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週刊誌スクープ大賞

「10年で約3倍」激増する東大の中国人留学生 疑惑の斡旋の黒幕は東大職員?

 ジュリーが肩入れした「嵐」がブレイクしたことで母親との関係がおかしくなり、2008年から2018年まで社に行くことはなかったという。

「メリーだって『嵐』の成功がうれしくないわけではないと思うんです。でも、それ以上に娘が自分を超えてはならないという感情が彼女の中にはありました。その証拠に……と言えるかはわかりませんが、メリーは最後まで『「嵐」も「SMAP」もジャニーが育てたグループだ』と言い張っていたんです。『「嵐」は娘が育てたグループ』とは絶対に認めなかった」

 ジャニー喜多川とメリーは一枚岩。だが、ジュリーとは良好な関係ではなかった。しかし、メリーという人は、自分の子どもでも支配下に置きたい性格ではなかったか。娘が肩入れした「嵐」に嫉妬したとは到底思えないのだが。

「SMAP」を育て、メリーに疎んじられて首になったマネージャーの飯島三智とは立場が違うのだ。

 ここには出ていないが、本の最後には、早見がこう質問する。

――最後の質問です。改めてこの本を世に問いたい理由を、意味を、ジュリーさん自身の口から教えてください。

「今まで私には裏方の美学といったものがありました。表に出ないことこそが正義だと思っていて。もちろん裁判をするとか、抗議文を送るといったことはしていましたが、表に出ようとしませんでした。でも、そうして自分から声を上げなかったことで、本当の自分からはかけ離れた、まったく違う藤島ジュリー像が世の中に出回ってしまったんです。この本を読んでくださったからといって、みなさまの私を見る目が一変するとは思っていません。ですが、たとえ一人でも『本当は違ったのかもな』と感じてくださる方がいるといいなと。それは自分についてだけでなく、母のこと、家族のこと、タレントのこと、被害者のみなさまのことなど、全て私の目で見て、感じていたことを、きちんとお話ししたいと思いました」

 私は、読後感として、ジュリーはまだまだ隠していることがある。そう思わざるをえない。

 次も新潮から。今回の参院選では外国人政策が大きな焦点になった。だが、どの事前調査を見ても、外国人問題に有権者はそう関心がなかったはずだった。

 それが急遽争点になり、石破茂首相まで選挙中にこういい出した。

「政府は15日、外国人に関する施策の司令塔となる事務局を内閣官房に設置した。法務省の外局である出入国在留管理庁や厚生労働省、総務省など関係省庁が横断で取り組む体制をつくる。省庁間で税金や保険料の滞納状況を共有するシステムの整備も進める。

新たな事務局は『外国人との秩序ある共生社会推進室』。石破茂首相は同日の発足式『一部の外国人による犯罪や迷惑行為、各種制度の不適切な利用など、国民が不安や不公平を感じる状況も生じている』と述べた」(日経新聞電子版7月15日12:03)

 参政党の外国人排斥アピールが受けていたので、それに遅れまいと打ち出したのだが、石破自身はそういう考えを持っていなかったはずだから、自民党支持者も戸惑い、呆れ、他党に入れたのではないか。

 首相になってから、やることなすこと一貫性がない。そこが石破の悪いところだ。

 外交人排斥はヨーロッパなどでも激しく、それをアピールする極右政党が支持を増やしつつあることは間違いない。

 だが、日本ではそう問題にするほどの数ではない。だが、新潮で関西国際大学の毛受(めんじゅ)敏浩客員教授のいうようなドイツのやり方は、日本でも早急に始めるべきであろう。

「行政が100時間という時間を割き、ドイツ語教育も600時間行います。ゴミの出し方から、自身の宗教とドイツの法律が衝突した場合は法律が優先されることまで、あらゆるケースを教える機会を設けているのです。さらに受講を在留資格の更新と結びつけて半義務化している。これとは対照的に、支援がなされず日本語も不自由で職務能力も低いまま定住され、いわゆる“外国人問題”が生じているのが日本の現状なのです」

 日本はやることやらず、ただ放置しているから、近隣住民と揉めたりするわけだ。規制を強めるより、外国人たちに日本の現状をわかってもらって共生することこそ、これからの日本には必要なことであるはずだ。

 その外国人排斥を声高に唱えるのが、参院選で大幅に議席を増やした参政党である。

 今更だが、その党の憲法草案を検証してみようというのが文春である。

 まずは参政党の「憲法草案」について。同党は改憲ではなく「創憲」を掲げる。今年5月にぶち上げたのが、完成に2年以上かけたという憲法草案「新日本憲法」だが、憲法学者の木村草太東京都立大学教授によれば……。

「本来の憲法は『人権を保障し、権力を統制する』規範を表現するためのもの。一方で参政党の憲法草案は、規範の表現というよりも、自分たちの使いたい言葉を切り張りしたという印象を受ける。まるで怪文書のようなものです」

 木村教授が例として挙げたのは憲法草案の第十条。〈食糧は、主食である米作りを中心に、種子や肥料も含めて完全な自給自足を達成しなければならない〉という条文だ。

「なぜ憲法で“主食である米”と定義する必要があるのか。これでは、パンやその他の食糧を主食としたら『違憲』となってしまいます」

 特に木村教授が警鐘を鳴らすのは第五条だという。

〈国民の要件は、父または母が日本人であり、日本語を母国語とし、日本を大切にする心を有することを基準として、法律で定める〉

 木村教授によれば、「『日本を大切にする心』という言葉への強い執着を感じます。ただ、この条文があれば『日本を大切にしていない』という理由で、一方的に国民から国籍を剥奪し得ることになります」

 選挙戦中盤で注目を集めたのが、“日本人ファースト”を掲げる参政党の外国人政策だ。

「政策では、子供への経済支援として、教育関連給付金や奨学金の拡充などを打ち出している。だが、これらの支援は〈経済的な困難を持つ日本国籍を有する方を優先〉。加えて〈外国人への生活保護支給を停止〉とも明記。日本国籍の有無で支援に明確な差が生じているのが分かる。

 政治部記者がこういう。

『こうした“日本人ファースト”政策は、外国人観光客の増加や中国人による土地、不動産の買い占め問題に危機感を覚える人たちに刺さっている。一方でSNS上では、参政党の主張が排外的だとして、ナチス・ドイツになぞらえる指摘も相次いでいます』」

 では、実際に参政党とナチスに類似性はあるのだろうか。2023年に『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』(共著、岩波書店)がベストセラーとなった歴史社会学者の田野大輔甲南大学教授はこう語る。

「現時点で参政党が公表している政策を見る限り、確かにナチスの政策を想起させる部分はある。目につくのは、子育て支援や生活保護の対象を日本人に限定している点です」

 ナチスも支援対象を国民の一部に限定する政策を掲げていたという。

「たとえばナチスが新婚カップルに金銭を貸与し、出産するごとに返済額の四分の一を免除した制度。貸与が認められたのは国が条件を満たしていると認めた国民のみで、ユダヤ人に加え、障害者や政治的敵対者なども排除されました」

 さらに参政党は憲法草案第五条で「国民の要件」を掲げる。

「『日本を大切にする心を有する』という曖昧な基準である以上、日本人かどうかが恣意的な判断で決められることになる。かつてのナチスが行ったようなマイノリティの排除に繋がりかねません」

 参政党といえば反ワクチンのイメージだが、やはりこうある。

〈保険診療において、必要以上に過剰な治療・投薬(ワクチンを含む)は原則不可とし、患者の希望により応じる場合の診療報酬は通常の半分以下に設定する〉
医療経済学が専門の二木立日本福祉大学名誉教授はこう語る。

「ワクチンを接種するのもしないのも自由のはず。それを、診療報酬の減点によって事実上制限するのは、患者から選択肢を奪うことになります。そもそも、政策カタログには『対症医療から予防医療に転換』すると掲げられています。なのに、予防医療として一定の評価を受けているワクチンを否定するのは、予防医療の推進と矛盾します」

 米価高騰が国民生活を直撃しているが、コメに関わる農業政策についてはどうか。

〈10年以内に自給率を倍増させ、2050年には100%達成を目指す〉

 元農水官僚でキヤノングローバル戦略研究所研究主幹の山下一仁はこう指摘する。

「たとえば、終戦直後の食糧難の時、自給率はきわめて高かったものの、多くの餓死者を出しました。この時、七千万人の人口に対して約五百万ヘクタールの農地がありました。
現在、日本の人口は一・七倍ですが、農地は四百三十万ヘクタールほどしかありません。また、現代の食生活は豚肉や牛肉などが取り入れられ、終戦直後に比べてはるかに飽食です。これを前提として自給率百%を達成するためには、森林も含めかなりの国土を農地に転換しなければならない。農業予算をいくら増やしても実現できません」

 急ごしらえで立候補し、予期せぬ当選を果たした参政党の新人議員たちが、国会でどんな発言、行動をとるか、我々は“監視”していかなければならないはずである。

 今週の最後は、文春が3週にわたって追及している中国人業者による、日本の有名大学へ不正入学させる組織の実態は、いよいよ、核心に迫った。

 中国のSNS上では、角張った赤い文字で、

〈東京大学〉
〈CONGRATULATIONS〉
〈喜报 おめでとう〉
〈合格实绩 233人〉

 などという宣伝画像が飛び込んで来るそうだ。そればかりではない。

「さらに東大の〈受験票〉と書かれた、生々しい個人情報付きの書類が大量にアップロードされている。いずれも中国姓で、受験生の顔写真はなぜか『ドラえもん』や絵文字のスタンプで隠されていた」というのだ。

「正門留学(仮称)」なる業者が画像を「実績」としてばら撒き、次々と中国人留学生を東大に入学させた――と謳っているというのだ。何が起きているのか?

 文春は志望者を装い、SNS上から「正門留学」にチャットで接触を試みた。すると“スター”と名乗る人物につながったという。スター氏は自信に満ちた文面で、こう語り始めたそうだ。

〈私は東京大学大学院博士課程を修了し、今は東大で研究を続けています。“オフィシャル・スタッフ”として……〉

 この人物は本当にいるのか? 文春がさらに追及する。

 実際、東京大学では中国人留学生が急増しているそうだ。東大の集計によれば、2024年11月時点で学部・院を合わせて3500人超が在籍しているという。10年前の14年の1300人弱に比べ、3倍近い増加である。

「全体で三万人に満たない東大生の中で、中国人留学生が既に十%以上を占めている。東大の“中国化”は明白です」(文科省関係者)

 この背景には、厳しい中国の学歴競争があるそうだ。

「この二十年ほどで、中国では学歴社会化が進んだ。今では、年間一千万人以上の大学受験生が席を取り合い、大学を出ても満足に仕事が見つからない。経済が停滞し、就職活動も苛烈です。国外へエスケープを狙う学生が増えているのです」(中国専門ジャーナリスト)

 文春は先に「高級留学」という不正業者と接触しているが、新宿の高田馬場のビルの5階には、「高級」と同じ部屋に「正門留学」もあったという。

「正門」は、ここを経由して入学したという中国人たちの受験票を大量に投稿しているというのである。

「二十年頃から掲載され、計百四十枚以上。画像は極めて雑に加工され、一部はスタンプで顔を隠すものの、姓や専攻名は公開。体裁は限りなく本物に見える。
小誌はその一枚一枚を、公開情報と照合し、顔貌や指導教授、入学時期もつぶさに確認した。すると、大多数の要素が合致する本物の東大生が、少なくとも三十名以上存在したのだ」

 東大に何らかの不正な手段をもって、中国人留学生を大量に入学させる「不法な組織」が存在するのか?

 文春は、「正門留学」に、記者が留学生を装ってメッセージを送った。すると、スターを名乗る人物から手始めに送付されてきた画像は「名刺」だった。

〈東大修士博士集団 日本留学の高みを目指して〉〈大学院課程請負人 スター〉

 とあり、そして冒頭のように、東大の“オフィシャル・スタッフ”を名乗る。

「さらに、スター氏は『当方は、東京大学の修士・博士課程への進学を専門とする指導チームで、八年以上にわたり、二百名以上を東大に合格させてきました』として、実績を滔々と語る。

「この二年余りで百名以上を指導により東京大へ進学させており、中には三本生(注・偏差値の低い大学生の意)もいます」

 どうやって学力が追い付かない中国人を合格させたのか。同社のSNSにも、

〈三本大学から東京大学大学院へ現役合格〉〈奇跡の造園学科生、五ヶ月で東大院へ逆転合格!〉〈『芸術系』学生が東大理系修士課程に強気の合格!〉などとある。
更に成果を強調する。

「二十三年八月からの一年間で東大の修士・博士の入学試験において、弊社は七十八名の合格者を輩出しました。これは業界二位と三位のエージェントの合格者数の合計を上回る数字です」

 自らが業界一位と豪語。「弊社は『透明度』をモットーに、おそらく日本の留学業界で唯一、申し込みから支払いに至るまでを合格通知書や受験票といった重要な情報とともに全て公開している」とも語った。

 やり取りの中で、通話を求めてきた。電話口のスター氏、声は男性だ。

――日本にいるんですか?

「はい、そうですよ。名刺の通り私は東大博士号を取得し、東大で研究し、今は公式スタッフとして働いています」

 本当なのか? だとしたら東大内部に不正入試を斡旋する人間がいることになるのだが。

 費用は日本円にして約100万円。意外に安い。

 いよいよ、スターと会うことに。ビルは「高級留学」とやはり同じビルの同じ部屋。

 相手は揚(仮名)と名乗ったが、「不正入試」とはいわない。面談後、記者はスターの後を追う。

「約3時間後、楊氏の姿は渋谷区にある一部屋一億円ほどの高級マンションのオートロックの向こう側へ吸い込まれた。

マンションの部屋の所有者を調べたところ、楊氏と同じ姓を持ち、東大の理系の研究室で勤務する中国人の職員、楊子江氏(仮名)が浮かび上がったのだった。

かつて楊氏が在籍した研究室には顔写真が掲載されている。先ほどまで面会し、記者が行動を追った男性、そのものの写真である。

『正門留学』を名乗った業者の黒幕は、まさか本当に東大職員なのか――。

公開情報によれば、楊氏は現在、東京大学柏キャンパス(千葉県柏市)の理系学類A専攻のX研究室で技術補佐員を務めている。今年三月まではX研究室の博士課程に在籍。また十八年にB専攻の修士課程の学生として来日したとあった。

 記者はX研究室の指導教授に、楊氏との面会時に撮った写真を見せた。すると開口一番、
『あっ、楊くんだ』

 間違いない。ただし指導教授は『そんな事業をしているなんて知らなかった』と仰天するのだ」

 確かに楊は存在していた。

 別の記者が楊を直撃するるとこういったという。

――「正門留学」は大量に東大へ受験生を合格させている?

「何も違法なことはしていません。私達は東大の博士や修士による学習塾です。年間五十人近い合格者数はただの誇大広告。それを取り締まる法律は中国にはないし、顧客も中国人でそういう文化を理解していますから、信じる顧客もいない」

 東大の職員かと尋ねると、

「ただの非常勤職員ですよ。中国で職が見つからないから一時的に働かせてもらっているに過ぎません」

 東大に質問状を送るとこう答えたという。

「現時点におきましては、事実関係の詳細を把握しておりませんが、本件に限らず、なんらかの不正行為があった場合には、本学として厳正に対処する所存でございます」

 楊の在籍確認は拒んだそうだ。

 もし、文春の報道通り不正な入学斡旋に大学の職員が関わっていたとすれば、この対応は温すぎるといわざるを得ない。(文中敬称略)

(文=元木昌彦)

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元木昌彦

編集者。「週刊現代」「FRIDAY」の編集長を歴任した"伝説の編集者"。

元木昌彦
最終更新:2025/07/23 18:00