KIBA(Gargoyle) x でんでけあゆみ(バックドロップシンデレラ)対談 後編「ドキドキを感じたり伝えられる人でいたい」

前回から続くGargoyleのKIBA氏とバックドロップシンデレラのでんでけあゆみ氏の対談の後編!
――バックドロップシンデレラの活動は国外でも活発ですよね。
あゆみ:そうですね。2023年の3月と2024年の3月に、2回アメリカに行きました。2024年の夏に台湾行きましたね。
――日本と海外だとライブはやはり違いますか?
あゆみ:めちゃくちゃ違います。でも楽しかったですよ。外国のだと反応が早く、わかりやすいんですよ。「ダメだ」と思ったら、出ていく。「良い!」と思えば、バーッて来る。どっちかなんで。日本でやってるより、パフォーマンスというか、自分の全てを1~2曲目だけで、出せるかどうかで決まります。
日本で30分だと後半にこのパフォーマンス、もうちょっと派手に狙うことも可能なんですけど、あっちは飽きるんで、最初からとりあえず「やっちゃえ、やっちゃえ!」って。
――音楽的な手ごたえはありましたか?
あゆみ:音楽的にもノッて踊ってくれましたよ。フロアにも残ってくれるようになりましたしね。「また来い、また来い」って言われますけど、お金が高い。
KIBA:本当そうだね。
――海外でライブをやるビジネスメリットはありましたか?
あゆみ:どうなんでしょうね。自分らはあんまりあるかないかわからない状態です。莫大なお金がかかっちゃうから、それでやるならいまは日本を大事にしたほうがいいかなとは思います。バックドロップシンデレラが国内で盛り上がってないわけではないので。でも、感情としてはめちゃくちゃ行きたいです。
――KIBAさんもGargoyleの海外公演の願望はあるんですか?
KIBA:そうですね。
――海外でやりたい理由はありますか?
KIBA:ぼくの人生楽しい方がいいから。
あゆみ:あー、良いですね。
KIBA:海外行ったら楽しそうじゃん。それ以外理由はないですよ。

――Gargoyleの音楽をヨーロッパメタル界隈に知らせたいとかではないんですね。
KIBA:知らせれるんやったら、知らせたい。でもメインはぼくの人生が楽しいかどうか。どんなことでもそれ以外の理由はない。
――やってみたい国とかはあるのですか?
KIBA:どこでもいいですね。アジアでもヨーロッパでも。でもイメージ的にはGargoyleって格好とか、楽曲とか、取り方によってはベタだから、ヨーロッパよりアメリカの方がウケるかもなんじゃないのかなって気はしてます。
――話は変わりますが、あゆみさんはお酒は飲まれますか?
あゆみ:基本的に飲まないですね。
――それはバンドのメンバーの方もそうですか?
あゆみ:いや、自分だけですね。次の日に何もなくて、移動もなければ飲んだりすることもありますが、年に2~3回くらいです。
――それは喉のケアのためとかですか?
あゆみ:ライブの時はそれもありますけど、基本的に飲んだらご飯食べないのでどっちかになっちゃうんですよ。
――普段から喉に対して意識していることはありますか?
あゆみ:ボイストレーニングは一応通ってるところがあります。あとは毎日、自分で声が出るかどうかのチェックはしますね。
去年、風邪とかも手伝って、声が出づらい1年間になってしまって、すごいつらい思いをしたんです。それもあって、気にはしてますね。
やっぱりボーカリストって良いパフォーマンスができようが、声が出ないライブだと、届けられるものも届けられないんです。パフォーマンスがどんなに良くても、声が出なかったら、そこまで…っていうのが自分の中にあるんですよ。前はあんまり気にしなかったですけど、いまは声がまず最優先なんです。
だから何本ライブやっても1回でも声が出ないライブがあると、ものすごい凹むんです。パフォーマンスでちょっとやらかしたなみたいなのってあんまりないんですけど、声に関してだけは1回ですごい死にたくなるくらいに落ち込みます。だからそこに関してケアはしてますね。
――KIBAさんとしては同じボーカリストとして共感する部分はありますか?
KIBA:ぼくはそこまでではないですけど、気持ち悪いのはわかる。とはいえあゆみ君とはタイプが違うし、ぼくはステージに立った時、1曲目さえ出たらいいかなって思うタイプ。そっから出なくなるのは、そんだけやったら出なくなるよね、って思わせられればいいかな。ライブはドキュメンタリーだし。
――バックドロップシンデレラとしての活動がもう20年弱となり、音楽環境も変わってきたかと思います。例えばCDが売れなくなってきたとか。そういう変化を肌で感じることはありますか?
あゆみ:とりあえず、自分は基本的にライブをやっていく事が大事だって感じなんで、そんなにCDが売れないとかを考えてこなかったですね。
――動員としてはどうですか? CD不況の中での動員の変化などを感じることはありますか?

あゆみ:自分は動員なんかもあんまりノータッチなんです。自分の感覚としては、場所があればそこでライブをするってだけです。それが1人だろうが100人だろうが、あんまり変わらないっていうのをやりたいので、動員少ないからどうとかって、一切考えないですね。
KIBA: ぼくは普段と全然違う動員だったら、この感じで俺は何ができるんやろってところを楽しむタイプですね。
あゆみ:実際、Gargoyleさんとのツアーとか、ぼくらのことを知らないお客さんが大量にいると思ってやる時の方が楽しかったりしましたよ。
KIBA:わかるわ。アウェイな時楽しいよね。
あゆみ:めちゃくちゃありますよね。
――それは、そういう人たちをどう楽しませようかと思うところがですか?
あゆみ:どう楽しませようっていうか、「見たことないだろう!」みたいな。「こういう人、知らないだろ?」っていうか。好き嫌いはあっちの判断なので、こっちがどうできるわけでもないじゃないですか。だからこっちがやれることやって、それで「好き!」っていうのとか、「初めてみた、すごい衝撃を受けました。」って言われるのとか、そういう意味ではめちゃくちゃアウェイで、自分たちが知らない所でやるのはすごい楽しいです。
――あゆみさんはライブを続けていて、対バンしているバンドが今と昔で変化したとか思うことはありますか?
あゆみ:わかんないですね。自分が好きになる対バンとかはありますけど、昔と変わったなっていうのはわからないです。あんまり人と接するのが得意でもないので。だから逆にKIBAさんみたいな方がこうやって声かけてくれると、嬉しくてひょいひょいっと今日も来ました(笑)
――今後のバックドロップシンデレラもしくはボーカリストとしての目標みたいなものってありますか?
あゆみ:目標はとりあえず、できる限りやれればいいかなって感じですかね。こうなりたいっていうよりは。自分がなりたくないものに、ならないようにしていきたい。感じですかね。こうなったら終わりだぞ、みたいな。
――こうなったら終わりというのは具体的に言うと?
あゆみ:予定調和でやっていくようなこととかですよね。用意されたというか、用意したものをそのままやって終わる。最初に言った奇跡みたいなものを期待できなくなるようなやり方とか。「これでいいじゃん!」みたいな感じとかですかね。
自分は極力いくつになっても動き回りたいので、それは何となくありますね。ずっと動いていけるボーカルでいたいな。
――KIBAさんは今年60歳になられるんでしたっけ?
KIBAうん。大きな声で言わないように(笑)
――その年齢でいまでもお立ち台からポーンって、ジャンプはするし、誰よりも激しいパフォーマンスされるのはすごいですね。

あゆみ:そういうのを観るとテンション上がりますよ。
KIBA:さっきあゆみ君が言ったような決まったことを決まったようにやるボーカリストはそれはそれで、その人のスタイルだから良いんですよ。ただそれがあゆみ君だったり、ぼくには合ってないってだけなんです。自分の正解がそれぞれあるってことなので。ぼくは自分が観たいと思うボーカリストでいたいってのは絶対ある。
客席に自分がいたら、ぼくのことを「すごいな、お前!」って思いたいし、そういうことをしていきたい。やってる自分も「わっ!」ってドキドキしていたい。ドキドキで言うと、ぼくはあゆみ君みたいにはできないけど、観ててすごくドキドキできた。「こりゃ俺、負けるかもしれん!」ってすごいドキドキした。そういう感動が大事よ。
あのドキドキをもらえたのはすごい幸せだったし、これからもそういう人とやっていきたい。ドキドキを感じたり伝えられる人でいたいって思う。
(文・構成=編集部/撮影=石川真魚)