森保一監督が佐野海舟を視察、代表招集間近か…くすぶる性的トラブル炎上の「リスク」と「中居騒動の影響」

サッカー日本代表の森保一監督が2月8日、ドイツ・ブンデスリーガのマインツに所属するMF佐野海舟がフル出場した、ホームでのアウクスブルク戦を視察。試合後には佐野本人と会話したことを明らかにした。佐野の日本代表への招集が近づいてきたと見る動きもあるが、一方で佐野が起こした不同意性交事件をめぐり、慎重論は概ね強い。
佐野は現在、マインツでは守備的MFとしてレギュラーポジションを獲得し、ドイツ国内での評価もうなぎ上り。チームも好調をキープし、UEFAチャンピオンズリーグ出場権に手が届きそうなポジションにつけている。
日本代表では、イングランド・プレミアリーグ、リヴァプール所属の遠藤航とポルトガルリーグ1部・スポルティング所属の守田英正が守備的MFのレギュラーとなっているが、そのバックアップメンバーが求められている現状がある。
「遠藤選手は、リヴァプールで主に守備固めの“クローザー”として活躍していますが、現在32歳で年齢的にそろそろピークアウトするタイミング。また、現在29歳の守田選手は2月11日のチャンピオンズリーグ・ドルトムント戦で負傷し、1カ月近く離脱すると見られています。
つまり、日本代表の守備的MFについては、年齢的にもコンディション的にも、不安要素が多いんです。そういう中で、24歳で大活躍中の佐野選手が代表に入れば、強力な戦力になるのはた確か。 “ポスト遠藤航”として期待されていることもあり、代表招集を待望する声も多い」(サッカーライター)
とはいえ佐野の大きなネックは、2024年7月に不同意性交の容疑で逮捕されたという事実だ。佐野は鹿島アントラーズからマインツへの移籍が決まったタイミングで、30代女性に性的暴行をしたとして、20代の男性2人とともに不同意性交の容疑で逮捕された。その後佐野はマインツへと合流し、8月に不起訴処分となっているが、日本代表には招集されていない。
一方、性加害問題が報じられたものの、その後日本代表に復帰しているのが、フランスのスタッド・ランスに所属する伊東純也だ。2024年1月、「週刊新潮」(新潮社)に性加害を報じられ、準強制性交致傷などの疑いで刑事告訴された伊東は、アジアカップ・カタール大会の期間中に日本代表を離脱。8月に不起訴となると、9月のW杯アジア最終予選から日本代表に復帰している。
「日本代表は少なからずスポンサーの意向もあり、性的な事件が報じられた選手が代表から離脱するのは、致し方ない側面はある。ただ、伊東選手の例から考えると“不起訴”だったということが、代表復帰へのひとつの条件なのかもしれません」(同)
性加害からの復帰、中居のトラブルは影響するのか
佐野の代表招集へのカウントダウンが始まっているが、中居正広のトラブルの影響も少なくないとの見方もある。
もはやここで説明するまでもないが、深刻な女性トラブルが発覚した中居。刑事事件ではなく示談も成立しているが、芸能界引退に追い込まれた。トラブルへの関与を取り沙汰されたフジテレビを巻き込み、いまだ騒動は収束を見せていない。
「刑事事件になっていないにもかかわらず中居氏が引退したことを考えると、佐野選手の逮捕というのは大きい。中居氏を起用し続けたフジテレビが叩かれたように、佐野選手を代表に招集することで、日本サッカー協会がバッシングされる可能性も考えられなくはない」(同)
ただし、中居の問題とスポーツ選手の問題とは事情が異なる部分も多い。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏は、森保監督の佐野視察についてこう分析する。
「中居氏の場合、完全なる人気商売ですし、常にトップ芸能人であり続けたため、裏切られたと感じた人が多い。そのうえ、長年にわたるフジテレビの悪習に乗っかったと捉えられた。一方、プロスポーツ選手のメインはやはり実力勝負の世界。反省のうえ、結果を出せば許されるような一面があります。
伊東純也選手がアジアカップから離脱した際、日本代表は準々決勝で敗退しましたが、サッカーファンはこの時『週刊新潮を許せない!』的な空気感になったことも事実。伊東選手がいればもっと上に行けた、という怒りです。伊東選手が相手の女性を訴えたことも、伊東選手を後押ししました。この時のネットの空気感が、今回の森保監督による佐野選手視察に繋がっていると見ることもできると思います」
プロ野球では2023年シーズンに横浜DeNAベイズターズが、性加害トラブルによってMLBでプレーできなくなったサイ・ヤング賞投手のトレバー・バウアーを獲得。このバウアーも日本のファンに受け入れられた。中川氏が続ける。
「バウアー選手が日本でプレーしたとき、アメリカでの事情をあまり知らない日本の野球ファンは『おぉ!すごい選手が来た!』『バウアーのYouTubeは面白い』『バウアーは若手にとってのお手本』などと絶賛しきりでした。結果的にバウアー選手は2024年のMLB復帰は叶わず、今シーズンは再び横浜でプレーします。プロ野球ファンの間では、そんなバウアー選手を歓迎する向きも多く、プロスポーツ選手は『過去に性的スキャンダルを起こしても、反省してその後の活躍で挽回すれば許す』という対象になっていると考えられます。日本サッカー協会も森保監督もこのような空気を把握したうえでの視察だったのではないでしょうか」
いずれにしろ、サッカー日本代表にとって若い守備的MFは必要であり、佐野海舟がその重要な候補であるのは間違いないだろう。森保監督、そして日本サッカー協会が、どのような判断を下すのが注目したい。
(取材・文=CYZO sports)