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TKO木下、炎上騒動をYouTubeの「燃料」にするも復活の兆し見えぬ閉塞感

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謝罪さえも炎上してしまうTKO木下隆行(写真:サイゾー)

 中居正広の女性トラブル報道をはじめ近年、芸能界では女性への性加害問題が大きく取り上げられている。SNSの普及や告発文化の進展により、これまで表に出なかった被害が明るみに出るケースが増加。特に、#MeToo運動の広がりや社会全体のジェンダー意識の向上が、被害者が声を上げやすい環境を作り出したとも言える。

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 かつては「遊びは芸の肥やし」などと謳っていたお笑い芸人たちもこの例に漏れない。承知の通り、お笑い界の頂点を極めたダウンタウンの松本人志が女性への性加害疑惑を報じられ、松本を始め関係した芸人たちは今も大きな活動再開ができないでいる。

 また、過去には元タレントのマリエが、島田紳助や出川哲朗らによる圧力的なセクハラを告発したケースもあり、これまで業界内で隠蔽されてきた問題が次々と浮かび上がっている。

 これまで芸能界では、「お酒の席での振る舞い」や「芸人同士のノリ」として片付けられていた行動が、今では厳しく糾弾されるようになっている。

 そんな最中で、過去のセクハラ行為が告発されたのがTKO木下隆行だ。

 1月25日、YouTuberの青木歌音が自身のチャンネルで、過去に木下から性的強要を受けたと告発。この告発では、木下が自身の影響力を利用し、断りにくい状況を作り出したとされている。青木の証言は瞬く間に拡散され、SNS上で大きな議論を巻き起こした。

 これを受けて、木下自身もYouTube動画を公開し、一部事実を認めた上で謝罪。

 しかし、その内容が青木が実際に受けたものと大きく異なっていたと発言したので、再び炎上、今度はネットニュースも取り上げる騒動になっている。

不祥事後の芸能活動復帰、分かれる明暗

 近年、芸能界では不祥事によって活動を休止し、その後復帰を目指すケースが多く見られる。特に芸人はYouTubeに活動の場を移して再び地上波に返り咲くことが多い。だが、同じく問題を起こしても、復帰の仕方や世間の受け止め方によって明暗が分かれることがある。

 その代表例として、芸歴30年前後のTKO木下隆行(52歳/1990年コンビ結成)、アンジャッシュ渡部建(51歳/1993年コンビ結成)、チュートリアル徳井義実(48歳/1998年コンビ結成)を比較してみよう。

チュートリアル徳井義実—静かな復帰と信頼回復

 まずチュートリアルの徳井義実は2019年に「1億2000万円の申告漏れ・所得隠し」が発覚し、一時活動休止。当初は批判を浴びたが、復帰を急がず、時間をかけて慎重に露出を増やす戦略を取った。YouTubeでは趣味のキャンプやカルチャーをテーマにした動画を投稿し、騒動とは距離を置く形で視聴者と向き合っている。

 「コロナ禍でのキャンプブームもあって、キャンプ系チャンネルのトップランカーです。企業案件もありますが、どれもチャンネルと関係したものだけですし、ロゴも猫のシルエットを利用して控えめ。サブチャンネルをたくさん作ったりするでもなく、ひたすらキャンプして、お酒を飲んでる姿は、いつも中年の哀愁がただよい、反省してる感が抜けてない感じがしますよね。テレビ復帰直後は少しだけネットニュースでも書かれましたが、今ではすっかり忘れられてるんじゃないでしょうか」(YouTube番組ディレクター)

アンジャッシュ渡部建——時間をかけた復帰戦略

 続いてアンジャッシュの渡部建は2020年に「多目的トイレ不倫」問題が発覚し、活動休止。謝罪会見では対応のまずさが目立ち、復帰は難航。何をやってもネットニュースで叩かれ公の場から姿を消し、時間をかけて沈静化を待つ形となった。

 2022年にはローカル局千葉テレビの『白黒アンジャッシュ』で活動を再開したもののまたしても大炎上、なかなか地上波に復帰できない状態が今日まで続いている。ただし、ラジオやネット番組、YouTubeで露出が増加しはじめ、地上波にも少しずつ出演しはじめている。

 「なにをやってもだめなんでもう終わりかと思ったんですが、活動休止以前から得意だったグルメ系ネタで、講演会や個人サロンを展開し、自分のファンへの信頼回復につとめてきました。ちょうど1年前に始まったYouTubeの冠番組『アンジャッシュ渡部がいつか地上波のグルメ番組に出ることを夢見てロケハンする番組。』が徐々に人気を集め、ここ数カ月で異常なバズり方をして、今ではチャンネル登録数45万人となっています。今年からは新しいグルメ番組も始まって、いよいよ復活の感じです。この番組はどちらも、渡部さんが個人で運営しているのではなく、企業提供の番組なんですよ。だから渡部さんがちゃんと企業からOKをもらってる存在になったのがでかい」(同)

TKO木下隆行——繰り返される炎上

 さてでは現在の炎上人、TKOの木下はどうだろうか。後輩芸人へのパワハラ問題が明るみに出たことで炎上し、結果的に2020年に松竹芸能を退所した木下。特に、後輩芸人にペットボトルを投げつけた事件や、土下座を強要したエピソードが報じられたことで、世間の印象は大きく悪化した。

 退所後はYouTubeで活動を続け、復帰を試みたが、動画内での言動が炎上を招くことが多く、完全な復帰には至っていない。さらに、青木歌音の告発により、性加害疑惑が加わったことで批判はさらに加速。木下はこれを否定しつつも、一部事実を認め謝罪したが、ネット上では厳しい批判が続いている。

 木下は、問題発覚直後はYouTubeチャンネルを頻繁に更新していたが、現在は更新頻度が激減している。相方・木本 武宏も問題を起こして事務所を退社、二人で再始動しTKOのチャンネルのほうがまだ更新数が多く、今回の謝罪動画もTKOチャンネルに掲載されている。

「個人的な炎上なんだから、自分のチャンネルにアップするべきですよ」(同)

 芸歴が近く、問題を起こしたのも2020年ごろの3名だが、木下だけYouTubeに活躍の場を写せてはおらず、ファンを獲得できていない。木下の番組もTKOの番組も、視聴数は良くて数万回、ほとんどは数千回程度にとどまる。

 YouTubeに携わる放送作家が語る。

 「木下さんの番組は見る気がしないんですよね。周りに見てる人もいません。というのも、木下さんの番組は他の二人と違って、YouTuberのマネごとなんですよ。最近特に人気のある芸人のYouTubeは、そもそもYouTuberの企画を意識せず、お笑いを動画で表現しているものが多いんです。佐久間宣行さんの『ノブロックTV』とかもそうですよね。でも木下さんはパット見たかぎり、企画もほとんどだれかのパクリでオリジナリティがない。受けてる動画は、過去に揉めた芸人を呼んだりしたものばかりです。でも結局パターンも同じだしあきられちゃいますよね」

 たしかに炎上を逆手に取るようなスタイルはTKOも木下単独チャンネルも同じ。それらも、ユーモアを交える発言や過去の不祥事を軽く扱う姿勢が見られ「本当に反省しているのか」と疑問視されることが多かった。その結果、復帰の場として機能するどころか、逆に再炎上を繰り返す要因となっている。

 「もっとも邪悪だなって思うのが、結構頻繁に神妙な面持ちで、謝罪動画とかご報告です動画とか緊急です動画、物申す動画を出しているんですよ、白シャツを着て。しかも、これだけ世間が性加害問題で大騒ぎになっているのに、今回の謝罪動画に関しては、自分の運営するアパレルの商品っぽい(ウェブサイトリニューアル中のため確認できず)、犬のイラストが入ったシャツを着て出るですよ。ことの重大さから言ったら、ちょっとありえないかなって思います」(前出のYouTube番組ディレクター)

 また前出の放送作家も続ける。

 「もともと後輩たちから厄介な存在として扱われてました。パワハラ的なことだけではなく、なにがあってもぜったいいじらせないんですよね。渡部さんなんてネット番組でも、地上波でもまずはいじられる役としてでています。『ノブロックTV』の企画でめちゃくちゃに罵倒されているのをみても、世間的にあれだけいじり倒してもOKなキャラクターはなかなかいませんから。木下さんは、いじられたとしてもどこかに反撃をにおわせるというか、パワハラ臭さをにじませる演出になっちゃうので扱いづらいですよね。視聴者の反感を買う存在なんだっていうところからちゃんとスタートしないと、どのメディアであってもファンは獲得できないですよ」

 もともとのタレント力と言ってしまえばそれまでかもしれないが、まずは謝罪動画に関する疑義について、しっかり対応するところがスタートになるのだろうか。

(文=黒崎さとし)

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黒崎さとし

編集者、ライター。1983年8月3日、茨城県生まれ。ライター・編集者。普段は某エンタメ企業に勤務してます。

X:@kurosakisatoshi

黒崎さとし
最終更新:2025/02/01 14:17