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フット後藤らが絶賛! 銀シャリの高い実力と「過小評価」の理由を識者が解説

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イメージ画像(写真:Getty Imagesより)

 フットボールアワーの後藤輝基が「もっと評価されるべきモノ」として、銀シャリの漫才を挙げたことが話題になっている。小籔千豊や千原ジュニアも同調するなど、人気芸人たちがこぞって評価する銀シャリの魅力や業界内の評判について、お笑い事情に詳しい芸能ライターの田辺ユウキ氏が解説する。

 フットボールアワー、小籔、千原が出演するYouTubeチャンネル「ざっくりYouTube」の12日に投稿された動画では、実力に反してあまり評価されていないものを褒めていく新企画を実施。後藤は「ちょっとまじめな話していいですか」と前置きした上で、銀シャリの漫才を挙げた。

 後藤は「もっと漫才番組に銀シャリが出ていいと思ってるんですよ」と訴え、番組側が「CMの後、ついに銀シャリ!」と煽りに使ってもいいくらいの実力者だと力説した。

 これを聞いた小籔は「NGK(なんばグランド花月)とかでエグいくらいウケてて、ちょっと頭一個抜けてる」と、劇場での爆笑度の高さを例にして同調。さらに、後藤は「橋本(直)の脳がフル回転の時、音が聞こえてくるよう」「頭が回りすぎてダーッと(ツッコミの)言葉が出すぎて、お客さんがついていけなくなる瞬間が多々ある」と橋本の頭の回転の速さを絶賛した。

 また、千原は「本番直前、橋本が鰻(和弘)に『ピラフが一番うまい』とだけ言ってくれって。それで出て行って、橋本がツッコミまくって、めちゃくちゃウケたらしくて」と驚きのエピソードを明かし、橋本について「ファインプレーばっかりしたい」と心理を分析した。

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銀シャリが過小評価されてきた理由

 銀シャリは鰻和弘と橋本直のコンビで、2005年に結成。当初から若手らしからぬ「古風な王道漫才」スタイルで注目され、2016年の『M-1グランプリ』で優勝したことで実力派コンビとして広く認められた。しかし、爆発的に売れたという印象はなく、それが後藤が「もっと評価されるべき」と熱く語った要因になったとみられる。

 これをきっかけに再評価が進むことが期待されるが、実力に比べて銀シャリが過小評価されてきた状況について、芸能ライターの田辺ユウキ氏はこう分析する。

「2016年の『M-1』優勝前から銀シャリの漫才はもちろん見ていましたし、早くからその漫才のうまさは評価されていました。ただ、若手なのにうますぎるゆえ、隙がないのと、ベテラン的風格もあってかわいげにも欠けていたのかもしれません。なにより銀シャリというコンビ名が渋すぎますよね(笑)。それでも若手時代は鰻さんがアイドル的人気を誇っていて、女性ファンも結構多くいた印象です。ただ、やはり若手時代から中堅コンビ、ベテランコンビみたいな風格が漂っていたため、若手特有の勢いみたいなものが感じづらく、それが爆発的人気に至らなかった理由に当たるのかもしれません」

 人気芸人たちがべた褒めした銀シャリを、田辺氏はこう評価する。

「個人的には、橋本さんは特に業界内での評価が高いと感じられます。素晴らしいのが、『たとえツッコミ』の引き出しの多さ。銀シャリのYouTubeチャンネルには、橋本さんのたとえツッコミの数々が堪能できる『銀シャリ橋本の神ツッコミ&例えまとめ集』という動画が載っているのですが、たとえば串カツ屋でのロケで壁にかけられているメニュー板を見渡して『これ、道場破りして持って帰ろかな』と言ったり、一緒に呑んでいる鰻さんの服の生地を触りながら『女性が着るワンピースの生地や』とイジったり。どれもワードチョイスが絶妙で、しかもそれが瞬発的に出てくるのが見事。あと、どんなに細かい会話も拾い上げて、たとえツッコミの“餌食”にするところもすごく、まさに『たとえツッコミ界の必殺仕事人』だと思います。

 鰻さんもいい具合で、橋本さんが釣り糸を垂らして待ち構えている『たとえツッコミの餌』に食いついていきます。そういったコンビネーションがあるからこそ、仕事が途切れることがないのでしょう。おそらくこのうまさは年数を重ねれば重ねるほど、名人芸として評価されるはず。そして師匠クラスになったとき、橋本さんは賞レースの審査員として呼ばれるようになるのではないでしょうか。そう考えると銀シャリは、『M-1』を獲っているものの、真価を発揮するのはまだ先な気がします」

もっと評価されるためには……

 橋本の頭の回転の速さやツッコミ技術は業界内でも高く評価されているようだが、テレビ東京系バラエティ『ゴッドタン』では、橋本がツッコミのテクニックを披露することができる番組がなかなかないという実情がネタにされていた。それも銀シャリの実力に評価が追いついていない原因の一つといえそうだ。これについて、田辺氏はこう指摘する。

「今のバラエティ番組って、極端に言うとひな壇に10人のボケ芸人やイジられ芸人が座って、1人か2人のツッコミ芸人がそれをさばいていくタイプのものが多い気がします。その1人、2人のツッコミ芸人の枠には、まさにフットボールアワーの後藤さんや、くりぃむしちゅーの上田(晋也)さんあたりが座りがち。『たとえ』の巧みさを武器とする同系統のツッコミ芸人である橋本さんには、なかなかその順番が回ってこないのが現状だと思います。

 あと橋本さんはいかにもツッコミ芸人で、イジられるタイプではありません。現在のバラエティはイジられるタイプが強いので、実力を見せる機会が少ないのではないでしょうか。あとバラエティ番組的には、ボケ芸人やイジられ芸人でオチをつけるほうが、そのくだりがすんなり収まるので、そういった編集点や展開部分も、橋本さんの出番が少なくなる理由なのかもしれません」

 銀シャリが実力に見合った評価を得るためにはどうしたらいいのか。田辺氏はこう提言する。

「橋本さんがバラエティ番組でその高い技術を遺憾なく発揮するためには、やはり冠番組やメインMC番組を増やすしかないでしょう。最初はきっと視聴率的なところで伸びづらいと思います。それでも橋本さんや、銀シャリのコンビとしての実力を買って、長い目で番組作りをやっていくテレビ関係者がいれば、もっと陽の目を浴びる気がします。

 もう一つ、銀シャリはラジオスターの可能性を秘めていると思います。橋本さんはトークが上手で、鰻さんはツッコまれる要素がたくさんあるので、しゃべりやその空気感をメインとするラジオはぴったり。実際、銀シャリのラジオ番組はどれも長続きしています。年齢を重ねていって、ちょっと上の世代をターゲットにした全国規模の番組をやるようになれば、ラジオスターの道がひらけていく予感がします」
(文=佐藤勇馬)

協力=田辺ユウキ
大阪を拠点に芸能ライターとして活動。映画、アイドル、テレビ、お笑いなど地上から地下まで幅広く考察。

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佐藤勇馬

1978年生まれ。新潟県出身。SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。著書に『ケータイ廃人』『新潟あるある』がある。

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最終更新:2025/03/21 09:00