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世界を巡るコスプレビデオグラファーDAIの「日本人がまだ知らない“最前線”をいく」⑨

海外イベントで特攻服が大人気!『怪獣8号』声優・福西勝也が現場で見た光景


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海外イベントで特攻服が大人気!『怪獣8号』声優・福西勝也が現場で見た光景
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『怪獣8号』の声優・福西勝也
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 日本のコンテンツが海外で盛り上がりを見せている。“コスプレ”もそのひとつ。今ではコスプレの世界大会が開かれるほどで、伝統的な同人イベントから一歩進んだ、ビジネス革新のフロントランナーとして注目されているのだ。新規ファン獲得のため戦略的な市場展開を実践する日本のコスプレイヤーも現れるなど、同イベントはグローバル市場での協業や投資チャンスを生み出すプラットフォームとなっている。未来の成長分野への参入を検討する企業にとって、必見の現場だ。

 海外のアニメコンベンションで取材を重ねてきた筆者が、世界中で行われているイベントの現場をレポートする本企画。今回は、オーストラリア最大のアニメコンベンションに出演した声優・福西勝也さんへインタビューを行った。

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 福西勝也さんは、アニメ「怪獣8号」(テレビ東京系ほか)の主人公・日比野カフカ / 怪獣8号役で活躍する日本の声優だ。2025年7月11~13日にオーストラリア・シドニーで開催された「SMASH!」にゲストで出演した。

「SMASH!」は、オーストラリア最大のアニメコンベンションとして知られ、毎年7月に開催されている。福西さんは、大型のステージにてトークライブを行ったほか、サイン会を実施し、現地ファンを盛り上げた。

 2024年から頻繁に海外ゲストとして出演されるようになった福西さん。その世界的活躍や実感した盛り上がりについて聞くべく、現地でインタビューを行った。

──シドニーで開催された「SMASH!」への参加は初めてですか?

福西 はい、初めてです。シドニー自体も初めてです。こちらではたくさんトークする機会をいただきました。また演技を濃く見せるステージへの登壇や、サイン会も予定しています。

 サイン会では、ファンの方と1対1でコミュニケーションをしますし、ステージの登壇でも客席の方とたくさんやり取りを行うようで、とても楽しみです。

──すでにステージをひとつ終えられたそうですが、そのときの感想はありますか?

福西 たくさん質問を用意していただいて、それにたくさん答えました。一番楽しかったのが、私がいろいろな役を演じてみせるなかで、通訳の方も同じように演じていただいたことですね。セッションしているようですごく楽しかったです。

───海外でアニメ「怪獣8号」が注目をされています。福西さんはその主人公の役をされていますが、実際に海外のイベントに出てどのような反響がありましたか?

福西 「怪獣8号」では、日本防衛隊第3部隊副隊長の保科宗四郎というキャラクターがとても人気で、複数のキャストが出演するイベントでは、どこへ行っても大きな注目を集めています。一方で、海外イベントの登壇ではカフカ推しのファンもたくさん集まってくれるんです。それがすごく貴重な体験で、めちゃくちゃ嬉しいですね。

───シドニーのイベント以外にも、海外のイベントに出演されたことはありますか?

福西 実はたくさんあります。昨年の7月にロサンゼルスで開催された「Anime Expo」に仕事で行かせていただいたのが初めてで、それから今回で7回目になります。

 舞台挨拶やフェスなどいろいろあり、どれも思い出深いですが、特に印象に残っているのが、去年10月にカリフォルニアで開催された「Anime Impulse」というイベントで、とても衝撃的で忘れられない思い出です。めちゃめちゃエネルギーをもらいました。

 ほかにも中国・上海で開催された「Bilibili World」、韓国・ソウルで開催された「AGF」や、今年の5月に「怪獣8号」の劇場版総集編の舞台挨拶、そして先週に再び「Anime Expo」へ2回目の出演をしました。

 こんなにも世界中飛び回って楽しい思いをさせてもらって、「よろしいんでしょうか?」という気持ちでいっぱいです。

海外イベントで特攻服が大人気!『怪獣8号』声優・福西勝也が現場で見た光景
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『怪獣8号』声優・福西勝也

──わかります。実は私も「Anime Expo」を取材して、そのまま直行便でオーストラリアへ入国しました。

福西 すごいです! 私は一度日本へ帰ったので、その弾丸スケジュールは羨ましいです。

──では、海外で日本のアニメの人気っぷりは感じていますか?

福西 私が声優を担当しているアニメキャラクターの中で、「一番好き」と言っていただくことが多いのが、『東京リベンジャーズ』龍宮寺堅(ドラケン)です。彼の人気は世界中に広がっていて、コスプレをされる方も本当に多いんです。作中に登場する“特攻服”がとてもキャッチーらしく、海外の方々がキラキラした表情でそれを着ている姿を見ると、あらためてその影響力を感じます。キャラクターのウィッグまでつけて本格的にコスプレされる方もいれば、素のまま特攻服だけを身に着けている方もいて、こんな形で作品が海外に受け入れられているのかと、衝撃を受けました。

 私自身、ファッションが好きなので、衣服を通じてアニメの人気を実感できるのはすごく面白く、貴重な体験だと感じています。

──日本と海外のイベントの違いは感じていますか?

福西 日本のお客様は我々のトークをじっくり聞いていただくことが多いのですが、海外のお客様は「おー!」「イェーイ!」と言ってくれたりして、その違いを感じるのが面白いです。お客様の反応以外でも、例えば会場の照明に違いを感じます。日本では客席がある程度暗くなっていることが多いんですけど、海外だと明かりがフラットなことが多くて、お客さんの表情が見えやすいんです。よりお客さんの顔をじっくり見るようになってすごくエネルギーをもらっています。

──今回、オーストラリアが初めてとのことですが、観光はされますか?

福西 明日の登壇が終わったらすぐに日本へ帰らなくちゃいけないので、前日に時間を取ってもらって、昨日してきました。コーディネートしていただいたんですけど、めっちゃ楽しくて。オーストラリアの人々の肩肘張ってない、あるがまま生きている、自然な自分のままチルしている、そんな雰囲気が独特ですごくよかったです。

 日本でも他の国でも感じられないような独特なチル感の中で、がっつりと名所を巡るような観光は敢えてせずに、そこにあるカフェでコーヒーを飲んで……という観光をしました。

──今後行ってみたい国やイベントなどはありますか?

福西 絶対どんな国でも楽しめる自信はあるので、特定の国がどうとかはないんですけど、やってみたいのは野外のステージです。室内のことが多かったので、思いっきり。シドニーやロサンゼルスもそうだったんですけど、日差しの種類が日本とは全然違ったので、カラっとした空気を浴びながら登壇するというのをやってみたら、気持ちいいんじゃないかな?と思います。

 ドイツで開催される「AnimagiC」というフェスに8月に行くことが先ほど発表されまして、それが非常に楽しみです。初ヨーロッパです。

──最後に日本のファンに向けたコメント、海外のファンに向けたコメントはありますか?

福西 4月からインスタグラムを始めまして、5月に行った韓国や、先週の「Anime Expo」で撮った写真を載せたりしているんですけど、そこに写る私の顔で楽しんでいることを感じていただけると思います。

 今度、日本で登壇する際には私が海外でやっているようなコール&レスポンスを日本の皆さんにもやっていただきたいなという希望がありまして、ぜひ、恥ずかしがらずに声をたくさん出していただければなと思います。

 今回のシドニーの登壇やほかのイベントでも、ワクワクしたお客さんの姿が印象的で、”日本のボイスアクター”という職業をすごく憧れの目で見てくださっているんだなというのを肌で感じました。

 引き続き、いろんな海外で呼ばれたイベントにスケジュールの許す限り訪れて、皆さんに喜んでいただくってことを、これからも続けていくのが私の使命なんじゃないかなっていうのを最近強く感じます。

■福西勝也 / Masaya Fukunishi
賢プロダクション所属/奈良県出身/2月24日生まれ。おもな出演作に『怪獣8号』(日比野カフカ/怪獣8号)、『東京リベンジャーズ』シリーズ(龍宮寺堅)、『Fate/Grand Order』(永倉新八)などがある。

“あの曲”のしほりが海外進出

DAI

岐阜県出身。NHKやNetflixなど番組カメラマンや多数アーティストのMV制作を行う映像制作会社の社長であり、世界中のエンタメイベントに赴き取材や映像撮影を行うビデオグラファー。得意分野はコスプレ。活動歴は10年以上にわたり、20カ国以上、述べ120回以上の海外イベントを取材している。
YouTube https://www.youtube.com/@WorldOtakuChannel

X:@nandakaomo

Instagram:@daicinematography

DAI
最終更新:2025/09/22 13:00