KIBA x RYO 対談 後編 ~自分でこれ以上やれないところまでやってやめれたら幸せだ

※前編はこちら⇒KIBA x RYO 対談 前編 ~ライブの魅力に憑りつかれている
――現在GargoyleのメンバーはKIBAさん1人ですが、1人でGargoyleの名前を背負ってやっていく事をミュージシャン的な立場として、RYOさんはどう思いますか?
RYO:結構、知り合って一緒にバンドもやるようになってKIBAさんとはつかず離れずで、定期的にずっと横で見ているような感覚では見させていただいてて。
KIBA:2人でアコースティックとかも時々やってたし。
RYO:はい。全てを知ってるわけではないですけれども、流れは横でずっと見てはいて、ステージに対する執着心とお客さんに対する責任感、そういったものがKIBAさんを動かしているのもあるだろうし、周囲でそれを支える様な事もあっただろうし。そういうのを横で見つつ、バンドマンとしてのパフォーマンス、岐路に立った時にどれを選ぶっていうのがとてもKIBAさんらしい答えをいつも出されるんですよ。なので、見ていて楽しいです。
KIBA:僕は1人になって、ダメになっていくなら、それはそれでいいと思ってるし。ダメになってできないなら、やめればいい。できるかもしれないならやってみたい。大変な状況なのは予想がついてたけど、困るからやめるとかね、大変だからやめるってもんでもないと思ってるから。
RYO:こうやったらできるだろう、っていうところもあるだろうし。
KIBA:そうだね。大変なんて多かれ少なかれ1人でなくてもあるものだと思うしさ。僕1人は残ってるんだから、何とかなるかな?と思ってます。
――BY-SEXUALはかなりカラフルでパンキッシュなイメージがあったと思いますが、あのコンセプトはどこからきたのですか?
RYO:あのカラフルさはメンバーが「髪の毛緑になってる!じゃあ俺、赤にしようかな?」みたいな感覚で、単純にその頃から悪乗りでどんどんあの感じになっていった感じですね。
――あれは美容院でやったんですか? それとも自分たちでやったんですか?
RYO:基本自分でやっていました。今では髪染めるグッズは山の様にありますけど、その当時はなくて、何で染めるんだみたいなのを、調べるにも調べようがなくて、周りのバンドマンや知り合いに聞いてはそこに行って買ってみたいな感じではありましたね。
KIBA:僕もGargoyle初期は紫だったんだけど、それはいつもね、パンクショップで粉のやつを買って。ツアー中もその粉を持ち歩いてて、それで染めたりしてましたね。
――Gargoyleのバンドコンセプトはどう決めたのですか?

KIBA:当時はヘビーメタル、ハードロック、ムーブメントみたいなのがあって、ちょっと後で、スラッシュメタルのブームが来て、僕らもそれに近い音楽が好きなメンバーもいたから、そういう方向になっていったんだけど。僕の目から見た周りのバンドの人たちは、バンドTシャツに、黒いストレートのロン毛で、タイトめなデニムだったりとか、他の感じも、ちょっと言い方はわかんないけども、外国のそういうバンドの格好を真似てるよう見えて、日本人が外人の真似をしてるってことだなって思ったんですよね。
僕はそれより外国人が見た日本人っていうかな、本当の日本とは違うかもしれないんだけど、そういう方が面白いんじゃないかなって思ったんですよ。視点を逆にして、外人から見た日本人のイメージです。よくよく見ると全然日本的じゃなかったりするんだけど、これくらい勘違いしてるんじゃないかなっていう感覚でやってました。
――BY-SEXUALはハードロック、ヘビーメタルというよりもパンクっぽさを感じますが、影響を受けたアーティストはいたのですか?
RYO: BY-SEXUAL始めた頃、その当時、僕個人はThe Toy Dollsが好きでした。
The Toy Dollsの何が好きって言うと、ずーっと16刻んでるようなギター、テンポが速くて、明るくて楽しいっていうのが好きです。The Toy Dollsみたいな音楽がやりたくてBY-SEXUALの曲を描いていたかというと、違うと思います。でも初期の曲はギターフレーズ的にかなり影響を受けていると思います。
――CDが売れなくなっていって、配信が音楽を楽しむ中心となりましたが、そこに思うことはありますか?
KIBA:どっちでもいいです。中身をどういう物を作るかってところがすごく重要なだけで、その外側のことは僕らが決められることじゃないでしょ。インターネットができたことによって、音楽以外の情報の発信も含めて変わってきたと思うけど、僕らが始めた時も、僕らの前より変った状態から始まっているはずですよね。だから、どの状態でもそれでやっていくものだと思ってます。
ちょうどGargoyleの1stアルバム(※『禊』)が出る時に、まだインディーズはレコードで出すのが主流で、すごく売れたアーティストだけCD化される状況だったんです。でも僕らは音源を出すにあたって、そんなにたくさん売れて再販されることはないと思っていたから、CDっていうので始めから出してみますって、最初からCDにしたんです。でもCDが出てからよくよく考えたら、メンバーが誰もCDプレイヤーを持ってなかった(笑) それで慌てて僕はCDラジカセ買いましたもん。それで音源をカセットテープに落として、最初は聴いてましたね。

RYO:CDであろうが、アナログ盤であろうが、結局カセットに落として聴いていましたもんね。
僕もCDだろうが配信だろうがどっちでもいいし、どれが良かったとかも特にはあんまりないです。それは世の中が決めるものなんだろうなと。だけどやっぱり便利なのは絶対に今ですよ。その一方で、音に対するとらえ方が不便だからこそ、存在した感覚っていうのも、今思えばあっただろうなとは思います。
KIBA:そうね。昔だったら情報を得るのに本屋さん行って、音楽雑誌を立ち読みしたり、買ったり。
RYO:そうでしたね。
KIBA:みんなで読んだり。
RYO:初めて聞くバンドとかあったら、写真だったりロゴだったりを見て、どんな音なんだろうっていうのを想像して、ですよね。
KIBA:その雑誌に載っている白黒の小さい1枚の写真から、このメンバーがかっこいいから一回聴いてみたいみたいな時代で、そこの本屋さんに行くのさえドキドキしたりとか。
RYO:ありましたよね。
KIBA:今で言うとライブハウスに行く過程とかには残ってるのかもしれないけど。
RYO:そうですね。
KIBA:今は手軽ゆえに、重さはないかもしれないけど、だからその分たくさんの選択肢が広がったりとか、自分で好きな物を見極めやすかったりとか、そういう良さがあるんだと思います。世の中それだけに限らず、すべての変化は便利になっていってるんだと思う。じゃなかったらわざわざ変わんないだろうし、便利になっているんだから、良いことは絶対あると思うし、不便なものがすべて悪いわけでもない。過程を面倒くさいと思うのか、過程も楽しかったなと思うのかは、まぁそれぞれでしょう。
――この企画では毎回聞くのですが、RYOさんから見て、一緒にやっている若手ミュージシャンの今と昔の違いってあったりしますか?
RYO:便利な世の中なんで、便利なものが付随してそれもやんないといけないみたいな。例えばSNSだったりとか。最近に至ってはコンプライアンス云々もありますけれども大変だなって思います。便利なものに囲まれすぎているが故に、自由度が減っているというか。そういう風には感じていますね。
――RYOさんは自身は全くSNSをやられていないのですか?
RYO:test-No.をやっているので、公式サイトみたいなのもあったり、Xももちろんあるんで、そこで発信するタイミングはありますけど、個人としてSNS関係をやってないですね。
――理由はあったりするんですか?
RYO:先ず、大変過ぎると思っていて、中にこういう人もいていいだろうっていう風なことも思っていて。バンドメンバー他のメンバーは、やっていたりするんで。お任せしとこうかな、みたいな。
――これまでも一度も立ち上げられたことはなかった?
RYO:いや、ブログみたいなことはずっとやってはいたんですけれど、それを閉鎖しました。
――それはやっぱり今あげた理由で辞めたのですか?
RYO:自分的にあんまり馴染めかったというか、これは間違ってるよなと思う一面も自分の中であって。
――KIBAさんはInstagramもXも両方やられていますよね。

KIBA:僕に関して言うと、逆にそんなにポリシーがない。そんなに精力的にやっているのかどうかはわかんないですけど、必要な情報は必要な情報として流すし、有料のもあるから、外とは違う事をやるけれど、外では必要な情報を伝えていくっていう感じですかね。
それにすごくやらなきゃとか、やるべきじゃないとか、RYO君はRYO君で自分の考えがあると思けど、僕は別になんのこだわりもなくて。必要な皆さんに知ってもらいたい情報を出している、それだけのことです。楽しんでるかっていうことになると、楽しむものって感覚自体が特に無いかな。
――RYOさんのミュージシャンとしての今後の展望を教えていただけますか?
RYO:今までも流れのままにみたいに生きてきたんですけども、その自由がゆえに、自分のギタースタイルだったり、作る音楽だったりっていうのが、作れてきているのかなと思っていて。これからも自由気ままに生きて、いけるとこまで、走れれば良いかなと思ってます。
――KIBAさんにはいつも聞いていますが、今は思うことありますか?
KIBA: Gargoyleやっていますけど、最近思うのは今メンバーは1人なんで、僕が辞めるって言った瞬間にGargoyleが世の中からなくなるんですよね。「次のGargoyleは君に譲った」みたいなことがあれば、分からないけれど。で、できれば解散ライブみたいなものはせずに、Gargoyleを終わらせたいなと思ってます。
というのは、やれるだけずっとやって、本当にやれるとこまでやったけど、もう次のライブはできないわっていう状況までできたら一番いいなと思ってて。解散ライブの予定立ててやれるくらいなら、まだやれるんじゃないかなって。次のライブはもうできないから仕方がないな、で終わりたい。何が理由かはわからないけれど。自分でこれ以上やれないところまでやって、もう出来なくて辞めれたら幸せだなって思ってます。
(文/構成=編集部、写真=石川真魚)

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