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8年ぶり、日本出身者の横綱誕生で活気づく角界 24歳・大の里を巡り“ご当地”綱引きバトル勃発!

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(写真:Getty Imagesより)

 待望の日本出身横綱の誕生に相撲関係者が大喜びだ。大関・大の里が2場所連続優勝を果たし、初土俵からわずか13場所で横綱に昇進。日本出身横綱は稀勢の里以来8年ぶりとなる。

横綱が背負う“ブラックすぎるシステム”

「アマ13冠という実績を引っ提げてデビューした大の里は、凄まじい勢いで出世を続け、幕内優勝まで7場所、大関昇進まで9場所など、次々とスピード記録を達成。春場所で3度目の優勝を飾り、5月場所は綱取りでしたが、13日目で優勝を決める圧倒的な強さで横綱昇進を決めました。

 相撲協会はこの秋20年ぶりの海外公演が控えているため、日本出身横綱の誕生を切に願っており、横綱昇進のハードルは下がるという見方がもっぱらでした。しかし大の里は文句無しの昇進を決め、関係者は万々歳。師匠の稀勢の里は横綱昇進後にケガに苦しみ、満足のいく成績が残せませんでしたが、大の里はまだ24歳ですから、長期政権が期待されます」(週刊誌スポーツ担当記者)

 稀勢の里からさらに遡ると、その前の日本出身横綱は若乃花と貴乃花。いわゆる「若貴ブーム」が平成初めだったことを考えれば、相撲関係者が和製横綱誕生に浮かれるのも無理はないが、“おらが街の横綱”を巡っては小競り合いが起きている。

「大相撲では土俵に上がる前に必ず出身地が紹介されるほど、地元はとても大事。かつて九州場所で福岡県出身の魁皇に熱い声援が送られたり、長野県から37年ぶりの関取となった御嶽海を応援するため、名古屋場所に大勢のファンが訪れたり、ご当地力士は地元の英雄です。

 ところが大の里に関しては、出身地を巡ってちょっとした騒動がありました。大の里は石川県出身ですが、横綱昇進が決定的になったタイミングで父親が『日刊スポーツ』に寄せた手記によると、息子を中学から新潟県に相撲留学させたことで、『多くの人に“裏切り者”と言われました』とのこと。相撲経験者で地元の少年相撲教室で指導を務めていた父親も指導から外されたと分かり、ネットでは地元民に対する批判の声が殺到しました」(スポーツライター)

 一方で喜びを隠さないのは、大の里に縁がある地の人々だ。

「大の里は新潟県糸魚川市にある相撲の名門・海洋高校で相撲をみっちり学び、入門時の会見を行ったのも海洋高校。新潟では中学時代から地元メディアで取り上げられ、今場所優勝後にも『新潟に良い報告を知らせることができた』と語っており、新潟に対する思いはひとしおのようです。

 一方、所属する二所ノ関部屋がある茨城県も横綱誕生に沸いています。もともと師匠の稀勢の里が茨城出身ということで、地元に部屋が完成。5月場所の優勝祝賀会は茨城県内で行われましたし、春巡業も茨城県は3カ所も開催されて、相撲熱が高まっています」(同上)

 石川、新潟、茨城で“引っ張り合い”となっている大の里。ラブコールはそれだけに留まらない。大の里は海洋高校卒業後、日本体育大学に進んだが、こちらもOBの活躍に大喜び。大の里の横綱昇進に対し、日体大の松浪健四郎理事長は『サンスポ』にて、

「歴史的な偉業に、私たち同窓は興奮しています」
「立派の一言に尽きますし、全国の日体人の誇りです」
「スーパースター誕生に日体大キャンパスは沸いています」

と、手放しで称賛している。ちなみにもう一人の横綱・豊昇龍も日体大柏高校出身なので、2横綱が日体大関係者ということになる。この“ご当地バトル”は、どのような展開をたどるのか。

「稀勢の里も現役時代、茨城県牛久市と龍ケ崎市で綱引きがありました。稀勢の里は出身地こそ牛久市でしたが、小・中とも龍ケ崎市だったので、龍ケ崎市は“育ちはこちら”と猛烈にアピール。横綱昇進時には、市民栄誉賞をどちらが先に贈るかを巡って小競り合いが発生するなど、話題を提供しました。

 今場所の大の里の場合、地元の石川県、新潟県、茨城県、さらにしこ名のゆかりとなった青森県でパブリックビューイングが行われており、広がりは果てしない状況です。特に勝者を決めるような類の話ではなく、各地が盛り上がって国民的な大力士になるのを期待するべきではないでしょうか」(同上)

 大の里時代は訪れるか。

なぜ外国人力士は横綱になれなかったのか?

(取材・文=サイゾーオンライン編集部)

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最終更新:2025/06/02 12:00