『R-1グランプリ2025』準決勝に吉住、ふかわりょうら34人 その見どころに迫る
18日、ピン芸人日本一を決める『R-1グランプリ2025』(フジテレビ系)の準決勝進出者34名が発表された。
史上最多となる5,511名がエントリーした今回の『R-1』は、過去3年間にわたって設けられていた「芸歴10年」という制限が撤廃され、オープン化して2年目。昨年は芸歴20年の街裏ぴんくが優勝をかっさらっていったが、今年もいずれ劣らぬ強豪が顔をそろえている。
2月2日に行われる準決勝にコマを進めたのは、以下の34名。
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ヒロ・オクムラ、苺ちゃん、真輝志、ZAZY、ホロッコこまり、ハギノリザードマン、須藤ジム、カシ、田津原理音、トンツカタン お抹茶、kento fukaya、友田オレ、金澤TKCファクトリー、岡野陽一、チャンス大城、ソマオ・ミートボール、中野なかるてぃん、ヒューマン中村、ななまがり 初瀬、かが屋 賀屋、かが屋 加賀、キンタロー。、ルシファー吉岡、今井らいぱち、紺野ぶるま、ふかわりょう、どんぐりたけし、ヤナギブソン、さや香 新山、ウエストランド 井口、こたけ正義感、マツモトクラブ、ヒコロヒー、吉住
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前年まで4年連続ファイナルに進出していた寺田寛明、3年連続だったサツマカワRPGが準々決勝で姿を消す波乱があった今回。そのほか、2度ファイナリストになっているYes!アキト、昨年アマチュアとして初のファイナリストとなったどくさいスイッチ企画をはじめとして、昨年の『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)準々決勝で話題を呼んだラパルフェ都留、河邑ミクや森本サイダー、レイザーラモンRGといった決勝経験者も数多く敗退しており、その激戦ぶりが拍車をかけているようだ。
ここでは、ハイレベルな面々が顔をそろえた準決勝の見どころをまとめてみたい。
ふかわりょう、生き残る
50歳、芸歴30周年にして初の『R-1』挑戦となったふかわりょうが、準決勝に残った。
デビューから間もなく「小心者克服講座」でブレイクを果たし、ピン芸人のフレーズネタというひな形を作ったといっても過言ではないふかわ。『R-1』が始まった2002年にはすでに『笑っていいとも!』(フジテレビ系)をはじめとした数々のレギュラーを経験しており、今回の挑戦の一報は界隈に驚きを持って伝えられた。
ふかわ本人は「お笑いライブを早くに退いてしまった。その後ろめたさみたいなのがどっかにあった」「やがて消えるかなと思ったら、それがまだいるんですよ」「後ろめたさの種がふわっと開花したような」とその動機をラジオ『ナイツのちゃきちゃき大放送』(TBSラジオ)で明かしているが、貫録を見せた形だ。
決勝進出、さらに優勝ということになれば、ふかわりょうという芸人のキャリアにとって大きな転換点になるに違いない。
猛威を振るう『R-1』レジェンド枠
芸歴制限撤廃によって、今年もレジェンドが猛威を振るっている。
過去6回のファイナル進出を誇るヒューマン中村、マツモトクラブ、ルシファー吉岡がともに準決勝進出。決勝に進めば最多出場記録の更新となる。
ルシファーは昨年のファイナルで1本目に圧倒的なネタを披露し、優勝に手をかけている。3年の芸歴制限期間では苦汁をなめているだけに、雪辱への思いは強い。
また、23年王者の田津原理音も意地を見せている。王者戴冠後はマネジメントトラブルもあってブレイクを果たせなかった田津原だったが、昨年春には大阪から東京に拠点を移し、心機一転。過去、『R-1』での複数回優勝は07・08年に連覇しているなだぎ武のみ。その歴史に新たな1ページを加えることができるか。
かが屋がコンビで準決勝へ
『キングオブコント』(TBS系)で2度のファイナルを経験しているコンビ・かが屋の加賀と賀屋が揃って準決勝に進出。決勝に進めば賀屋にとっては3位となった21年大会以来2度目、加賀にとっては初のファイナルとなる。
過去、コンビ揃って決勝に顔を出したのは、現在MCを務めている霜降り明星の18年大会のみ。この年の年末に霜降り明星は『M-1』チャンピオンになっており、秋の『キングオブコント』に向けて勢いをつける意味でもモチベーションは高いはずだ。
また、本来ピン芸人ではない“コンビの片割れ”としてはトンツカタン お抹茶、中野なかるてぃん、ななまがり 初瀬、さや香 新山、ウエストランド 井口が準決勝に残った。
『M-1』でほとんどピン芸である「見せ算」を披露して話題を呼んださや香 新山と、同じく『M-1』で「『R-1』には夢がない」と言い放ちながら『R-1』にも真摯な挑戦を続けているウエストランド 井口に注目したい。井口と言えば、YouTube「ぶちラジ」で毎年披露される『R-1』愚痴漫談にも期待が集まる。昨年の準決勝では楽屋にティッシュがなく、トイレットペーパーが置かれていたというエピソードで涙を誘っている。
また、ピン芸人同士でユニット活動をしている中では、「怪奇!YesどんぐりRPG」のどんぐりたけしが準決勝進出。サツマカワ、アキトの分まで健闘を誓っているはずだ。また「らぶらいken」からファイナル常連のkento fukayaと今井らいぱちの2人が勝ち残った。今井らいぱちは本番でMCを務める霜降り明星と同期、せいやとはルームシェア経験もあるほど関係性が深く、ファイナルに進出すればスタジオが盛り上がりそうだ。昨年の『M-1』でTKO・木下隆行、サツマカワとユニットを組んで盛り上げたこたけ正義感も、YouTubeで公開した単独ライブ『弁論』が大バズりして勢いに乗る。
女性芸人の復権なるか
『R-1』第1回の優勝者は女性芸人のだいたひかる。以降、21年のゆりやんレトリィバァの王座奪取まで18年という時間がかかっている。
今年の『R-1』準決勝に進んでいる女性芸人は、ホロッコこまり、キンタロー。、紺野ぶるま、ヒコロヒー、吉住の5名。吉住は昨年の準優勝を経て、『THE W』(日本テレビ系)との2冠達成を目指す。また、ホロッコこまりと吉住以外の3人が松竹所属、もしくは脱松竹組であることも興味深い。
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そのほか、昨年から2年連続ファイナルを目指す真輝志、準優勝を経験しているZAZY、すでにブレイクを果たしている岡野陽一やチャンス大城など、バラエティに富んだ顔ぶれがそろった『R-1』準決勝は来月2日、東京・NEW PIER HALLで行われる。
(文=新越谷ノリヲ)