『ライオン・キング』が金ロー放送、若者世代が知らない「トリビア」と「盗作騒動」
12月20日に全国で封切られたディズニー映画『ライオン・キング ムファサ』の公開を記念し、2025年1月3日の日本テレビ系『金曜ロードショー』にて、ディズニー映画『ライオン・キング』が本編ノーカットで放送される。
1月に放送される2019年公開の『ライオン・キング』は、1994年に公開された『ライオン・キング』がベースになっている。同作は、当時のアニメーション映画の全世界興収新記録を樹立。今回は、歴史的名作を最新フルCGで甦らせ、実写を超えたリアリティを実現させた“超実写版”として放送されるという。
多くの人々に再び感動を与えてきた『ライオン・キング』だが、ユニークな“トリビア”も多く存在する。映画ライターが言う。
「当初、映画のタイトルは『キング・オブ・ザ・ジャングル』でした。しかし、ライオンはジャングルではなくサバンナに生息しているという事実にスタッフが気づき、タイトルが『ライオン・キング』に変更されました。また、1994年版の主人公シンバの両親・ムファサとサラビの声を担当したジェームズ・アール・ジョーンズとマッジ・シンクレアは、1988年公開の映画『星の王子 ニューヨークへ行く』でも王様と王妃を演じています。ちなみに、ジェームズ・アール・ジョーンズは『スター・ウォーズ』のエピソード4~6で、ダース・ベイダーの機械合成の声を担当しています。『ライオン・キング』の作中ではシンバに『お前は私の息子だ』と語りかけるシーンがあるのですが、これは『スター・ウォーズ』のパロディだと言われています」
また、『ライオン・キング』といえば、製作が発表された前後に「盗作騒動」を巻き起こしたことも有名だ。
「アメリカのファンやマスコミが“漫画の神様”手塚治虫による1960年代のテレビアニメ『ジャングル大帝』とプロットやキャラクター、いくつかのシーンが酷似していると指摘。日本でも疑念を抱いた里中満智子などが漫画家82人を含む計488人の署名を添え、配給を行うブエナ・ビスタ・インターナショナルへ国際宅配便で質問状を送っています。これに対し、ディズニーサイドは、《(ディズニーアニメの)『バンビ』にシェイクスピアの戯曲『ハムレット』を足して、アフリカを舞台にした作品が『ライオン・キング』》だと完全否定。当初、製作者は『ジャングル大帝を見たことがない』と言っていましたが……」(サブカルライター)
確かに、主人公のライオンが父親を亡くし、その後さまざまな困難を乗り越えて成長し、王の座を取り戻すという基本プロットは同じ。また、動物たちの群れや自然の中での冒険、家族や友情のテーマなど、いくつもの類似点が見られる。
さらに、『ジャングル大帝』の主人公・レオの名前はアメリカ版で「Kimba」と変更されていたが、『ライオン・キング』の主人公・シンバ(Simba)と名前が酷似。他にも、象徴的なシーンや構図の類似性も指摘され、偶然とは思えないとの声が上がった。
「最終的に、手塚治虫の遺族はディズニーを訴えないことを決めました。その理由は、手塚自身がウォルト・ディズニーに深い敬意を抱いていたこと。彼はディズニーの影響を受けて作品を生み出しており、『ジャングル大帝』もまたディズニー作品『バンビ』から着想を得ています。文化は模倣とインスピレーションの連続で成り立つものであり、“手塚が生きていれば、この事態を光栄に思っただろう”という手塚プロダクションの判断があったようです」(前出・サブカルライター)
『ライオン・キング』は、1997年にブロードウェイでミュージカル化もされ、日本でも劇団四季の上演が「観客動員数最多記録」となるなど、ストーリーの普遍性とキャラクターの魅力、そして音楽や映像美を通じ、世代を超えて進化を遂げている。
その影響は、日本のアニメ界や手塚治虫作品へのリスペクトとも深く結びついており、“文化の架け橋”としての役割を果たしているとも言えそうだ。
(取材・文=サイゾーオンライン編集部)