『金ロー』はスキャンダル洗浄番組なのか? 永野芽郁主演作『はたらく細胞』が初放映

香川照之、広末涼子が声優として出演した先週放送の『名探偵コナン 江戸川コナン失踪事件 史上最悪の2日間』に続き、1月30日(金)の『金曜ロードショー』(日本テレビ系)もお騒がせキャストの話題作です。永野芽郁が主演した『はたらく細胞』(2024年)が地上波初放映されます。
佐藤健とのW主演作『はたらく細胞』は、累計1000万部超えの大ベストセラーとなった同名コミックを、『翔んで埼玉』(2019年)、『翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて』(2023年)の武内英樹監督が実写映画化した作品です。興収63.6億円の大ヒットとなっており、放送枠を20分拡大しての本編ノーカット放送です。
ショートパンツ姿の永野芽郁演じる新人赤血球が、顔面白塗りした佐藤健扮する白血球らと共に、医大受験を目指す女子高生(芦田愛菜)の体を守るために奮闘するというメディカル系ファンタジーです。
2025年4月に田中圭との不倫疑惑で「文春砲」を浴びた永野芽郁は、NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』のヒロイン役を降板するなど国内での表立った活動は控えていましたが、年末には所属事務所「スターダスト」はホームページでNetflix映画『僕の狂ったフェミ彼女』の主演に決まったと告知しています。
今回の『金ロー』での『はたらく細胞』のオンエアは、芸能活動再開のいい緩衝材となりそうです。少なくとも、SNS上での世間の反応を知ることができます。
「作品に罪はない」という言説が口実に
芸能人は聖人君子ではないので、禁断の恋愛関係に陥ることもあるでしょう。当事者同士できちんと和解できていれば、芸能活動の再開は問題ないと思います。清純派のイメージなんて、世間が勝手に感じていただけのことですし。
でもね、気になるのはキャストや監督が不祥事を起こした際の「作品に罪はない」という作品を擁護する言説が、都合よく口実に使われているように感じてしまうことなんですよ。
かつてはVシネマが、最近ではNetflixが問題を起こした芸能人の受け皿になっているように、公開済みの映画をオンエアする『金曜ロードショー』が芸能人スキャンダルのロンダリングの場になっているように見えてしまうんです。
映画は現実世界とは異なる別宇宙だから、芸能界やテレビ局のしがらみを匂わせるようなまねは勘弁してほしいなと思う次第です、はい。
日本テレビが『金ロー』を使って、大手芸能事務所に恩を売ろうとしていると考えるのは勘ぐりすぎかもしれませんが、2025年には中居正広とフジテレビ幹部との癒着ぶりが大問題になっていますし、日本テレビでも『セクシー田中さん』問題や「国分太一」問題などが起きているじゃないですか。
公共のメディアとして、あまり勘ぐられるようなことは避けたほうがいいんじゃないですかね。
既視感を感じさせる実写映画版
スキャンダルロンダリングの件はさておき、とりあえず実写映画『はたらく細胞』について触れてみたいと思います。原作コミックにはいなかった実写版のオリジナルキャラとして、女子高生の日胡(芦田愛菜)と不摂生の限りを尽くす父親・茂(阿部サダヲ)が登場します。
オリジナルキャラを出すと原作至上主義者たちからバッシングされがちな人気漫画の実写化ですが、『マルモのおきて』(フジテレビ系)の父娘の10年ぶりの再共演には、好意的な声が多かったようです。
自分の体を大切にしようというテーマはごもっともなもので、それに対していちゃもんをつける気はありません。でも、人間のドラマと体内のドラマがリンクして物語が展開していくという点では、ディズニーアニメ『インサイド・ヘッド』(2015年)のほうがよく練られたストーリーだったように思います。難病を扱ったお涙ちょうだいドラマと有名芸能人によるコスプレショーの組み合わせにしか、自分には感じられませんでした。
大掛かりなアクションシーンを評価する声もありますが、佐藤健主演作『るろうに剣心』(2012年)の焼き直しに過ぎません。強いて見どころを挙げるとすれば、NK細胞役を演じた仲里依紗のアクション女優としての活躍でしょうか。
体内を舞台にしたVFXアドベンチャーというと、ハリウッド映画『ミクロの決死圏』(1966年)や『インナースペース』(1987年)などがあるので、どうも既視感があるんです。小さい子ども向けの教養番組として家族で観る分にはいいんでしょうけど。
バカバカしい映画に、キャストもスタッフも本気で取り組んでいるのがすごいーという声も聞きますが、仕事に全力を尽くすのは当たり前だと思いますよ。
「茶番」映画の巨匠
武内英樹監督は『のだめカンタービレ最終楽章 前編』(2009年)で劇場映画デビューし、『テルマエ・ロマエ』二部作(2012年、2014年)の大ヒット以降、今ではすっかり「茶番」映画の巨匠となっています。
フジテレビのディレクターだったころの武内監督は、深津絵里主演作『彼女たちの時代』、常盤貴子主演作『カバチタレ!』といった時代に斬り込んだ野心的なドラマを手掛けており、大いに楽しませてもらった記憶があります。「茶番」映画専門監督になっていることに、一抹の侘しさを感じずにはいられません。「茶番」映画が当たったことで、その後も「茶番」映画しか撮らせない映画業界にも問題があるように思います。
シネコンに行くと、福田雄一監督とそのお友達による学芸会映画もしょっちゅう上映されているじゃないですか。若い子たちからお金を搾取する茶番映画に学芸会映画は、もう充分じゃないですか。
スネに傷持つ俳優たちの出演作なら、萩原健一主演『いつかギラギラする日』(1992年)、内田裕也主演『コミック雑誌なんかいらない!』(1986年)、勝新太郎主演『新座頭市・破れ!唐人剣』(1971年)あたりも、日テレさんはぜひ検討してください。
(文=映画ゾンビ・バブ)
