高市大勝の裏側、SNS3億円戦略、株高の虚像 元木昌彦が読む“サナエ時代”の危うさ
お次は「ナチュラル」という犯罪集団について文春から。
AVや風俗、キャバクラに女性たちを斡旋してぼろ儲けする輩は昔からいた。その多くに暴力団が絡んでいて、そいつらの資金源になっていた。
だがこの組織はそれとは違うそうだ。警察はこの集団を、構成員を入れ替えながら反社会的活動をする「匿名・流動型犯罪グループ=通称トクリュウ」と位置づけ、捜査を続けてきて、鹿児島県奄美大島で1月26日、「ナチュラル」の会長木山こと小畑寛昭容疑者(41)を逮捕した。
しかし、小畑を逮捕したことで、ナチュラルの全容解明に行きつくかといえば、そうではないと文春はいう。その理由を文春はこう記している。
「ナチュラルとは、端的にいえば闇の人材紹介業、あるいは裏の人材ブローカーともいうべき集団である。約二千人の構成員を擁し、北海道から沖縄まであらゆる歓楽街にルートを持つ。その収益源は「スカウトバック」と呼ばれる違法な紹介料だ。優秀なスカウトであれば月収三百万円も夢ではない。近年はAV出演や海外での売春案件まで手掛け、年間収益は少なく見積もっても五十億円に上る。
十年以上前から他のスカウトグループとは一線を画す存在と言われていたが、警察当局が総力を上げた摘発に乗り出すようになったのは、ここ三年くらいのこと。かつて住吉会傘下の暴力団と対立し、歌舞伎町で乱闘事件を起こすなど、『武闘派スカウト軍団』と見られてはいたが、23年2月、その凶暴性を象徴する事件が起きた。
『幹部補佐』役にあたる30代のメンバーが組織のカネを使い込み、借金をするなどの『規約違反』を犯していたことが発覚。幹部は部下と共にこのメンバーをナチュラルの寮に呼び出して繰り返し暴行を加え、全裸にして男性器を模した性玩具を肛門に突っ込み、その様子を撮影するという凌辱的な行為に及んでいた。その後、約一週間にわたり監禁されたメンバーは解放後に警察に駆け込み、十数人が逮捕される事態となった」(文春)
この事件以降、さらに捜査が進められたが、暴力団とはかつて大きな乱闘事件を起こしていたが、今は「みかじめ料」を払い共存関係にあるといわれているようだ。
しかも、この組織のすごいのは、「本社」「従業員」といった名称を使い、会社組織になっていることと、彼らが使っているアプリのすごさである。
「(文春が=筆者注)ナチュラルについて取材を開始したのは二〇二四年。謎の多い組織を知るためにまず取り掛かったのが、彼らが使用している『闇アプリ』の解明だ。『ナチュラルと言えばアプリ』と囁かれるほど、その存在は一部の関係者に知られていた。ただ、何重にもロックがかかっているうえ、メンバーが逮捕された場合などには本社から遠隔操作でアプリそのものを消去することもできるため、警察でさえ中身を見ることが困難で、解析はほとんどできていなかった。
極秘に接触した現役メンバーはこう語っていた。『本社の人からは、もし警察に捕まったらすぐにアプリを消すから、それまでは時間を稼げということを指導されます。アプリを常に監視している人がいて、位置情報が動いていない場合など、逮捕されているかどうかが分からなくても念のために遠隔で消されることもありますね』
このアプリは、トップの会長から末端の新人スカウトに至るまで、メンバー全員がログインしてスマホ上で使用する。詳しい経緯は割愛するが、我々も関係者の協力によってこのアプリを使用する機会を得ることができた。それは、ITの専門家も驚くほど精巧にできていた。チャットやファイル共有、通話などあらゆる機能が搭載され、ビジネス界でひろく使われるマイクロソフト社製「Teams」などのコミュニケーションツールと比べても遜色がない。さらに、メンバーの出退勤の管理や位置情報の把握、給与額の閲覧などもでき、“業務”のすべてがこれ1つで事足りるようになっている」(文春)
また、
「組織防衛を専門に担う『防衛部』なる部署もある。詳細はベールに包まれているが、捜査情報の収集や、警察内部に協力者を仕立てる秘密工作も行っていると見られている。昨年情報漏洩で逮捕された警視庁の警部補もこの部署と接点があったという。(中略)
捜査関係者が呟く。
『単なる粗暴な組織ではないところがやっかいだ。従来のスカウトのようにちょっとヤンチャなメンバーだけではなく、中には偏差値の高い大学に在学中に誘われて組織に入り、幹部となった人物も少なからずいる。ITやデジタル分野、法律に詳しい人物を多く抱えているのも特徴だ』」(文春)
文春が話を聞いている女性たちも、ナチュラルへの不満を口にはしていない。不思議である。
ここは海外への売春にも力を入れ出しているという。
アジアのほか、アメリカやオーストラリアへの紹介が多いが、現地の空港で売春を疑われ、入国を拒否され強制的に帰国させられるケースも出ているためナチュラルでは、カップルを装ってスカウトが同行する対策までとっているというのである。
組織の中心人物が逮捕されても、組織は滞りなく動いているそうだ。恐るべし! ナチュラル。
次はニューズウィーク日本版から。
米紙ニューヨーク・タイムズで調査報道に携わるデービッド・エンリッチの元には、エプスタインについての新しい文書が公開されるたびに電話とメールが殺到するという。
1月30日、司法省が約300万ページの資料を追加公開した時も、そうだった。
昨年11月、米連邦議会の上下両院は司法省に対し、ジェフリー・エプスタインについて把握している情報の全面公開を義務付ける法案を可決した。2019年に拘置施設内で死亡したエプスタインはいまアメリカで最も悪名高い性犯罪者であり、おそらく屈指の富豪だった。司法省は今回で資料の公開は完了したというが、同省がつかんでいる情報はこれで全てではないという。
スレート誌のポッドキャスト番組『ホワット・ネクスト』のホスト、メアリー・ハリスがエンリッチをゲストに招き、話を聞いた。以下はその時のやりとり。
──文書の中には、誤って公開されたと思えるものがけっこうあった。実にひどい。黒塗り処理が一切施されていない女性や少女の写真もある。身元が特定できて、しかも裸体。非常に衝撃的だ。それらの発見には、あなたのチームも貢献したとか。
政府の対応は全く混乱している。司法省の言い分としては、「エプスタイン・ファイル透明化法」が11月に可決・署名されてから、実際の公開まで準備期間が2カ月しかなかったせいだという。
だが実際、ドナルド・トランプ大統領は、エプスタイン関連文書の公開を公約にして政権に就き、その後に公開しないという判断を下した。背景には、文書の内容が自分や側近に不利になり得ることが、徐々に分かってきたこともあると思う。
法案が可決された11月以降の政府の対応は、まさにドタバタだった。被害者が特定できる情報が大量にあり、未成年者の性的虐待の証拠になり得る文書もたくさんあった。公益性がなく、法的に公開義務がない情報も多かった。司法省の対応は場当たり的で、本来なら隠すべきではない部分も大量に黒塗りにしていた。
(トランプの元側近の)スティーブ・バノンがエプスタインにテキストメッセージを送っていたことを示す文書があったが、エプスタインの名前は黒塗りされ、トランプの顔も黒塗りされていた。なぜこんなところまで黒塗りする必要があるのか、と思った。その一方で、被害女性の名前は特定できるようになっていた。
──今回の文書で私が注目したのは、トランプとエプスタインが互いを断ち切れない関係にあったのではないかと思える点だ。2人は1990年代から2000年代初めにかけて、友人関係にあった。その後、仲たがいしたという報道もある。エプスタインは未成年者との性行為で逮捕され、トランプは大統領選への出馬を決意する。けれども、何かにつけて互いの名前を持ち出さずにはいられない関係にあったのではないか。
確かに一時期、2人はとても親しかった。しかしエプスタインが秀でていたのは、人脈を最大限に活用する能力だった。著名人と一緒の写真を自宅にたくさん飾っていたのも、その関係を他の著名人に誇示したり、あるいは搾取していた被害者に圧力を与える脅しの材料にするためだった。
しかし、トランプの第1次政権下でエプスタインは逮捕され、拘留中に死亡(自殺とされる)した。
メアリー・ハリスは、新たに公開された文書の中でトランプに関する最大の疑惑があるという。それはFBIに寄せられた情報だという。
それに対してエンリッチは、真偽は確認できていないといいつつ、それはエプスタインとの関係においてトランプにかけられている性的な疑惑だと語っている。
また、今回の文書で注目を集めているのは、マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツとエプスタインとの親しい関係だという。
今回の資料の中には、エプスタインがゲイツに女性を世話し、ゲイツが性病に罹って治療のための薬を入手しようとしたと示唆するものがあるという。
この疑惑について聞かれた元妻のメリンダは、「結婚生活の最もつらかった時期を思い出す」と答えたが、「そんなことは絶対なかった」とはいわなかったそうだ。
エプスタインの死後、彼とゲイツの長年の関係が明らかになり、化学、金、女性、あるいは少女たちまで、あらゆるものが絡んでいたと見られているという。
だが、エンリッチは、エプスタインが嘘をつき、話を誇張し、さらに脅しや影響力を巧みに使って、権力者から自分の望むものを引き出すことに長けていた可能性もあるといっている。
たしかに、公表された文書を丸ごと信じることはできないかもしれない。
しかし、ビル・ゲイツに関していえば、夫婦が離婚した一因は、メリンダが夫とエプスタインとの関係に抱いていた「不快感」だということは、以前から知られていたことだという。
文書は当初、600万ページが公開されるといわれていたのに、半分になった。これから後の文書が公開される可能性について問われたエンリッチは、こういう。
下院監視・政府改革委員会は、ビル・クリントン元大統領夫妻や、エプスタインの資金提供者でランジェリーブランド「ビクトリアズ・シークレット」の親会社LブランズのCEOだったレスリー・ウェクスナーなど、広範な人々に対して、宣誓を行った上での証言に応じるよう「召喚状」を出しているといい、クリントン夫妻は証言することに合意したそうだ。
エンリッチは、エプスタインの物語が、これほど長きにわたって人々を引き付け、重みを持ち続けている理由は、女性や少女に恐ろしいことをしていた1人の男の物語というだけにとどまらないからだと話す。
「これは莫大な富、影響力、人脈を手にした人物が、どのようにしてグローバルなシステムを自分に都合よく操り、邪悪な目的に利用できるかを示す物語だ。彼は地球上で最も裕福で最も影響力を持つ人々の一部と手を結び、それを実行していた。そして物語の全容は、いまだ語りつくされてはいない」
としている。
この国では、ジャニー喜多川事件でさえ、もう記憶の彼方へ消え去ったように、旧ジャニーズ事務所のタレントたちをテレビ局は持て囃し、重用している。
まだ、この事件の全容が解明されたわけではない。それをこの国の人間も思い出すべきだ。
ここから3本続けて高市早苗政権の今後について触れた記事になる。
まず、週刊プレイボーイの855億円といわれる莫大な「選挙費用」を使わなければ、もっと重要なことにカネを回せたのではないかという素朴な疑問について。
高市首相が選挙で問うたのは「私が首相でいいかどうかを判断してもらう」というだけだった。
こんなことに莫大な税金を使うなら、全国保険医団体連合会がいうように、「850億あれば、高額療養費の限度額の引き上げは中止できた」はずだ。
元厚労大臣だった舛添要一は、地方や離島などでは医師不足が深刻化しているので、そのための対策費、「質が高く効率的な医療提供体制の確保」ができるという。
ほかにも、「研究開発によるイノベーションの推進」が657億円だが、これに855億円を追加すると、がんや難病に対しての研究や薬の開発スピードが2倍に伸びるのではないかという。
H3ロケット打ち上げには1機約50億円するが、855億円あれば17回も打ち上げられるのだ。
また、最新鋭のF35ステルス戦闘機は一機約200億円。最新鋭の潜水艦も建造費は約700億円くらいだという。
いかに高市首相は「無駄遣い」をしたのか、自覚してほしいものである。
今回の高市自民党大勝の大きな要因は、SNSを使った大量宣伝にあったといわれている。
だとすれば、選挙費用を莫大に使える党と、使えない党の「不公平」はどうなるのだろう。
新潮によれば、YouTubeにのった高市のメッセージが約1億6000万回再生されたという。
「他党と比較しても、この数字は突出しており、3000万回再生の参政党以下を大きく引き離した。大敗した中道改革連合はわずか330万回。自民党はネット空間でも他党を圧倒したといえよう。
『近年の国政選挙では、ネットの利用に長けた国民民主党や参政党が躍進しました。今回自民党は、高市首相のメッセージ動画を積極的に投稿する戦略が功を奏したといえます』
とは、ネット選挙に詳しい選挙プランナーの渕之上和良氏だ。
『党本部からの情報発信も充実していました。高市首相の応援演説をリアルタイムで編集・配信していた点は高く評価できます。各選挙区の候補者たちは、それらの動画を自身のSNSで活用して、有権者に顔や名前を効果的に浸透させることができたのです』(同)
選挙中に自民の広告が大量に流れたことに、一部から『法的に問題はないのか』との声が上がったが、
『公選法は特定の候補者の当選を目指して投票を呼びかける“選挙運動”のためのネットでの有料広告を禁じています。ただし、政党が“政治活動”として有料広告を出すことへの規制はありません。問題の動画は特定の候補への投票は呼びかけておらず、“選挙運動”には当たりません』(政治部デスク)」(新潮)
では、いくら広告費を費やしたのだろうか?
企業のユーチューブ運営を手がける「株式会社動画屋」の木村健人代表がこう話す。
「ユーチューブ広告というのは、グーグル広告の一部です。グーグルで検索すると、検索結果の一番上に『スポンサー』と表示される広告がありますよね。あれがグーグル広告のウェブ版。その動画版がユーチューブ広告だと考えると分かりやすいと思います。サービスの一番の強みは、誰に届けるかを非常に細かく設定できるところでしょう」
具体的には広告の配信エリアを市区町村単位で指定できるだけでなく、配信の時間帯もピンポイントで設定可能だというのである。
また、「セグメント設定」という機能でターゲットの選別も可能だともいう。
「広告を掲載する際、特定のトピックに関心を持つユーザーに配信先を絞ることができます。これにより、例えばドライブの動画を検索すると、自動車メーカーの広告動画が流れるわけです」
私にはさっぱりわからないが、特徴的なのは広告の出稿が「オークション形式」であるということだそうである。先の木村代表がこう話す。
「入札制なので“1回10円で出します”という広告主と“100円出します”という広告主がいたら、100円を提示した広告主の広告が優先的に表示されます。ただし、グーグルは競りの計算を自動でやる。広告主は細かい入札の代わりに、1日の広告予算額を設定します」
“1日1万円まで”と上限を決めると、1万円の範囲内でグーグルが自動的に広告の枠に入札するのだという。
このような特殊な仕組みを前提に、件の動画の広告費を木村が試算するとこうなるという。
「ユーチューブ広告の単価は配信の仕方にもよりますが、例の自民党の広告は1視聴あたりだいたい1.5円から高くても2円程度が目安だと考えられます。1.6億回、全て広告として再生された場合、仮に1視聴1.5円で計算すると2.4億円、2円で計算すると3.2億円。なので、2億~3億円くらいが現実的なラインだと思います。1日あたりの上限予算を2000万円程度に設定して、ターゲットなどを定めずに広告を配信したものとみられます」
今年の自民の政党交付金は約125億円。企業・団体献金の収入も多く、少数政党に比べれば格段に懐事情は温かいから3億円の出費など痛くも痒くもないだろう。
こうした広報戦略はいったいどのように生まれたのだろうか?
「自民党広報本部の広報戦略局には、大手広告代理店の社員が常駐しています。公示の1週間前からは『情報戦略会議』が開かれ、選挙期間中の広報戦略や報道対応について協議が行われる。会議には、広報本部や選対本部、組織運動本部の職員に加え、代理店の社員も参加します。党職員はネット広告に精通しているわけではないため、基本的には代理店に頼りきりです」(自民党関係者)
莫大な資金を湯水のように使い、スマホ利用者をターゲットに、大量にサナエ情報を配信する。たしかに、これが石破茂前首相だったら、こうはいかなかっただろう。
かくして、サナエの虚像ばかりが膨れ上がり、それが独り歩きして、「サナエ大好き」「サナエは日本の救世主」という妄想にかられた有権者が自民党に投票したというわけだ。
次の選挙では、スマホやSNSを選挙中は一切使ってはいけないという条例を設けて、やってみたらどうだろうか。結果は大きく変わるのだろうか。そうでもないのかな?
今週最後の特集は、史上最強の自民党を率いる高市首相だが、その前途は暗澹たるものだという文春と新潮から。
FNNが選挙後の週末に世論調査を行ったそうだが、高市内閣の支持率は72%と、依然として高いと報じている。
そりゃあそうだ、高市は首相に就任してからやったのは、解散総選挙だけだ。何一つとはいわないが、何もやっていないのも同然なのだから、国民も答えようがない。
だが、ひとたび国会が始まれば……、だが、野党のいない国会なんて、何とかのないコーヒーよりも味気なく、活気のないものになるのではないか。
だが、彼女がやらなければならない重要課題は山積しているのだ。
まず新潮からいこう。
食品の消費税を2年間ゼロにするという高市の公約が危ういという。財務省だけではなく、長年財務相を務めた麻生太郎は財政規律派だし、岸田政権から石破政権まで自民党税務調査会で幹部だった森山裕前幹事長もこういっている。
「消費税を検討するのであれば、代替財源が示されなければなりません。消費税は社会保障や地方交付税などの重要な財源になっていますから、その代替となる財源について議論を尽くさず、拙速に減税することには反対です。あくまで自民党の公約は“国民会議で財源やスケジュールなどについて検討を加速する” というものですから、私はそれでいいと思います」
さらに森山は、今回の選挙は、小泉純一郎がやった「郵政選挙」と似た雰囲気を感じるというのだ。
「今回の選挙では、いろんな党が消費減税を訴えましたが、代替の財源をしっかり示さずいい加減なことばかり言っていた。郵政民営化の時もいいことばかりを言って、結果的に郵便局は大変なことになっていますからね。我々のように郵政民営化に反対した人間からすると、あの時の選挙と似ているなと思いました。でも、高市さんは賢い人ですからね。財源については、国民会議に付すると仰っている。仮に2年間に限って食料品だけ減税したとしても、税率を元に戻すのは大変なこと。国民会議次第ですが、どんな知恵が出てくるのか……」
暗に、高市はずる賢い奴だから、国民会議で「消費税減税が否定」されても、地団駄踏んで悔しがり、国民に涙目で謝るというパフォーマンスで、知らん顔をするという筋書きなのではないかと、匂わせているように、私には思える。
第一、 高市政権で経済財政諮問会議の民間議員に選ばれた第一生命経済研究所の首席エコノミストである永濱利廣さえこういっているのだ。
「1年前の石破政権時代までは単年度主義で財政が緊縮気味でした。それが高市政権下でガソリン暫定税率は廃止となり、いわゆる『年収の壁』も引き上げられた。高校の授業料や公立小学校の給食無償化も打ち出しています。このような物価高対策が取られる中、無理して消費税減税をやる必要は薄らいでいると思います」
高市の中では、早くも、消費税減税は過去のもの(どうでもいい)となっているのかもしれない。
お次は文春から。
先日、私も海外に行って、円の安さに辟易して帰ってきたが、この「日本という国の没落」状態は、これからも続くそうだ。
円安自体は株価上昇に作用する。オールニッポン・アセットマネジメントの森田長太郎がこう話す。
「円安は輸出業を中心に日本企業の収益を増やす方向に作用します。さらに、インフレ率が2%台で定着してくると、眠らせている預金を不動産や株、海外の為替に投資する動きが出てくる。結果、株価を押し上げる効果を発揮します」
では今後、どこまで株価は上がるのか?
「例えば、アメリカでは10年間の平均を取ると株価が年10%程上昇している。経済規模は異なりますが、日本でも高市政権下での株価上昇の傾向が続くとすれば、同様のペースは十分期待できる。毎年、5〜10%ずつ上昇していけば、2〜3年のうちに7万円台に突入してもおかしくありません」(同前)
株は上がっても、我々庶民には関係ない話。暮らしはどうなるのか?
その前に、消費税減税は、物価上昇分に吸収され焼け石に水だということが、外国の例ではっきりしているという。
さらに、
「消費減税などで日本の財政への不安が払拭されず、円安が続く場合、日銀が追い込まれる形で政策金利の更なる利上げを余儀なくされるかもしれない。変動金利ユーザーからすると、想定よりもピッチが早い金利上昇に見えてしまう。現役世代の国民生活に負担です」(住宅ローン比較診断サービス「モゲチェック」を運営する塩澤崇)
年金も目減りするというのは経済ジャーナリストの荻原博子だ。
「現在の年金制度には、物価と賃金の上昇率が大きい場合、年金支給額もその分丸々上昇させるのではなく、上昇率を調整する『マクロ経済スライド』という仕組みが取り入れられています。これにより“年金の目減り”が生じます。24年の厚労省の試算では、経済成長が横ばいなら約30年後に実質2割程目減りするとされています」
最後に、1987年のNY株式市場の暴落(ブラックマンデー)を予見し、日本のバブル期には「日経平均が8000円まで下がらないとバブル崩壊は終焉しない」と的中させたことで有名なスイス出身の“伝説の投資家”マーク・ファーバーがこう“予言”している。
「円建てあるいは名目ベースで日本の株価は上昇していく。ただし、ドル建てもしくは対金価格で考えると、今後、日本の資産価値は下がってゆくだろう」
株高は円安に支えられた見せかけの高騰であり、日本がどんどん安くなる、という指摘。
ファーバーは続けて、
「私の考えでは、民主主義国家の指導者は常に再選につながる政策を実行します。したがって、経済成長を維持するために、紙幣増刷は継続され、こうしたこと(財政拡張)が加速度的に行われ、最終的には高インフレと金融システムの崩壊につながります。次の大きな危機は今年か来年に訪れると予想しています」
各種報道を見ていると、高市首相は経済が苦手のようだ。選挙中も頓珍漢なことをいってメディアで叩かれた。
その一番不得意な経済が、大勝で浮かれている高市政権を押しつぶすかもしれないのだ。
最後に、今日発売の現代とポストについても触れておきたい。
現代の売り物は13ページにもわたる総力特集「サナエ景気を乗りこなせ」だが、文春同様、インフレへの警戒と、いつもながらの「プロが厳選した『優待株』で人生を潤す」「家計見直し」という古色蒼然企画。
ポストは、潜入記者・横田増生が参政党の「神谷王国」に潜り込んだというので読んだが、まだ、潜入したというだけで、神谷王国の内部までは入っていない。次号に期待である。(文中一部敬称略)
(文=元木昌彦)
