荒井優希インタビュー「アメリカに負けないぐらいの盛り上がりを、日本のプロレスでも見せたい」

SKE48を今年3月末に卒業、現在は2021年5月から本格参入したプロレス1本で活動している荒井優希が1st写真集『無敵の素顔』を発売。初めて訪れたバリのリゾートホテルやプール付きのヴィラで大胆な水着やランジェリー姿を披露している。新たな道を歩み始めたばかりの彼女に、写真集の舞台裏やSKE48卒業を決断した理由、今後の夢などを語ってもらった。
<インフォメーション>
『荒井優希1st写真集 無敵の素顔』
好評発売中!
撮影:下田直樹
定価:3,520円(本体3,200円+税)
発行:株式会社KADOKAWA
<プロフィール>
荒井優希(あらい ゆき)
1998年5月7日、京都府出身。所属:東京女子プロレス。2013年11月、「AKB48グループ ドラフト会議」にて指名を受け、SKE48 Team KIIに所属しデビュー。2021年5月からSKE48と並行してプロレスに本格参入。1年を通してプロレスに真摯に取り組む姿勢が評価され、東京スポーツ新聞社制定「2021年度プロレス大賞」と、週刊プロレス制定「プロレスグランプリ2021」の各新人賞をダブル受賞。2022年7月、大田区総合体育館大会で赤井沙希とタッグを組み、坂崎ユカ&瑞希組に勝利、プリンセスタッグ第10代王者に。2024年1月、後楽園ホールでマックス・ジ・インペイラーからインターナショナル・プリンセス王座を奪取し、シングルでは初のベルト獲得。同年11月には6度目の防衛に成功し、IP第12代王者として王座防衛最多記録を更新した。2025年3月末にSKE48を卒業し、4月よりプロレスラー1本で活動開始。
公式プロフィール:https://www.zest-corp.com/management/2190/
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初写真集は脊柱起立筋を堪能できるバックショットが盛りだくさん
──初の写真集『無敵の素顔』を発売しましたが、オファーがあったときは乗り気ではなかったそうですね。
荒井 果たして需要があるのかなと(笑)。たまに「写真集が欲しい」と言ってくださる方はいるんですが、「誰が買うんだろう」と思って、ちょっと迷った時間がありました。SKE48メンバーの写真集を買うことはあったのですが、完全に楽しむ側だったので、自分が出る側になる世界線があるんだと戸惑いました。
──どうして決断できたのでしょうか。
荒井 マネージャーさんの意見も聞いて、なかなかないチャンスだし、世の中で写真集を出せる人も限られているので、ちょっとでも荒井優希のアピールになるならと思って受けさせていただきました。今の自分を綺麗に残してもらえる機会も滅多にないですしね。
──写真集に向けて、特にボディメイクなどはしなかったそうですね。
荒井 日頃から運動はしているんですが、スケジュールもカツカツだったので、無理をして体調を崩したら元も子もないなと。プロレスの試合もあるので、ケガをしたら笑えないですからね。現役アイドルの頃に出すんだったら、もっと痩せたかったんですが、プロレスラー1本でやっていくタイミングなので、多少は身体が大きくても輝くのかなと思いました。
──撮影はバリで行われたそうですが、街を堪能することはできましたか?
荒井 タイトなスケジュールだったので日中はほぼ撮影だったのですが、夜ご飯をたくさん食べました! 私はパクチーが入っているような冒険的な食べ物は避けるタイプで、アジア料理も普段は韓国料理ぐらいしか食べないんです。でも人生で初めてナシゴレンを食べたら、めちゃくちゃ美味しかったです。
──バリエーション豊かな衣装も写真集の大きな見どころです。
荒井 衣装合わせで持ってきていただいた衣装は、もっとたくさんあったんですよね。この中から好きな衣装を選んでくださいと言っていただいたんですが、私のクローゼットは真っ黒というぐらいモノトーンで暗めの服を着ちゃう傾向があるので、自分で選ぶと偏るなと。だったらお任せしたほうがいいなと思って、スタイリストさんに決めていただきました。

──撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?
荒井 メイクさんはSKE48でもお世話になっていた方だったのですが、スタッフの皆さんは初めましての方が多くて。でもアットホームな雰囲気で、皆さん優しかったです。私は水が苦手で、プールに入るのに時間がかかったんですけど、そのときも「できる範囲でいいよ」と言ってくださったんです。でも、どうせならと頑張って入ったんですが、思っていた以上に深くて……。全く泳げないので、動きがダサくて、ほぼ溺れていたようなものでした(笑)。
──お気に入りのカットとして、プールをバックに水着で後ろ姿のカットを挙げていただきました。
荒井 脊柱起立筋という筋肉があるんですが、よく褒められるんですよ。プロのトレーナーさんや、プロレスのお客さんからも「背中の筋肉がすごい」と言ってもらえることが多くて、唯一褒められる筋肉なんです。
──背中の筋肉は鍛えにくいと言いますよね。
荒井 意識的に鍛えた訳ではないんですが、バレエを10年間やっていたので、それでついた筋肉だと思います。先輩レスラーの方にも「背中すごいね!」と褒めてもらえるので、めちゃくちゃうれしくて。今回の写真集はバックショットが多くて、いろんな脊柱起立筋が見られるので注目していただきたいです。
──表紙のカットで食べているのはスターフルーツですよね。
荒井 そうなんです! スターフルーツも人生で初めて食べたんですが、それまで見たこともなくて。私のサインにもコスチュームにも星が入っているんですが、それにちなんでいます。
──なぜ“星”なのでしょうか。
荒井 プロレスを始めるきっかけになったのが、団体の社長さんからの「あなたをスターにしてあげます」という言葉だったんです。それから“星”が自分の中でもキーワードで、幾つかあった表紙写真候補の中で、スターフルーツはラッキーアイテムだなと思って選びました。でも表紙写真が公開されたときに誰も星について触れていなくて寂しかったです(笑)。
──写真集の発売が発表されたときのファンの方の反応はいかがでしたか?
荒井 SKE48の卒業公演で初めて発表させてもらったのですが、これから試合以外でファンの方と会えるか分からない状況の中で、写真集の発表ができて、皆さんとても喜んでくださいました。発売イベントで直接会えるのは私も楽しみです!

ケガをしたときに、「勲章だな」「かっこいい」と思える
──SKE48を卒業しようと決めたきっかけを教えていただけますか。
荒井 これというきっかけがあった訳ではないのですが、アイドルをやり切ったなという実感があったんですよね。卒業された先輩方から、「卒業する時期は自分で分かるよ」と聞いていたんですが、実際に私もこのタイミングだなというのが1年ぐらい前に見えて。それで卒業時期を決めて、全力で走ってきたので、そこに至るまでにやりたいことも全部やりましたし、一切の悔いがない状態です。
──プロレスと出会っていなかったら、また状況は違っていたと思いますか?
荒井 プロレスと出会っていなかったら、やり切って卒業できていなかったと思います。SKE48もプロレスに理解を示してくれましたし、東京女子プロレスもSKE48の活動を応援してくれて、両方からたくさんの愛情をいただいて活動ができました。
──約4年間、アイドルとプロレスの両立を続けていましたが相当大変だったかと思います。
荒井 スケジュール的にはしんどかったですけど、それでも長く両立を続けられたのは責任感が強いからだと思います。やると決めたことはやりきらないと納得できない性格なんです。
──いつ頃からプロレスが自分に合っているなと感じるようになったのでしょうか。
荒井 合っているかどうかは自分では分からないのですが、向いているんだなと感じることはたまにあって。たとえばケガをしたときに「勲章だな」と、アオタンとかができても、「かっこいい」と思えるんです。そういうことを周りに言うと、「めちゃくちゃ向いてるじゃん」と言われます。今も手に傷があるんですが、これは今年3月16日に里村明衣子さん(※今年4月29日に引退)との試合でできたものなんです。だから一生治らないでほしいと思っています!
──「ケガが勲章」という言葉にプロレスラーとしての矜持を感じます。
荒井 ずっと内緒にしていて、最近公表したんですが、実はプロレスラーとしてのデビュー戦で肋骨にヒビが入ってしまったんです。でも当時は公表してしまうとプロレスを辞めさせられると思って隠したんですよ。
──相当な痛みですよね。
荒井 試合中は気付かなかったんですが、帰りの新幹線ですごく痛くなって「ヤバいな……」と。笑うだけでも痛いんですよ。でもファンの方に「だからケガするって言ったじゃん」と言われたくなかったですし、プロレスファンの方から「鍛えてなかったからだろう」と言われるのも嫌ですし、ケガを隠したままSKE48のライブにも出ていました。デビュー戦からそういう洗礼を浴びましたが、そこから逃げ出さないという強い気持ちが、今に繋がっているのかもしれません。
──いつ頃からプロレスファンに認められたなと感じましたか?
荒井 選手の皆さんが輪の中に入れてくださって、優しく迎え入れてくれたのが大きかったのかなと思います。確かデビュー2戦目の後、1週間で6キロくらい痩せたんです。疲れ過ぎて食欲も湧かなくて、久しぶりに体重計に乗って自分でも驚きました。そのときも先輩たちが事あるごとに「食べなさい」と言ってくれて、外食ではなく、試合後にお家に呼んでくれて、ご飯を作ってくれたんです。そういうサポートが度々あって、それをプロレスファンの方も感じ取ってくださってどんどん認めてくださったように思います。いろんな選手と対戦していく中でも、評価してくださる声が増えていったので、それもうれしかったです。

目標は東京女子プロレスで東京ドーム大会をすること
──SKE48を卒業して2ヵ月が経ちますが実感はありますか?
荒井 あまりないですね。「明日練習に来てね」と言われたら、「分かりました」と即答するレベルです(笑)。ありがたいことに卒業してから、お仕事が続いているので、なかなか実感できないのかもしれません。半月ほどお休みもいただいたんですが、そんなに長いお休みはSKE48に加入してから初めてのことだったので、初めて家族で海外旅行に行ったんです。旅行先でも、いろんな場所に行きたくてバタバタしていたので、いつも以上に疲れました。
──4月18日(日本時間19日)には、ラスベガスで東京女子プロレスの「TJPW LIVE in Las Vegas」大会を開催、そこで荒井さんは全米デビューを果たしました。
荒井 アメリカは街中にプロレスの対戦カードのポスターが貼ってあって、タレントみたいにレスラーが紹介されています。その中には日本人のトップ選手も名を連ねていて、カルチャーショックでした。私はオープニングマッチを任せていただいたんですが、すごい盛り上がりで、まだまだ見たことのない世界があるんだ、もっと自分も頑張ろうと励みになりました。ただ私はアメリカ進出をしたいのではなく、アメリカに負けないぐらいの盛り上がりを、日本のプロレスでも見せたいなと思うんですよね。
──プロレスラーとしての当面の目標をお聞かせください。
荒井 大きい目標で言うと、東京女子プロレスで東京ドーム大会をすることです。2023年2月21日に武藤敬司さんの引退試合で、私たちも8人タッグマッチでリングに立たせていただいたんですが、ものすごいインパクトでしたし、これだけの観客を集められる武藤さんのすごさを改めて感じました。客席から武藤さんの試合を観させていただいたのですが、大きな東京ドームの真ん中に小さいリングがあって、会場にいる全員が試合に一喜一憂する姿に、めちゃくちゃ感動したんです。あの景色を目の当たりにしたことが夢に繋がっていきました。
──しかもご自身も、そのリングに立った訳ですからね。
荒井 試合後、東京のホテルに泊まったんですが、東京ドームに集まった観客の方々が同じホテルに泊まっていて。自分の試合を観たばかりの人たちが同じホテルにいるなんて初めてのことだったので、それだけ大きなイベントだったんだと改めて実感しました。東京女子プロレスの先輩方も、「次は後輩全員も引き連れて東京ドームに立ちたい」と口々に仰っていて、私もそう思ったんですが、口に出すのは勇気がいることなんですよね。ところが何を思ったか、SKE48の卒業公演で普通に言っちゃったんですよ。
──そうだったんですか!?
荒井 先輩方もたくさん観に来てくださっている中で、「東京女子プロレスで東京ドーム大会をやりたい!」と言ったんです。公演後に先輩方とお会いしたら、「私たちも思っていることだよ」とすごく喜んでくださって、私もうれしかったですし、みんな気持ちは一緒だと知ることができて絆も深められました。
(取材・文=猪口貴裕)