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週刊誌スクープ大賞

大阪万博は「絶対に間に合わない」現場作業員も苦笑いする“開幕1カ月前”の現状

大阪万博は「絶対に間に合わない」現場作業員も苦笑いする“開幕1カ月前”の現状の画像1
(写真:Getty Imagesより)

今週の注目記事・1「『大阪・関西万博』衝撃の内部写真をスクープ公開する!」(『FRIDAY』4/4・11日号)
同・2「『大谷翔平』凱旋 熱狂の舞台裏」(『週刊新潮』3/27日号)
同・3「私費も税金もムダ遣い! 石破茂“亡国の金銭感覚”」(『週刊文春』3/27日号)
同・4「高嶋ちさ子が暗号資産詐欺の広告塔になっていた!」(『週刊文春』3/27日号)
同・5「22歳女性ライバー殺人『最上あいさん』借金を作った山形“キャバ嬢時代”」(『週刊新潮』3/27日号)
同・6「狂気の女占い師濱田淑恵が操った“乱婚”信者サークル」(『週刊文春』3/27日号)
同・7「米財務長官の盟友 齋藤ジン『トランプ不況は今が最悪期だ』」(『週刊文春』3/27日号)

茨城県職員13人自殺の異常事態

「週刊現代」がついに「週刊誌をやめた!」。以前、ここで書いたように、現代が次号の3月31日発売から、隔週刊になる。

 先週の金曜日発売号の「読者と編集部の郵便箱」で、伊東陽平編集長が「読者の皆様へ隔週刊化のお知らせ」という文章を書いている。

「いつもご愛読いただきありがとうございます。
『週刊現代』は次号より、隔週の月曜日発売の雑誌としてリニューアルいたします。本誌は昭和34年、いまの上皇陛下・上皇后陛下御成婚の年に創刊され、男性読者の見たい、知りたいに応える雑誌として歩んでまいりました。おカネや出世といった昭和のサラリーマンらしいテーマや平成のヘアヌード・ブーム、そして近年のクスリや相続などのシニア向け企画――移り変わる時代とともにさまざまなヒット企画が生まれました」

 と書き出している。

 新潮社の斎藤十一が「週刊新潮」を創刊し、あっという間に新聞社系の週刊誌を凌駕した。

 その成功に便乗したのが現代と「週刊文春」だった。現代は試行錯誤の末、サラリーマンのための週刊誌というコンセプトを考え出し、サラリーマンの三大関心事「色・カネ・出世」路線を突っ走った。

 文春は、連載コラムなどを充実させ、女性も読める週刊誌路線を確立した。

 各社の週刊誌が毎週話題になるため、小学館は、現代の前編集長とスタッフを引き抜き、現代と同じ月曜日発売で週刊ポストを10年遅れで創刊した。

 週刊誌の勢いは、私が週刊現代の編集長を辞める1997年まで続いた。「週刊誌黄金時代」だった。

 それ以降、週刊誌だけではなく、出版社の売上も下降線をたどり、一度も部数が戻ることはなかった。

 伊東編集長はこう続ける。

「その一方でPCやスマートフォンの普及により、ニュースや情報の流れかたは大きく変わりました。SNSの普及でフェイクニュースも増加し、うかうかしていると何が真実かわからなくなってしまう世の中です」

 確かに、情報の流れ方は、私が辞めた後の30年で大きく変わった。だが、変わった時代に対応してこなかった週刊誌側の“怠慢”や“無策”が、時代に取り残されてしまった「大きな要因」だったことを忘却してはいけない。

「そんな混迷の時代に世界で起きていることを、これまでよりも少し深く、より丁寧に伝える。読んでおもしろく、ためになる――そしてなによりも老若男女を問わない読者の皆様に、発売日を心待ちにしていただけるような雑誌を目指します」(伊東編集長)

「おもしろくてためになる」というのは講談社の本や雑誌作りのモットーだが、こんな古臭いいい方でしか、新たにつくる雑誌のコンセプトをいい表せないところに、現代という雑誌の深刻な現状があるのだろう。

「隔週刊現代」は、そのうち「月刊現代」になり、紙媒体としての役割を終えるのだろう。

 現代の“真似っ子”雑誌である週刊ポストも追随するはずだ。

 行く行く現代は、ネットの「現代ビジネス」に吸収されていくのだろう。もしそうなら、隔週刊で出すことをスッパリやめて、ネット上で全く新しいDigital週刊誌を創刊したらどうだろう。

 私は、1999年に講談社で「Web現代」というネットに特化した週刊誌を出したことがある。まだブロードバンドも普及していなかったため、この試みは失敗に終わったが、今ならできるはずだ。

 隔週刊などという「延命策」をとらずに、文春のように紙もデジタルもではなく、今の時代だからこそできる本格的なデジタル週刊誌を創刊したらどうか。それこそが、大出版社たる講談社のやるべきことだと、私は思うのだが。

 前置きが長くなった。早速始めよう。今週は大スクープこそないが、なかなか読み応えのある特集が多い。

 まずは文春から。

 トランプ大統領が世界中を混乱の渦に巻き込んでいる。予想されたことではあったが、ここまで酷いとは!?

 ウクライナのゼレンスキー大統領のように、自分に少しでも歯向かおうものなら、即刻、軍事援助をしないといい出し、ゼレンスキーの譲歩を引き出した。

 トランプには、ウクライナにも彼らと同じ人間が住んでいて、血を流して戦っているということなど眼中にないのだろう。

 ウクライナの3分の1ぐらいはくれてやるから、プーチンよ、戦争をやめようじゃないか。

 しかし、狡猾なプーチンは、トランプのいいなりにはならない。このままいけば、トランプはウクライナを全部、ロシア領にするといい出すかもしれないからだ。

 そして、そのクレイジーな2人をジッと見ながら、次の打つ手を考えているのが中国の習近平である。習にとって一番困るのはトランプとプーチンが手を結ぶことである。

 とまあ、たった一人のクレイジーな人間の登場で、世界中が夜も眠れないのだ。

 中でも、株価の暴落は深刻である。日本も株価は落ちているが、これから株価を含めて景気はどうなっていくのか?

 文春で世界三大投資家のジョージ・ソロスを顧客に持つという「伝説のコンサルタント」齋藤ジンなる人物が「トランプ不況は今が最悪期だ」といっている。

 彼は今回の政権で財務長官に指名されたスコット・ベッセントとは十年来の友人でもあるそうだ。

 彼は、「いま起きているのは、この現象(第二次世界大戦後、アメリカは「世界各国を豊かにさせることで、自らも豊かになる」という選択をしたこと)への揺り戻しです。アメリカの有権者、特にトランプ支持者が求めているのは、国境のない世界ではなく、アメリカという国家を取り戻してくれ、ということです。
 たった三十年でアメリカの製造業は空洞化し、東と西のエリートはキリスト教的な価値観を捨て、世界市民になれと説教をする。それに対する反乱が起きたとしても、全く不思議ではありません」と分析する。

 いくつかの産業をアメリカに戻す。半導体、造船業などを考えているという。

 齋藤はトランプは「マッド」ではないと見ている。

「私はトランプがマッドのフリをすることで、関税を交渉材料にし、他国に行動変容を迫っているのだと見ています。USMCA(アメリカ、メキシコ、カナダの自由貿易協定)にかかわる関税を見てみるとカナダとメキシコに二五%の関税をかけると公表したものの、協定に準拠した自動車は一カ月課税免除するとするなど、現実的な対応をしています。
『トランプはマッドなので、まともに喧嘩するのは危険だ』、そう相手に信じ込ませるのが狙いであれば、今がその時です。大統領就任から百日が経過すれば、結果を求められるようになります。年央になれば、債務上限問題、その後はトランプ減税の継続・延長と一つ一つ重要な政策の処理をしなければいけません。来年には中間選挙もあります。
 トランプの言動の影響を受けて下落した日本の株価も、今が最悪期で、今後は安定していくと思います」

 これを楽観的過ぎる見るのか、案外、トランプは日本とうまくやっていこうとしているのではないかと見るのか。

 どちらにしても、ここしばらくは、“マッド”のようなトランプの一言一言に、日本も含めて世界がゆさぶられるのは間違いない。

 私もトランプはマッドではないと思うが、クレイジーな人間だとは思っている。

 お次は、女性占い師が二人の男が入水自殺するのを「教唆」したとして、大阪府警に逮捕された事件だが、何とも難解な、よくわからない事件である。

 実は、逮捕される少し前に、私の古い友人で医療ジャーナリストの女性が電話をかけてきて、「私の昔の夫が宗教団体の教祖に殺されたが、和歌山県警はそれを見過ごしてしまった。大阪府警は和歌山県警の不祥事を隠すために、教祖を『自殺教唆』ということで逮捕するそうだが、本当は、教祖たちに殺されたのだ」というのだ。

 そして、和歌山県警の不祥事を含めて、この事件を追いかけてくれる事件ジャーナリストはいないだろうかという相談だった。

 私は、この事件についてよく知らなかったので、「聞いてみる」といって電話を切った。

 その数日後、朝日新聞Digital(3月12日 5時00分)がこう報じたのである。

《和歌山県広川町の海で2020年、男性2人に入水するようにそそのかしたとして、大阪府警は11日、自称占師の浜田淑恵容疑者(62)=大阪府河内長野市=ら2人を自殺教唆容疑で逮捕し、発表した。府警は、浜田容疑者が「悩み相談」を通じて知り合った2人を信じ込ませ、支配下に置いたとみている。
捜査1課によると、男性2人は50代と60代の知人同士で、20年8月1日、広川町の海岸で、マイクコードでお互いの手首同士を縛った状態で遺体で見つかった。
逮捕容疑は、2人に「命を捨てて関係者から悪いものを取り除く」という趣旨の文言を伝え、20年8月1日に広川町の海に入水させ、自殺をそそのかしたというもの。府警は2人の認否を明らかにしていない。
府警によると、司法解剖の結果、2人の死因は溺死(できし)で、当初の捜査を担った和歌山県警は事件性はないと判断していた。
昨年5月、浜田容疑者の占いを受けた後に恐喝されたという大阪市の男性が府警に被害を相談した際、浜田容疑者が2人の死に関与した疑いがあると府警に説明。府警が捜査を始めた。
府警は今年1月28日、浜田容疑者と、浜田容疑者の信奉者の女(59)=東京都中野区=ら3人を大阪市の男性に対する恐喝容疑で逮捕。浜田容疑者は自身を「創造主」と主張し、「全財産を捧げろ」などと計約8千万円を脅し取った恐喝罪で今月11日、起訴された。》

 オウム真理教事件を持ち出すまでもなく、宗教にのめり込んで全財産を差し出し、教祖に命までも捧げるという事例は、枚挙に暇がない。

 だが、いい年をした男二人の手をマイクのコードで結んで、入水自殺するように「教唆」などできるものだろうか。

 文春は5ページも割いて特集しているが、読んでもよくわからないというのが正直な感想である。

 文春オンライン(03/18)で事件のあらましを見てみよう。

《発見したのは、夏の潮風を浴びながら早朝のランニングに勤しんでいた地域の住民だった。美しい砂浜に2人の男性が仰向けの状態で倒れ、寄せては返す波に打たれていた。
2020年8月1日午前5時半頃、和歌山県有田郡広川町の樫長海岸。波打ち際で並ぶように絶命していたのは、会社員の寺本浩平さん(当時66)とアルバイトの米田一郎さん(当時51)だった。
「ともに服を着たまま、寺本さんの左手首と米田さんの右手首がマイクコードで繋がれていた。司法解剖の結果、死因は溺死。2人の体内からは鎮痛剤成分が検出された」(捜査関係者)
2日後の8月3日、和歌山県警に提出された寺本さん名義の遺書には、こんな言葉が綴られていた。
〈一郎さんと旅立つ私をどうぞお許しください〉
〈コロナ不況で全く仕事が取れなくなり、私の夢は打ち砕かれました〉
文字が印刷された用紙の文末に、手書きされた2020年7月30日の日付と寺本さんの名前があった。
「当時、和歌山県警は『事件性は低い』と判断。自殺として処理した」(同前)》

 男同士の無理心中。遺書もあり、和歌山県警の判断は致し方なかったのかもしれない。

 だが、2人の死は入水自殺に擬装された“事件”だったのだ。

《4年半余りの歳月が流れた今年3月11日。大阪府警は、“創造主”を自称する大阪府河内長野市の占い師・濱田淑恵(よしえ・62)、信者の滝谷奈織(なぽり・59)、寺﨑佐和子(47)の3容疑者を逮捕した。それぞれの容疑は、濱田と滝谷が寺本さんと米田さんに対する自殺教唆、濱田と寺﨑が寺本さんの遺書を偽造した有印私文書偽造・同行使。
「寺本さんと米田さんも濱田を“創造主”と信じ込まされ、支配下に置かれている状態だった。2人が入水自殺させられた日、現場には濱田と滝谷も同行していた。濱田に指示され、マイクコードで寺本さんらの手首を繋いだのが滝谷。その2日後、同じく濱田の指示で寺本さんの遺書を偽造したのが寺﨑だった」(同前)
濱田たちは、河内長野市を拠点に、信者名義の複数の住処を使い分けつつ、共同生活を送っていた。
「濱田、滝谷、寺﨑、もう1人の女性信者A子、寺本さんと米田さん。この男女6人のうち、寺本さんは滝谷、A子と結婚、離婚歴があったとされます。婚姻関係を差配していたのは濱田。滝谷は元夫を自殺に追い込んだことになります。また、寺本さんは以前、別の元女性信者とも婚姻関係にあったようです」
濱田を頂点とする狂信的な男女は、信者間で結婚と離婚を繰り返す“乱婚サークル”でもあったのだ。》

 しかし、なぜ二人は自殺したのか?

 死亡当日の未明、濱田と滝谷は寺本さんたちと4人で車に乗り、河内長野市から現場の海岸に到着した。逮捕後、濱田は「4人で死ぬ計画を立てて、海に入った」と供述したが、理解し難いのはその理由だ。

 濱田は取り調べの中で次のように話した。

「私の交際相手に悪いモノが取りついたので、命を捨てて救いたいと思った。寺本さんと米田さんにそれを話すと、賛同してくれた」

 文春によれば、濱田が救おうとした相手とは、約30歳下のBという男で、Bが16歳の時から付き合い、一緒に暮らすようになっていたが、やがて精神を病んで出ていってしまったというのだ。

 濱田はBに悪いモノが取りついたと解釈して、自分や信者の命を捨てることで取り祓うつもりの「除霊儀式」だったと警察に主張しているという。

 信仰心のない私には、この連中の心理が全くわからないから、どこか別世界の事件のようである。

 興味のある方は、文春を買って熟読することをお勧めする。

元木昌彦

編集者。「週刊現代」「FRIDAY」の編集長を歴任した"伝説の編集者"。

元木昌彦
最終更新:2025/03/25 18:00