卓球・丹羽孝希選手が書類送検、有名人も広告塔を務める「オンラインカジノ」のグレーな闇
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2021年の東京五輪の卓球男子団体で銅メダルを獲得するなどした卓球の元日本代表・丹羽孝希選手が海外の「オンラインカジノ」を利用したとして賭博容疑で書類送検された。
卓球Tリーグの岡山リベッツは丹羽選手との契約解除を発表。
チームの羽場誠代表取締役や白神宏佑監督も減俸処分となる異例の事態となっており、丹羽選手は千葉県警の事情聴取に対し、容疑を認めているという。
「チームの説明では、オンラインカジノの利用のキッカケはインターネット広告で、23年8月以降は一切利用しておらず、借金もないとのこと。Tリーグ関連の試合には賭けておらず、海外のスポーツやルーレットに賭けていたといい、丹羽選手本人は『普通にネット広告で見かけたので、違法とは思わなかった』と釈明しています」(スポーツライター)
オンラインカジノとはネット上で運営されているカジノのことであり、バカラやスロット、ポーカー、スポーツベッティングなど、実際のカジノと同様の賭博を楽しめる。
海外では合法的に運営されている国も多く、例えばイギリスやマルタでは政府公認のライセンスが発行されている。
しかし、日本国内からの利用は違法とされており、警察庁のホームページでは、〈賭博罪 賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料〉、〈常習賭博罪 常習として賭博をした者は、3年以下の懲役〉と明記されている。
だが、この騒動に対してネット上では「普通にネット広告とかで見るから、合法だと思っていた」や「当たり前のようにバナーに出てくるし、違法だと知らなかった人は多いはず」との声も多い。
実際、オンラインカジノの広告は日常的に目にする機会も多く、著名人がアンバサダーを務めるケースも。
影響力のある人物がオンラインカジノを宣伝することで、合法だと誤解する人も少なくない。
この背景には、人気セクシー女優やグラビアアイドルらも広告に起用されていたことも理由として上げられるだろう。また、サッカーの元日本代表キャプテンだった吉田麻也選手がオンラインカジノの「ベラジョン無料版」の広告に登場したことは大きな話題となった。
「こちらは世界的なオンラインカジノブランドが運営する完全無料で遊べるオンラインゲームで、違法性はありません。しかし、『オンラインカジノの闇』をテーマにした2022年放送の報道番組『クローズアップ現代』(NHK)では、多額の借金を費やしオンラインカジノにのめりこんだ人や、法的に問題がない『無料版ゲーム』の広告から違法のオンラインカジノへと誘導する仕組みなど、数々の問題点が掘り下げられました。その際、映し出されたのが『ベラジョン無料版』で、吉田の顔にはモザイクがかけられていました。番組ではギャンブルの相談支援を行う民間団体や弁護士たちが、『著名人が出演する無料版ゲームの広告は、違法性はないものの、カジノへ誘い込む呼び水になっている』と警鐘を鳴らしていました」(前出・エンタメ誌編集者)
オンラインカジノ事情にも詳しい芸能ジャーナリストの竹下光氏はこう語る。
「『オンラインカジノ』についてはスポーツ紙なんかも『無料版ゲーム』の方とはいえ、記事広告などの形でその魅力を紹介したりなどもしており、広告塔やイメージキャラクターになっている芸能人や著名人、プロアスリートばかりに厳しい目を向けるのは不憫な気もします。その一方で、『オンラインカジノ』に関する何かネガティブな事象が起きたり、ニュースが報じられたりした際に自身にも火の粉が降りかかるリスクは理解しておく必要はあるでしょう」
そんな中、最近では芸人の間でもオンラインカジノ利用の疑惑が浮上しているが……。
「昭和の時代の芸人の生き様と言われた『飲む・打つ・買う』ではないですが、コンプライアンスに厳しい令和のご時世でも『打つ=ギャンブル』に関しては競馬や麻雀、パチンコ&パチスロなどをこよなく愛する芸人も多いですからね。当然のことながら違法性のあるものに手を出すことはご法度ですが、違法と知ってか、知らずか、数多いる芸人の中にオンラインカジノに興じている者がいてもそのこと自体に驚きはありません」(前出の竹下氏)
丹羽選手の書類送検は単なるスポーツ選手の不祥事にとどまらず、海外の合法サイトの広告が日本国内に流れ込むことで、消費者が違法性を認識しづらいという問題を浮き彫りにしたとも言える。
トッププロである丹羽選手だけに「お金がない」ということは考えにくいが、それだけに誰もが気軽にアクセスできるオンラインカジノという“グレーな闇”は、ハマると沼落ちしてしまう得体の知れない魅力があるということか。
(取材・文=サイゾーオンライン編集部)