CYZO ONLINE > カルチャーニュース > ブルック・シールズは今や「中高年の星」

思春期前にセックスシンボルになったブルック・シールズは今や「中高年の星」

文=
思春期前にセックスシンボルになったブルック・シールズは今や「中高年の星」の画像1
Brooke Shields(写真:Getty Imagesより)

 女優のブルック・シールズ(59)が、このところ米国のテレビ番組に引っ張りだこだ。年明けは「彼女を見ない日はない」というほどだ。1月14日に最新の自叙伝を出版し、芸能界の裏話や加齢、セックス、結婚生活などを赤裸々につづり注目を集めている。思春期前に世界のセックスシンボルとなった異色のスターが、再び「中高年の星」として脚光を浴びている。

ニューヨークで注目されていたのは「自分でなく娘たちだった」

 自叙伝のタイトルは「Brooke Shields Is Not Allowed to Get Old(ブルック・シールズは老いることは許されない)」。自身の4冊目の著書となる。

 ブルック・シールズは母親が元女優であったことから、乳幼児のころから芸能界にかかわり、11歳でハリウッド女優としての活動を始めた。1978年公開の映画『プリティー・ベイビー』では12歳の売春婦を演じて話題となった。14歳で出演した『青い珊瑚礁』ではセックスに目覚める漂流者を演じ、世界中の若者をときめかせた。

 身長183センチ。モデルでもキャリアを積んだそのスタイルは健在だ。テレビを通して映し出されるブルック・シールズの姿に多くの視聴者はため息をつく。

 しかし、ブルック・シールズは自叙伝の序章でこう記している。

「私が『ある年齢』に達したことを初めて実感したのは、娘たちとニューヨークのダウンタウンで散歩していた時だった」

「私たちは、私を真ん中に並んで歩いていたが、さまざまな通行人からの賞賛の視線に気づかないわけにはいかなかった」

「路上で(一般の通行人から)視線を向けられるのには慣れているが、この時は何かが違っていた」

「視線は私に向けられているのではなく、隣にいる2人の若い美人に向けられていた」

 ブルック・シールズは1997年、男子テニスの大スター選手、アンドレ・アガシと結婚したが、約2年で破局した。2001年に脚本家・映画プロデューサーのクリス・ヘンチーと再婚し、2人の娘を授かった。娘は現在、21歳と18歳で美しい盛りだ。
娘の成長に目を細めるものの、世間の目が自分から離れてゆくことに、寂しさと「老い」の現実を思い知らされた。

日本にはない米テレビ番組『サタデー・ナイト・ライブ』

「膣引き締めサービスしておきました」医師の言葉に愕然

 自叙伝は、加齢に伴う身体やセックスの変化について率直に書かれている。衝撃的なのは、女性器の手術を受けた際のエピソードだ。

 長年、摩擦と出血に悩まされていたが、婦人科の医師に勧められて大陰唇の形成手術を受けた。性の悩みというよりも健康を考えての手術だったが、その際、担当した医師が勝手に膣(ちつ)の引き締め手術を行っていた。

 手術後にこの医師は「ちょっとサービスしておきました。一石二鳥だね」と誇らしげに説明したという。

 ブルック・シールズは「膣の締りをよくしたり、引き締めて若々しくみせたりする必要はなかった」としており、「ひどい侵略行為というか、何かレイプを受けたような奇妙な感じがした」と怒りを記している。

 手術後、この事実を夫になかなか話せなかったが、あえてそれを著書でつまびらかにしたことについては、こう記している。

「非常に私的な情報を世間にシェアすることが、まったく恥ずかしくないかといえばうそになる。しかし、女性の健康を守るためには、たとえいやなことであってもリアルな問題として訴えていく必要がある。恥ずかしいなどと考えていられない」

 担当医師を提訴する選択肢はあったが、「手術をして正解だと他人に決めつけられるのがいやだった」ので裁判には訴えなかったという。

『ホーム・アローン』の人気ぶりがフェイク続編でも明らかに?

暴言吐いて謝罪に来たトム・クルーズ かつての問題蒸し返す

 一方、芸能界の裏話では同世代の俳優であるトム・クルーズをやり玉に挙げた。

 トム・クルーズはデビュー作がブルック・シールズ主演の『エンドレス・ラブ』でもあることからプライベートでも仲がよかったとされていたが、2005年、NBCテレビの朝の番組に出演した際、産後にうつ状態に陥ったブルック・シールズが精神安定剤を飲んでいることを非難し、女優としてのキャリアがパッとしないのもそのせいだ、という趣旨の発言をした。

 これに対してブルック・シールズはニューヨーク・タイムズにコラムを寄稿し「クルーズのくだらない発言は出産を体験した女性に対するひどい仕打ちだ。この騒動でこの病気が注目されることが唯一の救いとなる」と反論した。

 今回の自叙伝では、トム・クルーズが謝罪してきたことを明らかにし、トム・クルーズを「教育を受けていない俳優」と言い切り、「世界でベストな謝罪ではなかったが、それが彼の能力であり受け入れた」と書いている。

 トム・クルーズによる謝罪は、2006年の段階でブルック・シールズ本人が明らかにしていることだが、今回の自叙伝で蒸し返した形となった。

 ブルック・シールズは『青い珊瑚礁』公開の3年後に女優活動を休止し、米国のアイビーリーグでも「別格」といわれるプリンストン大学に入った才女だ。フランス語を専攻し、優秀な成績で卒業したことで知られる。

 現在は米国の俳優、舞台監督ら5万人以上で組織する労働組合「アクターズ・エクイティ・アソシエーション」の代表も務めている。赤裸々な自叙伝は米国女性に好評で、ブルック・シールズの存在感が増している。

(文=言問通)

言問通

フリージャーナリスト。大手新聞社を経て独立。長年の米国駐在経験を活かして、米国や中南米を中心に国内外の政治、経済、社会ネタを幅広く執筆。

最終更新:2025/02/01 14:00