『波うららかに、めおと日和』注目度ランキングドラマ首位! ドラマ評論家が語る「目新しい設定」と「朴訥なフレッシュさ」

この春スタートした地上波ゴールデン・プライム帯の新ドラマの中で最も注目されているのが、芳根京子主演のフジテレビ系ドラマ『波うららかに、めおと日和』(毎週木曜夜10時)だ。
テレビ視聴データを分析する株式会社REVISIOが独自に集計した、“テレビ画面にくぎづけになっていた(視線を向けていた)”人の割合による『週間テレビ番組注目度ランキング【4月28日(月)~5月4日(日)】』では、コア視聴層(男女13歳~49歳)においてNHKの連続テレビ小説『あんぱん』が1位、2位を『波うららかに、めおと日和』が獲得。また個人全体でも『波うららかに、めおと日和』が前週の2位から1位へ浮上し、その注目度の高さがうかがえる。
そんな『波うららかに、めおと日和』は、西香はちによる同名漫画を原作としたラブコメディで、昭和11年の日本を舞台に、初々しい新婚夫婦の日々を描く。男性に対する免疫がなくピュアな主人公・なつ美(芳根京子)は、帝国海軍の中尉・江端瀧昌(本田響矢)と交際期間0日で結婚。恋愛とは縁がなかった不器用な2人が、徐々に心の距離を縮めながら、甘酸っぱい新婚生活を送っていく物語だ。
「人間の闇」に疲れた心にヒットする「波うららかに」
同ドラマが高い注目度となっている理由について、ドラマ評論家でコラムニストの吉田潮氏は「設定が目新しかった」ことと、「朴訥なフレッシュさ」を指摘する。
「今期のドラマは殺人事件や復讐劇など、人間の黒い部分に焦点を当てたものが多く、昭和初期の穏やかでもどかしい恋愛を追うというスタイルは新鮮に映ります。また、芳根京子の相手役である本田響矢の、うぶでぶっきらぼうな童貞中尉という役どころを視聴者がみんなで愛でている感じもあります」(吉田氏)
本田は2016年に『男子高生ミスターコン2016』のグランプリを受賞し、2017年10月にテレビ東京系ドラマ『セトウツミ』で俳優デビュー。その後、深夜ドラマ、ウェブドラマを中心に活躍し、2024年のNHK朝ドラ『虎に翼』にも出演した後、『波うららかに、めおと日和』において、ゴールデン・プライム帯の地上波ドラマでの準主役に抜擢された。SNSでは、〈最強のメロ男なのでは〉〈本田響矢、すべての芝居も顔も良すぎて、宝すぎる〉〈本田響矢のお顔が天才すぎんか〉などと、メロメロになる視聴者が続出しているところだ。
同ドラマにおける本田の魅力について、吉田氏が続ける。
「どうしても、メジャー級になると色がついてしまって新鮮な印象にはなりづらいものですが、役柄である中尉のおぼこい感じと本田響矢のフレッシュさがちょうどよくリンクする。とはいえ『軍人』という、常に命が危うくなる可能性がある職業でもあることから、いつまでもこの雰囲気のままなのかという緊張感もうっすら漂います。そういう時代背景も含めて、大事な人と時間を大切に過ごすという現代人が忘れていた“純情”を思い出させてくれる。その空気感は、今期のドラマで唯一無二の雰囲気です」
ところで昭和初期を設定とするドラマはNHKの朝ドラや大河など、NHKの独壇場のようなイメージがあるなかで、民放ドラマが案外手を出さないジャンルだ。吉田氏は、フジが昨年10月期の月9で昭和初期を舞台にした漫画『嘘解きレトリック』をドラマ化したことを挙げ、「フジドラマの活路として、昭和初期の感覚を楽しめるものを丁寧に描くのも一つの手では」と話す。
息もつかせぬ刺激の連続こそが「今の時代にウケる」とばかりに、展開の速さがどんどんスピードアップするドラマが乱立する今、『波うららかに―』の注目度は、刺激疲れする視聴者が増えてきているという世相を反映しているのかもしれない。
(取材・文=サイゾーオンライン編集部)