CYZO ONLINE > カルチャーニュース > BTTF3、このときから発症していたマイケル
『金ロー』を独自視点でチェック!【27】

完結編『バック・トゥ・ザ・フューチャー3』実はこのときから発症していたマイケル

完結編『バック・トゥ・ザ・フューチャー3』実はこのときから発症していたマイケルの画像1
マイケル・J・フォックス(写真:Getty Imagesより)

「未来は自分でつくるものさ」

BTTF唯一の欠陥

 天才科学者・ドクの名台詞で知られるのが、SFコメディ映画『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』(1990年)です。デロリアン型タイムマシンに乗った主人公たちの珍騒動を描いた三部作の完結編として、多くの人に親しまれています。

 2月21日(金)の『金曜ロードショー』(日本テレビ系)は、『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』をオンエアします。マーティ/宮野真守、ドク/山寺宏一の新吹替コンビの声も3週連続となり、かなり聞き慣れてきたのではないでしょうか。

 そんな『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』の見どころと、主演俳優マイケル・J・フォックスのその後について触れたいと思います。

人間は遺伝子に左右される動物?

 先週放送の『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』(1989年)で、1955年に取り残されてしまったマーティ(マイケル・J・フォックス)。タイムマシンを発明したドク(クリストファー・ロイド)が1885年に飛ばされたと知り、1955年のドクに協力してもらうことで19世紀まで迎えにいきます。

 マーティが到着した先は、まさに西部開拓時代。マーティが生まれ育った町・ヒルバレーが、これから造られていくところです。

 マーティの先祖であるシェイマス・マクフライ(マイケル・J・フォックスの2役)とその妻・マギー(リー・トンプソン)はお人好し夫婦で、倒れていたマーティの世話を焼きます。マーティの宿敵であるビフ(トーマス・F・ウィルソン)の先祖ビュフォード・タネンは荒くれ者で、すぐに銃をぶっ放そうとします。人間は遺伝子に左右される動物であることを強く感じさせます。

 鍛冶屋として働いていたドクにうまく再会できたマーティですが、そのドクは暴走する馬車に乗っていた貴婦人・クララ(メアリー・スティーンバージェン)を救ったことから、クララと恋に陥るのでした。愛犬アインシュタインの待つ現代(1985年)へ戻るべきか、クララとの愛に進むべきか。ドクは究極の選択を迫られます。

タイムリープと恋愛ドラマは相性がいい

 クララ役のメアリー・スティーンバージェンは、H・G・ウェルズ原作のSF映画『タイム・アフター・タイム』(1979年)でもヒロインを演じています。ドクとクララ、共にフランスのSF作家ジュール・ヴェルヌを敬愛する2人が、時代の壁を越えて愛し合う大人の恋愛ドラマとなっています。

 タイムリープものと恋愛ドラマは相性がいいようです。スーパーマン俳優として有名だったクリストファー・リーヴが、『007 死ぬのは奴らだ』(1973年)のボンドガールだったジェーン・シーモアと共演した『ある日どこかで』(1980年)は、不朽のSF恋愛映画として根強い人気があります。

 実写映画『時をかける少女』(2010年)に主演した仲里依紗は、共演した中尾明慶と結婚に至っています。『バタフライ・エフェクト』(2004年)で恋人を不幸から守ろうとする主人公の最後の決断は、泣かせるものがあります。

 多くのタイムリープものは物語の終わりに悲しい別れが待っているのですが、『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』は他のタイムリープものとはひと味違った結末となっています。ロバート・ゼメキス監督らしい作品だと言えそうです。

リー・トンプソンが選んだ意外なキャリア

 そのゼメキス監督ですが、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』三部作を大ヒットさせた後、やはり同じテーマの作品を撮っています。ジョディ・フォスター主演のSF映画『コンタクト』(1997年)では、壮大な宇宙旅行の果てに主人公は幼いころに死別した父親と再会することになります。これも時空をこえた愛の物語です。

 マーティが暮らすヒルバレーの歴史を『バック・トゥ・ザ・フューチャー』三部作で描いたように、最新作『HERE 時を越えて』(4月4日公開)では主人公たちが暮らす一軒家およびその土地を、太古の時代から未来までを定点観測して描いてみせています。三部作の成功体験は、ゼメキス監督に大きな影響を与えたことは間違いありません。

 キャスト陣のその後も見てみましょう。ドク役で人気者になったクリストファー・ロイドは、『アダムス・ファミリー』(1991年)のフェスター役も当たり役としています。マーティのガールフレンド・ジェニファーを演じたエリザベス・シューも、『ピラニア3D』(2010年)に主演するなど元気に活躍しています。

 ユニークなキャリアを歩んでいるのは、マーティの母親・ロレインを好演したリー・トンプソンです。最近は姿を見なくなったなぁと思っていたのですが、TVドラマのディレクターとしてバリバリ働いているようです。

30歳の若さで発症していたマイケル・J・フォックス

 永遠の高校生、マーティ・マクフライを演じたマイケル・J・フォックスは、ハリウッドスターとして『摩天楼はバラ色に』(1987年)や『ドク・ハリウッド』(1991年)など数々のコメディ映画に主演しています。しかし、実は『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』が公開された1991年には難病とされるパーキンソン病を発症していたことを自伝『ラッキーマン』(ソフトバンククリエイティブ)で明かしています。

 病気と闘いながら、TVドラマ『スピン・シティ』の主演を長年務めたマイケルですが、症状が悪化して2000年に降板。2億ドルを投じて「パーキンソン病研究のためのマイケル・J・フォックス財団」を創設し、パーキンソン病患者たちを支えています。

 2013年~14年に放映されたTVドラマ『マイケル・J・フォックス・ショウ』では、クリストファー・ロイドとの久しぶりの共演も果たしました。『マイケル・J・フォックス・ショウ』は第1シリーズのみで終了したものの、マイケルは今なお俳優への復帰を目指しているそうです。

 過酷な運命に絶望することなく、病気と闘い続けるマイケルの近況を聞くたびに、ドクの言葉が思い出されます。冒頭で紹介した「未来は自分でつくるものさ」という台詞です。

 遺伝子のせいとか、親ガチャとか言って自分の人生を嘆いている人は、マイケルの自伝を読んでマジで考え直したほうがいいと思うよ。

BTTF2はトランプ大統領

(文=映画ゾンビ・バブ)

映画ゾンビ・バブ

映画ゾンビ・バブ(映画ウォッチャー)。映画館やレンタルビデオ店の処分DVDコーナーを徘徊する映画依存症のアンデッド。

映画ゾンビ・バブ
最終更新:2025/02/21 12:00