映画『パリピ孔明』『かくかくしかじか』『隣のステラ』ほか、広告収入激減フジ、頼みの綱だった映画事業にも暗雲が…

女優・上白石萌歌が5月8日、映画『パリピ孔明 THE MOVIE』(渋江修平監督)の公開記念舞台挨拶に出席した。
原作は累計発行部数240万部突破の同名人気コミックで、三国志ファンから高い人気を誇る蜀の軍師・孔明(向井理)がなぜか現代の東京・渋谷に転生。アマチュアシンガーの英子(上白石)の歌声に心奪われ、英子とともに音楽の力で「天下泰平」を目指すといったストーリーで、2023年の秋にはフジテレビ系でドラマ化もされている。
上白石は舞台挨拶に出席しなかった向井からの手紙が代読されると、「本当に心の底から(向井を)軍師だと思っています。(共演できて)人生の宝だと思っています。なんで今日いないの、会いたかった!」とハンカチで涙をぬぐった。
この日の舞台挨拶はそれなりの盛り上がりを見せたが、肝心の興行収入の面ではかなり厳しい状況のようだ。
映画ライターは次のように明かす。
「4月25日から全国311館で公開され、公開初週の『国内映画ランキング』(興行通信社調べ)では5位に入ったものの、2週目の同ランキングでは早くもトップ10圏外に転落してしまいました。大手映画情報サイトのレビューでは決して評価は低くはないのですが苦戦しています。このままだとヒットの基準となる興収10億円は厳しいかもしれません」
そんな同映画の苦戦に頭を抱えているのがフジテレビという。
映画の製作委員会には過去にドラマ化を実現させた同局も名を連ねているが、芸能界を引退した元タレントの中居正広氏の女性とのトラブルに端を発した一連の問題が発覚して以降、いまだ苦境に立たされている。
芸能ジャーナリストの竹下光氏は語る。
「3月31日に公表された第三者委員会による調査報告書では当時フジのアナウンサーだった女性Aさんが中居氏によって『性暴力』による被害を受けたものと認定。フジに対しても『本事案はフジテレビの業務の延長線上における性暴力であった』や一連の対応について『経営判断の体をなしていない』などといった厳しい見解を示しました。
さらに、同局の幹部社員が中居氏からの依頼で入院中のAさんに見舞金を届けたこと、弁護士を紹介したことなどが『二次加害行為』と認定されたうえ、『スイートルームの会』などの類似事案まで明らかにされており、世間の逆風はより一層激しさを増すこととなりました。その後、4月30日にはフジテレビの親会社であるフジ・メディア・ホールディングスの金光修社長とフジテレビの清水賢治社長が同局で記者会見を行い、第三者委員会の調査報告書を受けて『フジテレビの再生・改革に向けた8つの具体的強化策及び進捗状況』を発表。一定の評価を受ける一方、相変わらずスポンサー離れは続いており、いまだ完全復活にはほど遠い状況です」
もっとも、スポンサー離れによるCM出稿の停止を受けて思わぬ“副産物”もあったようだ。
「現在のフジではCMの多くが自局の番宣や自社が出資や関係している映画やイベントの告知という状況ですが、『パリピ孔明 THE MOVIE』と同様に、同局が製作に携わっている映画『アンダーニンジャ』は公開前からフジで連日にわたってCMが流された影響か、興収が伸びて映画ファンの間では“フジテレビ効果”などと話題になりました」(映画業界関係者)
そうした背景もあり、同じくフジでCMがバンバン流されている『パリピ孔明 THE MOVIE』についてもヒットが期待されていたのだが、今のところ思ったほどの“フジテレビ効果”は見られていないというのが実状だ。
フジの局員は明かす。
「ウチは騒動のおかげでCMスポンサー企業が続々とCMの出稿を見送ったことから大減収で赤字転落。そんな状況にあって、映画はそれなりの収益が見込めるので、宣伝活動にも力を入れることになりました。第三者委員会の報告を受けて上層部は改革案を打ち出している中での公開となった『パリピ孔明 THE MOVIE』でしたが、興収はちょっと……」
今月16日には同局が出資している映画『かくかくしかじか』が公開されたが、こちらは本人は報道を否定しているものの、「週刊文春」(文藝春秋)に不倫&二股疑惑を報じられた渦中の永野芽郁が主演を務めているということもあったが、走り出しは順調だという。
「そうした中でフジは早くも製作委員会に名前を連ねている8月22日公開の映画『隣のステラ』をはじめ、『ブラック・ショーマン』(9月12日公開)や『爆弾』(10月31日公開)までPRしています。とはいえ、ヒットが見込めそうなのは直木賞作家の東野圭吾氏の原作を映画化し、福山雅治さんが主演の『ブラック・ショーマン』ぐらいではないでしょうか」(前出の映画業界関係者)
映画事業で広告収入の穴埋めを期待したフジの目論見はどうなるのだろうか?
(取材・文=サイゾーオンライン編集部)