高市大勝の裏側、SNS3億円戦略、株高の虚像 元木昌彦が読む“サナエ時代”の危うさ

<今週の注目記事>
1「高市316議席超圧勝で日本経済どうなる」(「週刊文春」2月19日号)「高市首相が知る『過酷な現実』」(「週刊新潮」2月19日号)
2「再生数1・6億回 高市動画の『影響力』と3億円『広告費』」(「週刊新潮」2月19日号)
3「高市総選挙 選挙費用『855億円』で何ができたのか?」(「週刊プレイボーイ」2月23日号)
4「エプスタイン文書300万ページの重苦しさ」(「ニューズウィーク日本版」2月17日号)
5「最凶スカウト集団『ナチュラル』の生態」(「週刊文春」2月19日号)
6「テレビ業界は大量離職時代 4人のクリエイターが語る『私が辞めた理由』」(「週刊新潮」2月19日号)
7「ジャングリア運営会社が倒産危機!」(「週刊文春」2月19日号)
8「博報堂マンの独身偽装とリモート会議性交」(「週刊文春」2月19日号)
9「『フジ株』で760億円儲けた旧村上ファンド 次に狙われるのはTBSか」(「週刊新潮」2月19日号)
10「日本人を安堵させる愛子さまの人間力」(「週刊新潮」2月19日号)
衆院選で高市自民党が圧勝した。サナエ人気なるものの実態は、「責任ある積極財政」への期待ではなく、「反中国」「移民排斥」という、今の日本に蔓延している嫌な“空気感”だったと、私は考えている。
選挙後の会見で彼女は、食料品の消費税ゼロについては時期を曖昧にしたが、政府のインテリジェンス機能の強化のための「スパイ防止法」を早急に提出する、憲法改正については、改正案を発議して、少しでも早く国民投票が行われる環境をつくると明言した。
高市首相の「悲願」は、食料品消費税ゼロなどではなく、安倍元首相ができなかった憲法改正にあることは間違いない。
平和憲法は襤褸(らんる)のごとく打ち捨てられ、言論・表現の自由は狭められ、個人のプライバシーは蔑ろにされる。「戦争のできる国」へと邁進する先にあるのは「徴兵制」か。
自民党に投票した有権者の多くは、高市首相が素晴らしいリーダーだと思って投じたわけではあるまい。
彼女が何をやってくるのか、じっくり見ながら、声を上げるべき時には声を上げる。そうしなければこの国の民主主義は絵に描いた餅になる。
今週の最初は、ますます待望論が盛り上がる天皇の長女・愛子さんについて取り上げている新潮から。
毎度毎度で恐縮だが、どのメディアの世論調査でも、天皇の皇位継承を定める皇室典範を改正して「女性天皇も認めるべき」という回答は約70%、24年春に共同通信が実施した調査では90%に上るものまであった。
これはもちろん、愛子さんを想定しての数字であり、「愛子天皇」待望論が多くの国民の間に醸成されていることがうかがえる。
新潮は、なぜこれほどまでに愛子さんが高い人気を誇るのか? 彼女と接した人々の証言を紹介している。
新潮によれば、今や愛子さんの“追っかけ”まで出てきているというのだ。
“皇族追っかけ”の第一人者ともいうべき人物は白滝富美子といって、誕生から今年の新年祝賀の儀まで、愛子さんの成長ぶりを折あるごとにカメラに収めてきたそうである。
その白滝が、
「愛子さまの気品のある笑顔を見ると、どんな疲れも吹っ飛んじゃうから、85歳の今も、つえを突いて追っかけを続けているのよ」
と語っている。
宮内庁が開設したインスタグラムでも“インスタ映え”する愛子さんは、皇室の中でも群を抜いて「いいね」がつくそうだ。
しかし、幼いころは「不登校」になり、母親の雅子さんが毎日付き添って通学するということもあった。
母親が適応障害になったこともあり、秋篠宮家と比べて、どんよりとした雰囲気が漂っていた時期も長かった。
それが変わったのは、2022年の愛子さんの「成人会見」だったというのである。
「健康的なお姿ではつらつとお話しされ、一生懸命お考えになりながら質問に答えられるご様子に、好感を抱いた国民は多かったはずです」(皇室ジャーナリスト)
人見知りする性格だといいながら、物おじせず、自分の言葉で明るく話す彼女に、多くの日本人が安堵し、愛子さんへの期待感が一気に高まったのである。
新潮はこんなエピソードを紹介している。
「例えば昨年5月、愛子さまは石川県能登半島の被災地を視察され、道の駅に仮設されたスーパーを訪れられたのだが、そのスーパーの店長はこう述懐する。
『私の妻が愛子さまの応対をしました。うちには魚介類や野菜などいろいろな商品がある。愛子さまは“目移りしてしまいますね”とおっしゃって、並んでいるひとつひとつの商品について“これはなんというお魚ですか?”とお尋ねになったようです。大変興味深そうに商品を見て回られたので、10分の滞在予定が30分になりました』
興味を持たれたのは商品だけではない。
『妻が胸元に着けていた桜貝のブローチを見て、“幸せを呼ぶ桜貝ですね”と。妻が愛子さまに差し上げようとすると、“お気持ちだけいただきます”とおっしゃいました。親しみやすく温かいお言葉に、私はもちろん、その場にいた者はみんな愛子さまのファンになりましたよ』(同)」(新潮)
何度もここで触れているが、愛子さんも24歳になる。だが彼女は、自分の将来像を描けないまま、仕事に公務に追われる日々を送っている。
彼女の幸せを第一に考えたら、高市首相は早急に、愛子さんや秋篠宮佳子さんの進む道を、彼女たちの身になって、考えてあげるべきである。
お次は、フジテレビの株を買って760億円も儲けたという旧村上ファンドの話だ。
私は株への関心が全くないから、投資ファンドがいくら儲けた、損したと聞いても、「それがどうした」としか思わない。
自民党が大勝したから、株が上がり続け、このままいくと10万円台も夢ではないとはやし立てる週刊誌があるが、しょせん株は株、いつかは弾けて、あのバブルの二の舞になること間違いない。
まあ、ビンボー人には関わり合いのないことだがね。
旧村上ファンドを率いるのは村上世彰(66)だそうだが、今は、村上の長女の野村絢が表に出てやっているそうだ。
中居正広問題が起き、港浩一社長らが辞任したころから、旧村上ファンドはフジテレビの親会社であるフジ・メディア・ホールディングス(FMH)株を買い進めたようだ。
昨年4月にFMHの筆頭株主になり、さらに買い増す姿勢を見せ、フジ側も対決姿勢を示していたのだが、結局、旧村上側のいいなりになり、株を単純計算で約1560億円で買い取ったというのだ。
旧村上側がフジ株取得に要した額は約800億円といわれているようだから、短期間で倍の額を儲けたというのである。
笑いが止まらないだろう。半面、ようやくCMが以前のように戻ってきたフジテレビの社員たちからは、自社株買いの原資2349億円の中には金融機関からの借り入れも含まれるため、大丈夫なのか、番組の制作費がますます削られるのではという不安の声が上がっているようだ。
味を占めた旧村上側が次に狙うのはどこか?
外資系ファンドの関係者は、TBSホールディングスのリサーチに着手したと話している。
その理由は、TBSは利益に占める不動産事業の割合がフジに次いで高く、赤坂以外にも、8万坪の緑山スタジオなどを持っているからだという。
NETFLIXなどの配信会社が急成長している中、カネも人材も不足しているほとんどのテレビ会社には未来がないといわざるを得ないだろう。
気づくのが20年遅かったな。
次はマッチングアプリの闇というお話。
私の世代は、見ず知らずの男女が、マッチングアプリという相手の素性がわからない出会いをして、SEXをしたりするということが信じられない。
たしかに、我々の時代は、例えば大阪に取材に行くと、夜、タクシーの運転手に「どこか遊べるとこないかな?」と声をかけ、そうした場所へ連れて行ってもらうことをしていた。
その多くが、ヤクザが仕切っている売春宿だったが、相手に酷いことをしたり、カネを払わなかったりしない限り、トラブルになることはなかった。
だが今は、相手が何者かわからないのに、やり取りをして、会ってすぐにホテルへ行くことも珍しくないという。
私には信じられないのだが……。
2024年6月にXアカウント「独身偽装被害者の会」を立ち上げた外資系勤務のマイコも、アプリで知り合った男に騙された経験があったという。
2年前にマッチングアプリで知り合った河合という男に、「私が最も嫌いとするのは都合の良い不倫相手にされること」とくぎを刺したという。
すると河合からも、「される側はメリットないですものね」という返事が来たそうだ。
実際に会ってみると印象もよく、交際をスタートさせた。
多い時には週に2、3回のデートを重ねたが、彼女から見た河合には、妻どころか他の女性の影すらなかったという。
「土日に会うこともあったし、朝から晩まで、LINEがつながらない時間帯もない。日曜の昼に突然、片道2時間かけて会いに来たこともありました。お泊りも頻繁で、8月には大阪と横浜を3泊4日でめぐる旅行にも出かけました」(マイコ)
交際後も、彼の結婚歴や子どもの有無などを聞いたが、「びっくりするくらい何もないよ」と否定した。
次第にマイコは互いの将来について真剣に考えるようになっていった。
「リモート会議中に性交渉を求めることもあった。
『取引先企業との会議等の画面が見え、音声も聞こえていた。普通は就業規則違反を問われてもおかしくない状況だと思いましたが、彼は気にするそぶりもなかった。『マイコじゃなきゃ仕事中に会おうと思わない』と言われ、リスクを度外視するほど隠し立てのない愛情があると感じていました』(マイコさん)
性交について河合は、
〈1、2回は性欲だけでやれるけど、それ以上は愛情がないと無理よ〉
〈普通興味が失せる〉
などと伝えてきていた。過去の交際相手と肌が合わなかった経験から、結婚を考慮する要素として体の相性を重視しているのだという。さらに交際が深まると、河合は責任を取ると言って避妊をしなくなった。彼がカウントしてマイコさんと共有した性交回数は、4カ月で229回に達した。負担を感じたマイコさんが性交痛を訴え、回数を減らすよう持ち掛けたほどだった」(文春)
しかし、10月中旬、終わりは突然来たという。LINEのメッセージに「既読」がつかなくなった。
他の連絡手段も遮断された、
「『何が起きたか全くわからず、呆然としました。食事が喉を通らず、眠れなくなり、帯状疱疹の症状も出た。病院では適応障害と診断されました。藁をも掴む思いで調査会社に彼の身辺調査を依頼したところ、彼に奥さんと就学前の2人の子供がいると分かったのです』(マイコ)
後の裁判では、河合の妻にマイコさんの存在がバレ、妻の指示で河合がマイコさんを一方的にブロックしたことが明らかになっている。マイコさんは、自身が最も忌み嫌っていた〈都合の良い不倫相手〉として扱われたことに気がついたのだった」(文春)
翌24年10月、マイコは貞操権侵害を訴え、損害賠償を求めて河合を提訴した。対して河合のほうは、「2人の関係は結婚前提の真剣交際ではなく性交渉が目的だった」と主張した。河合の陳述書にはこうあるそうだ。
〈積極的に騙そうというより、勘付かれたらそれで終わりだなという認識でした〉
〈(避妊なしの性行為について)言い出したのは私だとしても、結局は原告も同意していたことです。原告が本当に嫌がっていたのであれば、その後、性交渉には応じていなかったはずです。原告は嫌なことははっきり言う性格でしたので、原告の意思に反して何かしようなどとは全く思いませんでした〉
その年の12月、東京地裁は貞操権侵害を認めた。そしてマイコの成果給減少も考慮した上で、河合に調査会社への支払いや適応障害の治療費なども含む約151万円の支払いを命じたという。
川合が勤めている博報堂にも質問状を送ったが、回答は、
「在籍確認も含めまして、すべてお答えをしておりません。コンプライアンス遵守を企業の根幹ととらえており、それに反するような行為があったと判明した場合には、厳正な対応を行う」
とだけだった。
博報堂という世間によく知られた広告会社ならば、自社の社員が独身と偽って一人の女性を弄んだというのだから、もっと被害者に誠意のある対応をすべきではないのか。
マイコが「独身偽装被害者の会」を立ち上げたのは、こういう理由からだった。
「独身偽装の被害者で、任意交渉中だった女性から、『相手が慰謝料を百万円から三百万円に増額してきた』という連絡がありました。被害者の会のアカウントや報道を知って、慌てて金額を上げてきたようです。私たちは決して慰謝料が目当てなのではなく、相手の貴重な時間と気持ちを踏みにじる加害者に猛省を促したい。その意味で、そうした連絡を受けて、初めてこの活動で誰かのためになれたという実感がありました」
さらに彼女は、
「私は裁判で通常より高額な慰謝料を認めてもらいましたが、それでも加害者が受ける報いは軽すぎる。たとえば結婚詐欺は詐欺罪が成立しますが、独身偽装には適用されません。法改正などで、民事だけでなく刑事でも処罰できるようにしてほしいと思っています。被害者の方には、泣き寝入りをしないでほしい。そして社会全体が『独身偽装を許さない』という意識に変わってほしい」
一人の女性の信念が、社会にうねりを起こしつつあるという。
私は、悪の温床になっているマッチングアプリというものを全面的に禁止すべきだと考えている。
そうしなければ、結婚詐欺や美人局が跋扈している現状を変えることはできないと思うからだ。
ところで、どんなに秀でたクリエイターでもマーケターでも、いくつも優れたものを作り出すのは至難の業であるはずだ。
文春によれば、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)復活の立役者でもあり、“マーケティングの神様”とも称される森岡毅が仕掛けるテーマパークということで、お台場のテーマパーク「イマーシブ・フォート東京(IFT)」は開業時から大きな話題を集めてきたが、累計62億円もの赤字を計上し、閉業が決まったという。
「森岡さんは2012年にチーフ・マーケティング・オフィサーとしてUSJの立て直しを任されると、在任5年間で年間来場者数は600万人増加。NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』やテレビ東京『カンブリア宮殿』など、テレビで度々取り上げられた。USJでの成功体験を明かした『確率思考の戦略論 どうすれば売上は増えるのか』をはじめ、著作は軒並み10万部を超えるベストセラーに。独自のマーケティング理論『森岡メソッド』を編み出し、高度な数学モデルを用いて消費者の需要が予測できると謳い、刀(森岡が2017年に設立した=筆者注)では、西武園ゆうえんちやハウステンボスのリブランディングなどの大型案件にも携わってきました」(経済誌記者)
そんな森岡が率いる刀が、初めて企画・開発から運営まで全て自前で手掛けたビッグプロジェクトがIFTだった。2024年3月、お台場のシンボルだったショッピングモール「ヴィーナスフォート」の跡地で華々しく開業したのであった。
「『イマーシブ』(没入型)をコンセプトにした演劇がメイン。来場者は空間内を自由に歩き回って、登場人物と会話をして謎を解いたり、物語の結末に関与したりもできる。旧ヴィーナス・フォートが遺したヨーロッパ風の街並みを居抜きで活用して、物語に入り込める空間が作られていました。人気の演目は、名探偵シャーロック・ホームズと事件を解決する『ザ・シャーロック』(七千八百円/約二時間)や江戸遊郭が舞台の『江戸花魁奇譚』(一万四千ハ百円/約七十分)など。海外の『イマーシブ・シアター』は、一回の参加者が十~二十名程度にとどまりますが、IFTでは百八十人が一度に観覧できる。“世界初の試み”として開業当初は注目を集めました」(同前)
だが集客が思うようにできず、わずか2年で閉業になった。
現場のスタッフにいわせれば、森岡はメディアが取材に来る時以外は、北海道にいてエゾシカを撃っていたという。
だが、イベントなどが新たにスタートする直前になって、現場に来ていなかった森岡がトップダウンで、あれもダメこれもダメといい出したという。
「SNSでの口コミが鍵を握る時代に、森岡さんはお金のかかるテレビCMにこだわった。マーケティングの発想が10年以上前のUSJ時代で止まっているのかなと思います」(社員C)
莫大な赤字と苦い記憶を残して終了が決まったIFT。だが、刀の苦難はこれで終わったわけではないというのだ。
2025年7月、森岡が14年間構想をあたため、地元の沖縄銀行やオリオンビールなどから資金700億円を調達しオープンしたテーマパーク「ジャングリア沖縄」にも、暗雲が垂れ込めているというのである。
運営元で刀が筆頭株主の株式会社ジャパンエンターテイメントは、すでに51億円の赤字を計上していて、IFTの現場スタッフは、同パークへの転職を打診されたというのだが、
「あそこもどうなるかわからないのに、沖縄まで行っても……」
というと不安を吐露する。その背景を、社員Aがこう明かす。
「経営が苦しいIFTをもっと早く閉業するべきだという意見もありました。ただ、ジャングリアが開業する前ではイメージが悪すぎるので、その決断ができなかった。結果、刀の経営状況は今、著しく悪化しています」
森岡本人は文春に対してこう答えている。
「経営者としての判断と責任を重く受け止めています。私が向き合うべきことは、消費者視点での価値創造を愚直に積み重ねていくことだと考えています。これまでも、そしてこれからも、仲間とともに、その一点に全力を尽くしていきたいと思っています」
崩れ行く森岡神話を再び復活させることができるのだろうか。
さて、テレビメディアの時代は終わったといわれて久しい。
それを象徴するように、テレビ局から多くの優秀な人材が辞めている。
「テレビには明日はない」という彼らの本音を新潮が追った。
テレビ東京にいて、『家、ついて行ってイイですか?』などの番組を手掛けた高橋弘樹(44)は、23年にテレ東を退社した。
現在はYouTubeで『ReHacQ』を運営し、経済人や政治家を招いた対談番組で人気を博しているという。
リハックは現在チャンネル登録者が170万人いるという。高橋はこういう。
「“テレビができないことをやろう”というカウンターは意識しています。ユーチューブは尺(時間の長さ)が決まっていないから、相手の本音を長尺でじっくり聞ける。よほどの役者でもない限り、長時間だと本音が出やすいし、言語外情報として表情にも滲み出てくるものだと思います」
高橋は、最初に入るのはテレビ局でいいが、その後は、NETFLIXやアマゾンプライムなどがあるので、辞めたければ辞められる時代だから、会社側がいかに居続けてもらうかを考えなければ出ていかれてしまうと話す。
特に優秀な人材ほど辞めてしまう。テレビがつまらなくなるわけだ。
2018年にTBSに入社して24年に退社した大前ブジョルジョ健太(30)もこう話す。
当時の年収は1千万円くらいあったというが、未練はなかったそうだ。
退職後は、映像ディレクターとして、世界の国境地帯を取材したり、令和ロマンのくるまとアジアを旅するなどが、ABEMAで配信されている。
大前はこう話す。
「いまのテレビ局は、日々の膨大な業務に追われ、現場の若い人たちがインプットする時間が圧倒的に足りません。大学を出て入社するまで、つまり社員が22歳までに蓄積したものの“切り売り”でしかないと思います。(中略)自分の引き出しはどんどん減っていくばかりです。ディレクターならば、そうした“もの作りの元になるもの”を増やしたくなる時期があるはずですが、それが許容されない風潮が強いと感じています」
現在、SunnyPictures合同会社の藪木健太郎(54)は元フジのプロデューサーで、早期退職募集で辞めた。
藪木は古巣のテレビに対してこういう。
「スマホという、より暮らしに身近なツールが出てきたのだから、テレビの側も“好きな番組を好きな時に観られない”といった、ユーザーファーストとは言えない部分を変えていってもいいのかなと思います」
TBSからNHKに転職して昨年3月に退職した井上大輔(44)が、辞めようと思ったのは24年11月に行われた兵庫県知事選だったという。
「この選挙では、NHKをはじめテレビ局の票読みと、ネット上のうねりとの乖離が明らかでした。テレビが世論から大きく離れてしまったわけです。世の中に訴えたいものがあって、最も影響力が強いメディアに入ったはずなのに、これでは伝えたいことが伝えられないと痛感したのです」
辞めた人たちのいいたいことは、「今のテレビでは自分を研鑽できない」「自由に自分のつくりたいものができない」「テレビはジャーナリズムではなくなってきた」ということだと思う。
近い将来、テレビは過去の遺物になる。私もそう思う。
