大学受験を迎え、結果は全滅。進路が決まらないまま卒業することになりました」
このままでは終われない……。倉田さんは一念発起して、大学進学を目指して予備校に入る。そこで、彼の人生を少し変える出会いがあった。
「毎日勉強するために予備校へ通うようになった頃、同じ授業を受けているかわいい女の子がいたんです。気になって話しかけてみたら意気投合して、予備校帰りに喫茶店でジュースを飲んだり、お互いの実家を行き来したりするようになりました。思い切って『好きだ』と告白したら、人生で初めて彼女ができたんです」
不倫、掲示板、出会い系で盛り上がる日々
初体験は、彼女の家だった。保健の教科書で学んだことを思い出し、自動販売機でコンドームを購入して備えた。お互い初めてでやり方も分からず、こっそり見ていたAVを思い出しながら行為に及んだという。
「キスをして、体を触り合ったのですが、うまく入らなくて、照れ笑いをしたりしていました。全然リードもできず、かっこ悪い初体験でしたね。そこから2〜3カ月は、会うたびにそういう関係になりました。でも、徐々に勉強にも身が入らなくなってきて『このままでは大学受験もうまくいかないのではないか?』とお互い不安を覚えるようになります」
そこで、夏期講習が終わる頃、「勉強に集中しよう」と話し合い、初めての彼女とは自然消滅のような形で関係が終わった。予備校で顔を合わせても、どこか後ろめたさを感じ、次第に会話もなくなった。しかし、そのぶん勉強に集中することができ、無事に大学に合格した。
「大学に入ると『合コンブーム』で、いろいろな出会いがありましたね。イベントサークルに入って、月に2回くらいは合コンをしていました。男女で登山をしたり、バスケットボールやテニスをしたりと、かなり充実した大学生活でした。彼女もできたんですが、いかにもチャラいサークルの中の話なので、『ほかに好きな人ができた』と言われてフラれてしまいます。彼女は次の週には僕の友達と付き合っていたりと、めちゃくちゃでした。でも、僕も御多分に漏れず、チャラチャラと女の子を取っ替え引っ替えするような感じでした」
「弱者男性ではないじゃん!」とお叱りを受けそうだが、そんな生活の末に大学は留年。それでも就職活動は順調に進み、外資系の食品メーカーに就職した。
入社後、取引先の12歳年上の女性と不倫関係になった。
「1年ほど関係は続いたのですが、『このままではあなたのためによくない』と言われ、別れを告げられました」
「禁断の恋」に燃え上がった倉田さんはより刺激的な出会いを求め、やがてインターネットの世界へ足を踏み入れることになる。
「20代後半は、ネット掲示板のオフ会に参加するのが趣味になっていました。会った人とすぐホテルに行ったりして、すごく楽しかったですね。その中でひとり、付き合った子もいたのですが、正直あまり好みではなくて……。容姿を貶して泣かせてしまったりして、今思えばひどいことをしたなと思っています。そのままフラれてしまいました」
その後も出会い系サイトやYahoo!やmixiの掲示板を利用し、さまざまな女性と会う生活が続いた。
「29歳のとき、8歳年下の彼女ができました。めちゃくちゃ美人で、一目惚れのような形で付き合うことになったんです。3年ほど続いたのですが、『ほかに好きな人ができた』と言われてフラれてしまいます。どんな人を好きになったのか聞くと、40代のおじさん。どうやら、お金持ちだったらしく『世の中やっぱりお金か……』と軽く絶望しました」
孤独死は怖い! 若いパートナーが欲しい
その後、より高収入を求めて大手食品メーカーに転職。東京から大阪へ転勤となり、年収も倍近くに増えた。
「お金に余裕ができると、つい遊びたくなってしまうんですよね(笑)。大阪でも出会い系サイトを駆使して、付き合ったり別れたりを繰り返していました。口では『結婚したい』と口説き文句のように言っていましたが、正直、本気で結婚したいと思える女性には巡り会えませんでした」
そうして年月は流れ、40歳を迎えた。
「30代半ばまではモテていたのに、だんだん若い子との恋愛がうまくいかなくなってきたんです。そこで、いわゆる『パパ活』のようなことを始めてしまいました。最初は純粋なお付き合いを志していたのですが、『お手当はいくらもらえるんですか?』と聞いてくる女の子が多くて、言われるがままにお金を払う生活をしていました。でも、みんな美人なので、『お金を払ってでも付き合えるならそれでもいい』と思っていたんです」
こうして、若い女性とアプリで知り合い、パパ活を始めた倉田さん。ネットで出会う相手とは長期的な関係が築きにくいと分かっていながら、なぜそこにこだわるのか?
「通っていた飲食店があって、そこの常連客を口説いたことがあるのですが、うまくいきませんでした。それまで常連だったのに気まずくなってしまい、通いづらくなってしまって……。せっかく築いたコミュニティを壊してしまうような行為だったと、後悔しました。それ以来、ネット以外で出会った人を口説く勇気が持てなくなったんです。だって、ネットなら、うまくいかなくても二度と会わなくて済むじゃないですか」
しかし、ネットでの出会いでは長期的な関係を築けないまま、気づけば50歳を迎えていた。
「若くて、お金を介さずに付き合えるきちんとしたパートナーを探しています。でも、なかなか見つかりません。最近は孤独死する人も増えているじゃないですか。僕も孤独死は嫌なので、なんとかパートナーを見つけたいと思っています。ただ、最近は独身の友達を集めて、老後に一緒に住むのもいいのかなとも考えています。このまま良いパートナーと巡り会えなければ、パパ活を続けながら、男女ではなく男同士で数人で暮らすのもひとつの選択肢だと思っています」
出会い系サイトは、利用者の質を見極めなければ、パパ活のような関係ばかりが続いてしまう可能性もある。前出の菊乃さんは、こう指摘する。
「結婚する人の6割以上は3歳差以内。本気でパートナーを探しているのであれば、“おじアタック”(若い女性へのアプローチ)はやめて、同世代を視野に入れるべきでしょう。女性からすると、年上の男性と話していると『上司と話している気分になった』と断るケースが多いです。パパ活は論外です」
経済的な余裕があるのなら、刹那的な関係ではなく、倉田さんは地に足のついた出会いに目を向けるべきではないだろうか。
婚活アドバイザー菊乃さんのオフィシャルブログ
https://ameblo.jp/koakuma-mt/
(取材・文=山崎尚哉)
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