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“アウトローのカリスマ”瓜田純士、かく語りき

瓜田純士が『鬼滅の刃』を観て涙するも、“泣いた場面の違い”を主張!「隣のセンスねえババアと一緒にされたら困る」

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瓜田純士は『鬼滅の刃』をどう見たのか?
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“アウトローのカリスマ”こと瓜田純士が森羅万象を斬る不定期連載。今回のテーマは、大ヒット上映中の『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』だ。映画館に現れた瓜田が、いつになく不安げな表情を浮かべている。2020年に劇場公開された前作(無限列車編)をこの連載企画で観ているはずだが、「5年前なので内容をほとんど覚えていない」とのこと。そして、さらなる不安要素を打ち明ける。いつも一緒に映画を観てくれて、鑑賞後に軽妙な掛け合いをしてくれる妻の麗子が、この日は「寝坊で来れない」というのだ。短気な瓜田と、二人きりで映画鑑賞。記者も大いに不安である……。

「劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座再来」が空前絶後の大ヒットを飛ばしている。7月18日の初日からの25日間で観客動員は1569万8202人、興行収入は220億7219万を記録した。そんな人気作であるため、当日の飛び込みだと席を取れない可能性が高いと判断。オンライン予約で「チケット3枚」を確保したのだが、それが裏目に出た。いつもは夫婦揃って登場する瓜田なのに、この日は一人きりで映画館に現れたのだ。

瓜田純士『かくかくしかじか』を観て号泣!

――あれ? 奥様は?

瓜田純士(以下、瓜田) すみません、急に来れなくなっちゃいました。

――体調不良ですか?

瓜田 いや、完徹のまま来ようとして、来る直前に寝ちゃったんです。彼女は一度寝ると起きないので、諦めてください。

――映画が楽しみすぎて、前夜に寝られなかったんですかね?

瓜田 いや、そんな美しいもんじゃないです。予約したあと昼夜逆転の自堕落な生活になってしまい、徹夜明けのまま来ようとして失敗しただけです。「寝たら起きれなくなる」という理由で、ついさっきまで眠い目を擦りながら頑張って起きてたんですが、出かける30分前に力尽き、イビキをかいて寝てしまいました。

――あらまぁ……。

瓜田 大阪で行われた僕の「BreakingDown」の引退試合のときでさえ、彼女は直前まで応援に来るのか来ないのかはっきりせず、しまいには「新幹線が迎えに来い!」なんて無茶を言い出す始末で、大変だったんですから。なので今後は、「何月何日の何時集合」みたいな先々の約束は、彼女とはしないほうがいいです。関わるすべての人に迷惑をかけるので。

――まあ、瓜田さんと僕さえいれば、なんとかなるので大丈夫ですよ。

瓜田 とか言ってるインタビュアーも、映画中によく寝るからアテにならないんだよなぁ……。前回の鬼滅は確か僕、絶賛したと思うんです(記事参照『『鬼滅の刃』を瓜田純士と嫁が斬る』)。でもその後、鬼滅の鬼の字も見ず、テレビアニメもまったく観ずに過ごしてきた。で、今回久々に鬼滅ってなったときに、「前作はこうだったよね」と嫁との会話のラリーの中であれこれ思い出しつつ話したかったのに、今日はその嫁がいないから、さあ困った。前作を観たのは5年も前だから、煉獄さんが活躍して死んだということ以外、内容をほとんど覚えてないんですよ。

――でしょうね。僕も覚えてません。

瓜田 ほらな、やっぱりアテにならない。

――では付け焼き刃になりますが、今作のあらすじを読みますね。「猗窩座再来は、原作漫画の『無限城編』を映画化した3部作の第1章。柱稽古の最中、鬼舞辻無惨によって無限城に落とされた炭治郎たちが、鬼との最終決戦に挑む物語」とのことです。

瓜田 自分で読んでて、意味わかってる?

――わからないです。

瓜田 ったく、アテになんねえなぁ!

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 鬼滅の刃ならぬ、瓜田の刃がこちらに向いてきたので、少々高めのポップコーンを買い与えてご機嫌を取りつつ、劇場内へ――。孤立無援の長丁場、果たして瓜田は乗り越えることができるのだろうか? 以下は映画鑑賞後のインタビューである(多少のネタバレもあるので要注意)。

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――いかがだったでしょう?

瓜田 最悪の精神状態で映画鑑賞を始めたにもかかわらず、マジで感動した! これは麗子(妻の名前)を説得して、もういっぺん観に行くしかないかも。それぐらい素晴らしかったですよ。


――おっ、それは良かった! 

瓜田 ただね、今日映画館に来る前に、自分のYouTubeでライブ配信をやったんです。そこで「麗子が起きないから、これから俺一人で鬼滅を観に行く」という話をしたら、リスナーが「猗窩座(あかざ)が格好良すぎた」だの「猗窩座が泣ける」だのと、ネタバレにならない範囲で注目ポイントをコメントで教えてくれたんですよ。それを読んでなかったら、もっと感動できたかも。

――構えすぎちゃったんですかね?

瓜田 それプラス、ハードルが上がっちゃったんですよね。まあ、それは僕のせいなのでいいとして、順を追って語りましょうか。まずは序盤。ホストみたいな奴(童磨)と戦った、胡蝶しのぶ、だっけ? あの子が格好良すぎて、鳥肌もんでした。大技を出す際に、「○○の呼吸、○の型、なんちゃら」みたいにサラッと技の名前を言うでしょう? で、それに合わせてセンス抜群のBGMが流れ出す。あの一連の流れがとにかく格好良くて、いきなり引き込まれました。胡蝶に限らず、他のキャラクターも「技名を言う→BGMが流れる」っていうのがお決まりで、「こりゃ、漫画で読むよりも映画で観るほうが絶対楽しいぞ」と感じましたね。

 でもね、その格好良い戦いが繰り広げられてる最中に、鬼殺隊側と鬼側、双方の長ったらしい回想シーンがちょくちょく挟み込まれるのが、少々ストレスでした。コンマ何秒の判断が命取りになるようなハイレベルな戦いの中、下手すりゃ何十分単位の回想が入ってくるから、「ちょっとこれは長すぎる。回想はできれば戦いの前にやってほしい」って思った。「BreakingDown」の煽りVも試合直前に見るからいいんであって、試合中に何度も挟み込まれたら邪魔でしょ? それと一緒。

 二つ目の大きな戦い……なんだっけ? メインの前に行われた戦い。名前も顔も忘れちゃったけど、そんときも、戦いの最中に長い回想シーンがあったから、「うわ、また始まった」って感じで、ゲンナリしちゃった。

――僕は逆に、回想シーンが面白くて、格闘シーンは退屈でしたけどね。

瓜田 回想も必要だけど、その頻度と長さのことを言ってるの! ラストの炭治郎&義勇vs猗窩座も同様ですね。「闘気」のくだりとか面白かったんだけど、炭治郎の回想しながらの答え合わせにいったい何分かかってんだよ! って感じでした。

――でもそれを言い出したら、すべての漫画やアニメ作品は成り立たなくなっちゃいますよ。

瓜田 まあ、そうなんだけど……。僕ね、ヤンキー漫画の「クローズ」を読んだときにも同じことを感じたんですよ。駐車場かなんかで学校同士の決闘をするんですけど、そこで主要キャストたちが、「お前は俺との因縁と言いながら、実は自分自身を超えたいだけなんだろう?」とか、「お前はいつまで兄の幻影を追いかけてるんだ? だっせー野郎だな」とかなんとか、お互いの背景がわかるような言い合いを、殴り合いの前や殴り合ってる最中にやたらとするんですよ(笑)。

 その説明が長すぎるもんだから、僕はいつも「いいから黙って、早く殴れよ!」と思ってました。

――瓜田さんは、せっかちなんでしょうね。

瓜田 そんなことねえよ。で、炭治郎&義勇vs猗窩座の話に戻るけど、津山三十人殺しを彷彿とさせる悲しき罪人・猗窩座の回想シーンで、僕は大いに泣いたんです。妻・恋雪との関係性や、猗窩座が復讐の鬼と化してしまうまでの過程は、涙なしでは観られませんでした。でもね、生い立ちをひとしきり振り返って、いざ戦いのシーンに戻ったなら、もうそのまま最後まで戦いで突っ切ってほしかった。なのに、最後のほうでダメ押しとばかりに、また走馬灯的なシーンが出てきたでしょ? あそこで僕、せっかくの感動が冷めちゃったんです。

――え? 一番の泣かせどころで?

瓜田 作り手が一番泣かせたかったであろう場面で、僕は一番腹が立っちゃって。

――僕の隣にいたおばさんは、あの場面で、声を上げて泣いていましたよ。

瓜田 そんなセンスねえババアと一緒にされたら困るんですよ。このやり方でみんなすごい感動したって言ってんなら、「そんなバカどもと同じ空間で過ごした3時間を返せ」って言いたいです。

――では具体的に、どうすれば良かったと思います?

瓜田 戦いと回想を何度も行ったり来たりするのはかったるいから、せめて最後のほうだけでも、画面を二分割にして、「片方は戦い、もう片方は回想」って感じで同時進行すりゃ良かったんじゃないですか? そうすりゃ3時間もかからなかったでしょう。この映画、本当に面白かったし、感動したのは確かなんだけど、惜しい点もあったなぁという印象です。

――そのほか、惜しかった点は?

瓜田 目がデカすぎる。主人公の炭治郎を筆頭に、登場するキャラの目が全体的に大きいから、観てて疲れちゃうんですよ。その目の演技に。「ドラゴンボール」もそうだけど、集英社の作品ってたいてい、主人公が何度もピンチに陥った末に、最終的に打開するっていうストーリー展開じゃないですか。それを、あのデカい目で長々とやられると、こっちは「もういいよ、わかったから」という心境になっちゃう。女たちのデカい目がやたらウルウルするのも嘘くさいし。

 ただ今回の炭治郎が良かったのは、戦闘中に長時間、失神してくれたことですね(笑)。主人公が失神してる間に物語が進んでいくって、究極の裏技だと思いますよ。おかげで“目力の圧”が、少しは和らいだと思います。

――ビジュアル面で言うと、鬼のアジトである無限城の描写はすごかったですけどね。

瓜田 うん、あれは圧巻だった。全体を振り返ってみると、「無限城の映像美」と「胡蝶しのぶの格好良さ」と「猗窩座の怒りと悲しみ」が強烈に印象に残って、真ん中の戦いのことはすっかり忘れちゃいました(笑)。

――無理からぬことです。「BreakingDown」や「RIZIN」などの格闘技観戦もそうじゃないですか。オープニングマッチとメインマッチのことは覚えていても、特に思い入れのない真ん中あたりの試合のことは忘れちゃう、というのはよくあることです。

瓜田 だったら初めから中盤をカットしてくれたら良かったのに。そっちのほうがコンパクトで観やすいじゃないですか。あっ、思い出した! 真ん中のバトルは、同門対決(善逸vs獪岳)だわ。あの二人のキャラクターや関係性は、回想シーンでしつこく説明してくれたおかげで(笑)、よくわかった気がする。でも、その前の胡蝶しのぶに関しては、なぜああいう技ができるのか? などの背景がよくわからなかったですね。

――そこは原作を読んでくれ、ってことなんでしょうかね。この映画って、原作漫画やテレビアニメ、劇場版の前作を未見の人でも、ついていける話だと思いますか? 僕は前作を観ているにもかかわらず、何がなんだかよくわからずに置いてきぼりになる場面が多かったですよ。

瓜田 これぐらい観てりゃわかるだろ! お前と違うんだ、俺は! まあ、本当は原作やアニメもしっかりチェックしておいたほうが細かいキャラ設定とかを理解できて、より楽しめるんだろうなとは思うけど。

――僕は正直なところ、猗窩座の場面では感情を大きく揺さぶられたものの、それ以外の時間は退屈で退屈で仕方がなく、この映画がここまで大ヒットする理由がよくわかりませんでした。瓜田さんはヒットの理由を説明できますか?

瓜田 それぞれのキャラを知れば知るほど、感情移入しやすい作品なのかも。で、自分たちが実生活の中でピンチやストレスに直面した際に、「炭治郎だったら、こうするはず」みたいな感じで自分を奮い立たせることができるんじゃないかな。胡蝶しのぶが「できるできないじゃない、やらなきゃならない」みたいなことを言ってたけど、ああいう言葉に勇気づけられる人も多いと思いんだと思いますよ。

――ところで、気を悪くしないでほしいんですが、顔に刺青の入った猗窩座と、その妻・恋雪が、ちょっと瓜田夫婦に似ていると思いました。特に恋雪の見た目や言動、そして喋り方が、麗子さんに似ているな、と。

瓜田 ……だからか! 今日、映画に恋雪が出てきた瞬間から、ずっと謎のストレスがかかってたんですよ。

 大きな目をすぐにウルウルさせる麗子は、言われてみれば確かに、恋雪っぽいかも。今日に限らず、ここぞの場面で必ず「体調悪い、しんどい、起きれない」と言い出す麗子も、いつも寝込んでる恋雪とかぶる。こないだ僕が麗子を盆踊りに誘ったときも「ごめん、無理や。一人で行ってきて」と断られました。そのときに僕が言ったセリフは、こうですよ。「いいよ、来年もあるし、再来年もあるから」。それって、猗窩座のセリフそのまんまじゃないですか!

 殺戮に明け暮れる猗窩座のことを、恋雪が涙ながらに止めるシーンがあったけど、あれも、「ウチが純士を更生させたんや」とあちこちで言ってる麗子の姿と、かぶるものがある……。

「登場人物の目のデカさ」と「回想シーンの多さ」以外にも、何か引っかかるもんがあるなぁと感じながらこの映画を観てたんだけど、そのストレスの正体がようやくわかりました。麗子ですよ。今日来なかったくせに、映画の中でよく似た女が存在感を示してきたから、僕の癇に障ったんでしょう。

――そんなことはつゆ知らず、麗子さんは今ごろお布団の中でスヤスヤ眠ってるんでしょうね(笑)。

瓜田 うん。でも、わざわざ映画館まで来て寝てるインタビュアーよりはマシかな。今日も何度か寝てただろ?

――ひぃっ!

(取材・文=岡林敬太)

『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』
瓜田夫婦の採点(100点満点)

純士 65点
麗子 欠席

瓜田純士『白雪姫』にも感涙!?

岡林敬太

風俗情報誌の編集、実話誌の暴力団担当記者などを経て、ライターに。瓜田純士のYouTubeチャンネルのカメラマンも務める。

岡林敬太
最終更新:2025/08/18 13:00