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週刊誌スクープ大賞

文春は夏の参院選をどう読んだ? 「自公あわせて46議席」の衝撃

文春は夏の参院選をどう読んだ? 「自公あわせて46議席」の衝撃の画像1
石破茂首相(写真/GettyImages)

今週の注目記事・1「7.20参院選完全予測」(『週刊文春』7/10日号)
同・2「変態教師グループ『鬼畜たちの履歴書』」(『週刊文春』7/10日号)
同・3「進次郎農相とヤフー癒着の謎を解く!」(『週刊文春』7/10日号)
同・4「秋篠宮邸の異様な光景」(『週刊新潮』7/10日号)
同・5「イノッチ降板、元フジ“母の盟友”に社長交代 旧ジャニーズの女帝藤島ジュリーが復権!?」 (『週刊文春』7/10日号)
同・6「中国人“不正受験”アジトに潜入せり!」(『週刊文春』7/10日号)
同・7「『いきなり主演は大失敗』早くも女優『Kōki,』に訪れた危機」(『週刊新潮』7/10日号)
同・8「ガラガラの『渋谷サクラステージ』が映す“シブヤの未来”」(『FRIDAY』7/18・25日号)
同・9「團十郎も幸四郎も愛之助も絶賛『国宝』に梨園がツッこむ3つの嘘」(『FLASH』7/15日号)
同・10「フジ日枝元会長を独占直撃」(『週刊ポスト』7/18・25日号)

中居正広の性加害「自白」メール

 参議院選が始まったが、どの新聞を見ても石破自民党は厳しい戦いを強いられているようだ。おまけにJNN(7月6日23:05)の調査では石破内閣の支持率が前回の調査から1.8ポイント下落し、32.8%だったと報じられている。

 どこまで自民党が議席を減らすのかが、この参院選の焦点であるが、私は、石破は負けても首相を辞任しないと思う。

 辞任するならとっくにどこかで辞めている。石破は、どんなことがあってもどんなに辱められようと、石に齧りついても辞めないと、どこかで腹を決めたのであろう。

 ましてや、小僧っ子の小泉進次郎なんかに渡すぐらいなら、俺のほうがましだと思っているはずだ。

 石破を引きずり降ろすには政権交代しかないと思うが、立憲民主党の代表が野田では野党をまとめきれまい。

 どんな結果になろうとも、秋まではこのままいくのではないか。

 ところで、日曜日(7月6日)に放送された、フジテレビの検証番組は、中居正広問題を掘り下げるでもなく、社内にまん延する女性社員差別に切り込むでもなく、自己弁護に終始した2時間であった。

 日曜日の朝10時から放送するという設定から、フジテレビ側の「本気度」が危ぶまれたが、検証とは名ばかりのお粗末な内容だった。

 それに、中居正広に女子アナを「上納」した編成幹部も、セクハラを第三者委員会に認定されたキャスターの反町理も、フジに「上納文化」を植え付けた“ドン”日枝久も出せないのでは、何のための検証なのか。

 これでフジは禊ぎは終わったとするつもりだろうが、肝心の、テレビの一番重要な役割である報道についての検証が全くなされていなかった。中居を含めた旧ジャニーズ事務所やジャニー喜多川との癒着構造を反省せず、そうした“権力者”たちの思うがままにフジが引きずり回されてきたことが、こうした性加害問題を引き起こす根底にあったはずである。

 楽しければ何でもいい、報道なんかなくてもいいという風土が改まらない限り、フジが生まれ変わることなどない。

 さて、今週の一番手はポストのフジテレビの諸悪の根源といわれる日枝久直撃からいこう。

 直撃したのは潜入取材では他の追随を許さないジャーナリストの横田増生。フジの中居問題検証チームにいいたい。出たくないから出さないではなく、隠し撮りでもなんでもして、日枝を出すべきだった。「出たい人より出したい人を」が報道の基本だろうが。

 そういうところが、フジテレビ全体の甘えの構造になり、なりふり構わず取材して、視聴者に届けるという基本的な腹構えができていないといわれるのだ。

 横田は、株主総会で日枝に質問したくてフジの株を買ったそうだ。だが、6月25日の総会に、日枝は姿を現さなかった。

 総会で、金額はわからないが相当な額の役職退職慰労金が支払われると知り、どういうルートか知らないが、日枝の携帯に電話するのである。報道する者はこうでなきゃあいけない。

――日枝さんに役員退職慰労金として20億円超が支払われるかもしれないという話があります。

「そんなのあり得ません! あり得ません!! 本当にあり得ないですから」

――それならいくら支払われるのでしょうか。

「それは言う必要ないけれど、うちはね、退職(慰労)金制度は08年からないんですよ」

――でも、日枝さんは08年以前から取締役を務めているので、会社側は役員退職慰労金が支払われると言っています。

「それはあるんですよ。会社の棚卸資産だったかな、そこに貯めておいて退職する時に支払うんです。今回、3人に払うそうですよ。ボクと、遠藤(龍之介)君と、監査役の尾上(規喜)さん。正確じゃないよ。ボクは執行部でもないし、人事担当でもないから、退職金はないんですよ」

 横田は、なぜ株主総会に出なかったかも聞いている。

「もう少し勉強してきてよ。骨が折れちゃって動けないんですよ」

 ほとんど日枝は何も答えていないのだが、このしつこさがいい。

 フジテレビは、横田を起用して検証番組を作るべきだった。この野次馬精神、報道する人間の手本だな。

 お次は、まだに大入りが続く映画『国宝』についてのFLASHの記事。

 一部で報道された『国宝』の製作費は12億円だという。一般的な邦画の製作費は3億円程度なので、4倍はかけた計算になるそうだ。

 この映画、歌舞伎の大御所たちも挙って観に行ったそうだが、あえて彼らに粗探しをしてもらうと、作中には“3つの嘘”があるというのである。

 歌舞伎関係者がこう指摘している。

「『二人藤娘』のときに横浜さん演じる俊介が、父親のお弟子にうなじにおしろいを塗らせているのはおかしい。いくら坊ちゃんでも、歌舞伎役者なら顔(化粧)は子役でもない限り、全部自分でします。もう一点、吉沢さん演じる喜久雄が『曾根崎心中』のお初の代役で涙を流しますが、泣きの芝居をするとき、私の家では本当に泣くのはよくないと教わります。

役者が泣いても、前3列くらいにしか見えない。声を震わせ、肩を揺らさなければ、二階、三階席のお客さんには見えない。あれは映画のための演技で、涙を流すのはおかしいんです。あと、テロップで『女形』と出ていましたが、今は『女方』。読み方も“オンナガタ”で通しています。“オヤマ”は使いません」

 さらに映画評論家の前田有一は、高畑充希、森七菜を挙げ、「お2人ともいい芝居をしているのに、もったいなかった」と話している。

「ヒロインたちが説明不足で、彼女たちの情念、報われない愛が描き切れていなかったように感じました。森さん演じる喜久雄を慕う彰子は最初こそ妹キャラですが、徐々に“女”の部分も見せる、ある意味ショックな役どころ。閉鎖的な歌舞伎界のなかで、濡れ場は物語の重要な部分であり、喜久雄が芸の道に邁進するなかでいろんな女性たちと関係を築いていく絶対不可欠なシーン。濡れ場には、森さんの覚悟が表われていました。高畑さん演じる春江と喜久雄の激しいキスシーンも、献身的に愛を注ぐ情熱は表現されています」

 私も同じことを感じた。だが、この映画は、筋を云々する映画ではなく、歌舞伎という伝統芸能がいかに面白いものかを観客に教えてくれる映画だと思う。

 私は落語は昔から好きだが、歌舞伎はちょっとと思っていた。だがこの映画を見て、歌舞伎を見て見たいと思うようになった。映画の効用である。

 さて、満員の映画館とは違って、ガラガラで渋谷は「新しい廃墟」みたいだと報じているのはFRIDAYである。

「(昨年=筆者註)7月25日、地上39階建て、高さ179mの駅直結のビルを含む『渋谷サクラステージ』が開業した。渋谷で醸造されたご当地ビールが飲めるフードホールや、化粧品ブランド『KATE』のグローバル旗艦店など、37のテナントが入る。オープン当日、本誌記者が開店前の現地に足を運ぶと、すでに1500人もの客が行列を作っていた。一連の渋谷再開発で誕生した施設の中で一番の賑わいと言える。
『大学が近いので授業の合間に来てみました。こうした都心の商業施設はハイブランドのショップばかりでカフェしか行くところがないような場所が多かったのですが、ここはコスメや本などちょっとした買い物をする店が充実していて、好印象です』(20代・女子大学生)」(FRIDAY)

 100年に一度、東急グループが6000億円の巨費を投じた渋谷再開発は成功するのか?

 だが、経済ジャーナリストの荻原博子はこう分析する。

「サクラステージ内に『ブランズ渋谷桜丘』というレジデンスが入っていますが、そこに住めるのは“上流の中の上流”の人たち。かつてセンター街でたむろしていたような若者が暮らせるとは思えない。12年に開業したヒカリエにも、ある程度お金を持っている中流より上の層が集まっている。再開発でビルが立ち並び、小規模店がどんどん淘汰されています。若い世代の雑多な文化が発祥した土壌は、今の渋谷から無くなりつつあるのです」

 6月のある日、記者が「渋谷サクラステージ」を訪れると、「テナント募集」の張り紙や、オープンしている店はあるが客はポツポツ。

 人とすれ違うのはほんの数回。高層階のオフィスフロアで働いている40代の男性は、ランチでも1500円から2000円もする、コスメやアパレルが充実していないから若者が集まらないという。

 不動産事業プロデューサーの牧野知弘は、サクラステージを含めた渋谷の苦境をこう分析している。

「一連の再開発で渋谷は一変しました。独自のカルチャーやファッションを求めてセンター街に来ていた若者は、歌舞伎町や新大久保へと移りました。27~31年度にはスクランブルスクエアの中央棟・西棟が竣工予定で、ここには新たな商業施設がオープンする。“渋谷商業”が復権できるか注目されます」

 渋谷の商店主や住民は、地方から出てきて我が物顔に振る舞う若者たちが消えてくれればいいと考えているに違いない。

 しかし、そうした連中がいなくなれば、渋谷という猥雑な街が持っていた魅力もなくなり、どこにもあるオフィスビル街になり下がってしまう。

「109(東急)」が象徴していた渋谷は、かつて、新宿の東口がフーテンやヒッピーのたまり場になっていた名残も消え去ったように、10年後、20年後に、渋谷ってこんなに面白い街だったのかと思い出だけに残る街になってしまうのだろう。

 お次はKōki,のお話。誰? と思う人が多いだろう。キムタクと工藤静香の次女と説明されて、ああ、そんなのがいたなとようやく思い出す人が20%。それでも思い当たらない人が80%。その程度の知名度ではないか。

 だがここも親バカ。22歳になる次女を父親と母親の14光でスターに押し上げようといろいろ画策しているようだが、ことごとくうまくいかないようだ。

 今年3月に前編が公開され、5月に後編が公開された映画『女神降臨』でKōki,は主演を務めたが、見事に大コケしたと新潮が報じている。

 前編は全国311館で公開したが、週末観客動員数は初登場9位で、興行収入は8000万円。後編もGWに公開されたにもかかわらず初週からランク外。

 映画関係者の間では、Kōki,の主演映画は二度とないと話題になっているという。

 その関係者は、

「工藤静香が主演にこだわったせいでしょうが、やはり脇役からしっかりやっていけばよかったのに、とつくづく思いますね」

 と嘆息。

 だが、番宣の意味もあって出まくったバラエティ番組では、嫌みがなく、なりふり構わず父親キムタクのモノマネまでして、評判が良かったという。

 いっそ、お笑い芸人にでもなれば、父親を超えることがあるのかもしれない。母親もそっちの路線へ行くことを考えたらどうか?

 文春の中国追及キャンペーン第2弾は、不正受験のアジト潜入記。

 5月19日、中国籍の男性が東京・板橋区のTOEIC試験(英語能力試験)会場で別人になりすまして受験したとして、現行犯逮捕された。

 捕まったのは京都大学大学院生の王容疑者、27歳。彼はマスクの内側に通信機付きの小型マイクを隠し、眼鏡も撮影機能付きスマートグラスで、当日、王容疑者と同一の住所を受験表に記載していた受験生は43人いたそうだ。

 こうした外国の業者が絡んだ集団のカンニング事案での逮捕は、前例がないという。

 そこで、我らが正義の使者、文春取材班が、そうしたことが実際に行われているのか、業者はどんな組織なのかを調べるために出動したのである。

「東京・新宿区のJR大久保駅周辺。一帯は海外から人々が集まる国際街で、多数の日本語学校や留学斡旋業者、住宅手配を行う不動産屋も軒を連ねる。
そんな喧噪を抜けた先のマンションの1室に、問題の“拠点”が存在した」というのだ。

 事前に「成績に不安があるが、日本の大学院に進学したい」と伝えてあったという。迎えてくれたのは20代前半とみえる中国人美女。

「女性はまず学力、志望校、語学能力を尋ねてくる。先方の提案通り、経営学のMBA取得のために『中央大や立教大』の大学院とした。
『日本語は初心者だが英語は得意だ』と答えると、女性は『それはかなり節約になりますね!』と笑顔を浮かべ、こう言う。

『教授の“推薦”があるとはいえ、全ての学生を受け入れられるわけではありません。学校には定員もある。また、面接は必ず行われるのでN2レベル(日本語能力試験の上から2番目)の会話力は最低でも必要なんです。教授の“面子”を潰せませんから』

 研究計画書は『高級留学』側で用意すると説明。さらに、『面接練習のため日本語教師を紹介するし、学生を通じて試験前に教授と面会することもできる』という。

 なぜそんなことが可能なのか。

『実際のところ、私たちは教授に近い助手と関わっているのです』

 そう語って、大学内に“スパイ”となる協力者がいると説明するのだ。ウソか真か、『教授との面接で質問される内容も事前に教えます』とまで言う」

 では、費用はいくらかかるのか? 件の女性は、

「手付金で10万元(約200万円)。合格したらもう10万元の20万元(約400万円)です。MARCHは20万。中央と立教は狙い目で(合格が)安定しています。万が一不合格なら、必要経費を差っ引いて返金します」

 学歴が400万円で買えるなら、安い買い物かもしれない。

 文春記者はいったん帰って、改めて身分を明かして社長を直撃している。30歳前後の柔和な男だという。

「――こちらでカンニングを斡旋しているときいた。

『確かにそのような広告は中国のSNSに掲載していますが、誇大広告です』

――では詐欺か?

『実態は私塾です。そもそも無理な受験はさせない』

――内部推薦というのは?

『神社のお守りと同じ。信じていれば、実力以上を試験で発揮できる』」

 だが、契約書に言及すると態度が変わったという。

――不正についての秘密保持契約も交わしている。

『……みんなと契約しているわけではない。不正を受け付けない人もいるから相手を選んでいる。あの契約の主体は中国で設立した会社です。日本の会社(高級留学)とは関係がなくて。まあ2年くらい前に中国国内の不正業者を紹介したことはあって、仲介料はもらいました。紹介した生徒は7~8人です』」

 不正の事実は認めたというのである。

 中国系の組織によって、日本の一流大学に不正に入学してくる学生が実際増えてきているようだ。

 タワマンや高級リゾート、水源地だけではなく、象牙の塔にまで触手を伸ばしてきているとすれば、早急に対策をする必要があること、いうまでもない。

 ところで、6月27日、スタート社は新社長に元フジテレビ専務の鈴木克明(66)が就任したと発表した。文春は、これが藤島ジュリー景子の復権の足掛かりではないかと危惧している。

 鈴木とはどんな人物なのか。

「1994年に始まり、平日朝の看板番組になった『めざましテレビ』をチーフプロデューサーとして立ち上げたことで知られています。その後、編成部長に出世し、2005年に番組を決める責任者の編成局長になったときは、04年から10年までの視聴率三冠王時代の真っただ中。最後は、専務まで上り詰めますが、ドンの日枝久氏の不興を買い、17年にテレビ西日本の社長にトバされました」(フジテレビ社員)

 しかも周囲の人間の評価は、仕事に厳しい人で一致するという。

「報告に行くと、『なんだよ! これは!』って急にスイッチが入ってキレる。今ならパワハラと言われてもおかしくないでしょう。年上の社員を怒鳴りつけることもあった。三冠を守ることに執念を燃やしましたが、新しい番組にトライするよりも人気番組の特番を組むことで視聴率を稼いだ。結果、新たな人気番組が育たず、のちのフジ低迷の原因となりました」(フジテレビ社員)

 しかし、その反面、数字に甘い姿を証言するのは別のフジ社員。

「克さんはゴルフのときにスコアをゴマかすんだよね。6打だったのを5打とかに変えちゃう。それで一緒に回ってる取引先をドン引きさせちゃうんです」

 では、旧ジャニーズとの関係はどうだったのか?

「『めざまし』が芸能ニュースを重視したことで接点を持つようになりました。編成幹部になると、絶対的な存在だったジャニーズ事務所との付き合いは深くなった。当時、経営の実権を握っていたメリー喜多川氏とは何度も向き合った盟友ですし、その娘で嵐らを抱えるジュリー氏とも親交を持ちました。一方で、福田淳前社長をはじめ、スタート社の経営陣には接点を持つ人はいないはず(同前)」

 藤島ジュリー景子は、今月18日に『ラストインタビュー 藤島ジュリー景子との47時間』という本が新潮社から発売される。

 インタビュアーは早見和真。『店長がバカすぎて』(角川春樹事務所)などを出している作家である。アマゾンの本の紹介欄には、早見氏の言葉としてこうある。

元木昌彦

編集者。「週刊現代」「FRIDAY」の編集長を歴任した"伝説の編集者"。

元木昌彦
最終更新:2025/07/08 18:00