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高市首相と台湾問題、皇室論争まで——週刊誌が暴く日本政治の危機

 これからポストの特集2連発。

 最初は、高市早苗政権が掲げる「食料品の消費税率ゼロ」などの減税策に対し、財務省が水面下で「減税つぶし」を仕掛けているという特集。

 ポストは自民党税制調査会(税調)の非公開小委員会(2026年3月6日開催)に、財務省などが提出した内部資料を独占入手したという。

 この内部資料は、高市首相が進める「消費税減税」の議論を、実質的に「減税反対・増税維持」へと誘導するためのロジックを詰め込んだものだというのである。

 当該の資料には、消費税減税を阻止し、現行制度や将来的な増税を肯定するための「仕掛け」が施されていた。

 減税を議論すべき場であるのに、資料では逆に「消費税がいかに安定した財源であるか」「社会保障の維持に不可欠であるか」といった増税のメリット(効用)が列挙してあるというのだ。

 さらに、小売業界の意見として「レジシステムの改修に多大な時間がかかる」「現場が混乱する」といったネガティブなものを強調し、減税の現実味を奪う構成になっている。

 直接的な減税ではなく、低所得者に現金を配る「給付付き税額控除」の議論へ誘導し、財務省にとって、税率を下げずに管理権限を維持できる都合の良い代替案(時限爆弾)だと指摘している。

 自民党税調の「インナー」と呼ばれる財務省に近い有力議員たちが、非公開の場でこれらの資料をもとに減税慎重論を形成していくように誘導しているようだ。

 財務省は巧妙に、「減税は年金世帯の負担増につながる」といった、一見すると弱者を守るような論理を構築し、首相の公約を骨抜きにしようとしているというのである。

 財務省のバックには財政規律派の大ボス、麻生太郎がいる。

 高市首相は、増税派の“ラスボス”と呼ばれた宮沢洋一税制会長を更迭して、旧岸田派の小野寺五典などを入れ、一新はしたが、多くは高い専門性がなく、財務省のいいなりに食品の消費税減税導入は難しいとの「結論」へと導かれてしまうのではないか。

 ポストは、高市首相が増税マフィアの動きを阻止し、早く食品の消費税減税の結論を出せと恫喝しないと、財務省を中心とした増税マフィアたちにしてやられるかもしれないと見ている。

 次は、イランを攻撃しているイスラエルとアメリカが駆使しているのは「サイバー攻撃」だが、イラン側も能力は落ちるようだが、サイバー攻撃を仕掛け、そのとばっちりは、沖縄米軍事基地を持つ日本にも及ぶと、国際ジャーナリストの山田敏弘が警鐘を鳴らしている。

 山田によると、イランはホルムズ海峡を機雷で封鎖などといっているが、米軍のジャミング(妨害電波)の影響で衛星測位システムの正確な位置を取得できていないため、効果的に機雷を配置するのは難しいだろうといっている。

 今回のイラン攻撃は、史上もっとも複雑なかたちでテクノロジーが力を発揮した戦争だという。

「その象徴的な出来事が、2月28日朝の大規模攻撃だ。ハメネイ師やイスラム革命防衛隊の幹部らが標的となり、1分間で約40人が死亡した。

 F15戦闘機が発射したミサイルが敵の指導者の命を奪ったことになるが、注目すべきは、そこに至る準備だろう。

 ロシアによるウクライナ侵攻しかり、現代の軍事行動にはサイバー攻撃が先行するのがセオリーだ。そのターゲットは2つあり、1つは防空網、もう1つはコミュニケーション網である。

 防空網については昨年6月、米国がイランの核開発拠点にミサイルを打ち込んだ際、ロシア製のS-300長距離地対空ミサイルのほとんどを破壊している。

 他方、コミュニケーション網では、米国とイスラエルは、多層的なサイバー攻撃を仕掛けていた。

 相手に悟られずに敵のインフラやネットワークへ侵入するハッキングには高度な技術が不可欠だ。米軍傘下の国家安全保障局(NSA)や、イスラエル軍の情報部隊として知られる8200部隊は、そうした分野の専門家を多数抱えており、今回の攻撃以前からイラン国内の携帯電話網や監視カメラのネットワークに侵入していたとされる。通信傍受などから得られるインテリジェンスを活用する工作は、シギント(通信信号を分析する諜報活動)と呼ばれる。これにヒューミント(人間を介した工作活動)を組み合わせ、イラン指導部の動きを立体的に把握した。

 どの幹部がいつ標的の建物に入るかに加え、車や運転手を特定し、運転手の自宅から動きまで掴んでいたのだ」(山田)

 私が知っている「ベトナム戦争」とは全く違う戦争になっているのだろう。

 山田は、日本の沖縄米軍基地からも戦闘機がイランに飛び立っているので、いつ日本もイランのサイバー攻撃を受けるかわからないという。

 米国頼みにならないで、日本独自の体制を構築していくのが不可欠だというが、もう手遅れではないか。

 せいぜい、日本はイランの友好国だといい続け、狙われないようにするしかない。私はそう考えている。

 さて、あのホンダがEV車からの撤退で、1957年の上場以来、初の赤字転落になると新潮が報じている。

 2026年3月期の連結最終損益が最大で6900億円の赤字になる見通し。会見で三部敏宏社長(64)は、「責任は私にある。断腸の思いだ」と語り、社運をかけたEVシフトを事実上撤回する形になった。

 三部は21年4月に社長に就任すると、脱エンジンを掲げ、2040年までに新車販売をEVとFCV(燃料電池車)のみにすると宣言した。しかし、第二次トランプ政権の誕生によって目算が狂ったようだ。

「バイデン前政権が進めたEV購入者への税制優遇措置を廃止、排出ガス規制も緩和するなど、EV普及に逆風となる政策が次々と打ち出されたのです。今回、開発中止となった3車種は、ホンダのEV戦略の中核を担うモデルで、主力の北米市場での大幅な生産体制の見直しを迫られました」(全国紙経済部デスク)

 世界販売台数1132万台のトヨタに対し、ホンダは352万台。グローバル市場では中堅メーカーに過ぎないホンダが生き残りを図るには、1つの先端分野にリソースを集中投下するしかないとの判断があったようだ。

 だが、自動車評論家の国沢光宏はこう叩き切る。

「EVシフトだけでなく、三部社長の戦略はことごとく失敗に終わっているのが現実です。鳴り物入りで設立したソニー・ホンダモビリティーは目立った成果を上げておらず、1兆7000億円というホンダとしては、過去最大規模の投資となるカナダのEV新工場も、昨年、計画の延期が発表された。EV用電池についても、世界の主流は安くて寿命の長いLFP(リン酸鉄リチウムイオン)ですが、ホンダは高価で寿命も限られ、発火の危険すらある3元系リチウムにこだわっています」

 二輪車部門は好調なのだ。そのため二輪車部門からは、「俺たちが稼いだ金を四輪が食い潰している」などの批判が止まないようだ。

 先の国沢がこう語る。

「これだけ失敗を繰り返しながら、自身の処分については、“3ヶ月分の報酬を30%返上する”と発表しただけ。“これで責任を取ったと言えるのか”と社内には怒りの声が渦巻いています。ホンダ復活の第一歩は、三部社長が退くことから始まると言っていい。彼がトップにとどまる限り、傷口は広がり、会社そのものが傾きかねません。“技術のホンダ”神話を崩壊させた十字架は、三部社長ひとりが背負うべきものです」

 あのホンダがEVで躓くとは。本田宗一郎も泣いているだろう。

 今週の最後の特集は、文春が報じている、トランプ大統領と高市首相が会談した際、出ていた「台湾海峡」危機事態についての個所が削除されていた問題。

 読めば読むほど、高市首相が嫌いになる。

 米国とイスラエルがイランとの間で激しい軍事的応酬を繰り広げる中、3月19日、日米首脳会談が始まった。

「当初、日本側はトランプ大統領の訪中に先立ち、米国と対中政策や台湾問題について認識をすりあわせる予定でした。ただ、イランへの攻撃によって封鎖されているホルムズ海峡への自衛隊派遣といった“難題”が要求される可能性があり、高市首相にとっては難しい局面となりました」(政治部記者)

 ところが、蓋を開けてみればトランプ氏から「ホルムズ海峡の航行の安全に関する貢献」は要請されたが直接的な要求はなかったといわれる。

 そのため、政府関係者は軒並み「成功」と胸を撫でおろし、自民党内では「120点だ」と大喜びする幹部までいた。

 だが、文春によれば、そうではなかったようという。

 初っ端から、高市首相は9分も遅れたそうだ。

「午前十一時丁度にホワイトハウスに到着する予定でしたが、実際の到着時刻は十一時九分。しかし首相は遅刻を詫びることなく、トランプ氏の差し出した手をかわし、いきなり抱きついてハグしたのです」(全国紙のワシントン特派員)

 その上、高市首相はかつて「米連邦議会立法調査官」だったと経歴に記していて、英語は得意なはずだが、会談冒頭、いきなり躓いてしまったという。

「首相がたびたび言葉に詰まり、トランプ氏から『素晴らしい通訳がいる』と助け船を出された。米国の記者団から矢継ぎ早に質問が飛んできた際も、トランプ氏から『(質問内容が)分かりますか?』と気遣われていました」(同)

 会談時間は約1時間半。その後はトランプ主催の夕食会に招かれ、日本語でのスピーチも披露したが、

「高市首相は日本と米国を『最強のバディ』と表現しましたが、米国で“バディ”という単語はインフォーマルなもの。いわば若者が“マブダチ”と言っているようなもので、適切な表現とは言い難い。一方でトランプ氏の息子の誕生日を外務省に調べさせ、お祝いの言葉を述べて場を和ませた。彼を“イケメン”と称して笑いを誘っていましたが、アドリブでしょう」(同)

 会談で「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけ」と日本人の多くが赤面するほどのおべっかを使い、夕食会でもトランプを持ち上げ続けた高市。

 しかし、会見でテレビ朝日の千々岩森生記者が、「なぜ日本などの同盟国に軍事攻撃を事前に知らせなかったのか」と質問すると、トランプ氏は冗談交じりにこう答えた。

「日本ほど奇襲に詳しい国はないだろう。(日本は)なぜ真珠湾攻撃を知らせてくれなかったんだ?」

 この時はさすがに、高市首相も気まずい表情になった。

 会談直後、ひとり報道陣に対応したのが、尾﨑正直官房副長官だった。

 雄弁だった彼が突然言葉を濁したのは、台湾に関するこんな趣旨の質問が出た際のことだったという。

「昨年、石破茂前首相が会談した際には、その後の日米共同声明に『台湾海峡の平和と安定を維持する』といった文言が載っていました。今回もそうした枠組みの中で米国と議論は行われたのでしょうか」

 尾﨑氏は、こう返したという。

「現時点では、詳細については控えさせて頂く」

 だが、文春によると、日米首脳会談後にホワイトハウスが公表した「ファクトシート」と、日本の外務省が公表した文書を見比べると、明らかに“異変”が起きていることが分かるというのである。

 ファクトシートには、地域安全保障の強化についてこう記されているという。

「両首脳は台湾海峡の平和と安定が、地域の安全保障と世界の繁栄に不可欠な要素であることを確認した」

 だが3月19日、日本の外務省が発表した文書には“台湾”の「た」の字も記載されていないのだ。

 これまで台湾に関する文言は、2024年4月の岸田元首相や、21年の菅義偉元首相が行った会談後に出された「日米首脳共同声明」には記載されていた。にもかかわらず、今回に限って台湾への言及が日本側文書から消されているというのだ。

 高市首相は“親台派”で知られ、頼清徳総統と昨年4月に会談していた。頼総統が高市の総裁就任を祝福するメッセージを送ると、高市もSNSに「重要なパートナーであり、大切な友人です」と投稿していたほど“親密”なようだ。

 元防衛副大臣で首相補佐官(国家安全保障担当)の経験もある長島昭久衆院議員もこう首をひねる。

「日米共同声明を出していないので、両国間で多少の齟齬があることは分かります。ただ、それにしても台湾に関する文言が一切記載されていないのは、なにがしかの意図があるはずです」

 英紙『フィナンシャルタイムズ』(FT)のワシントン特派員のディミ・セバストピュロがこういう。

「菅氏がワシントンを訪問した際、日本メディアは共同声明に盛り込まれた“台湾海峡の平和と安定”との文言に関して大々的に報じていたのを覚えています。昨年の高市氏の台湾に関する発言に対する中国政府の反応を考え、中国との関係をこれ以上悪化させたくなかった可能性がある」

 文春は、高市首相はこの問題について、トランプ大統領と話したかったはずだったという。

「会談で高市首相が時計を4回もチラチラ見たのは、記者がいないところで対中関係について話し合いたかったから。『記者はまだいるの?』と聞いていた」(前出・ワシントン特派員)

 トランプは会談で日中関係は「少しギクシャクしているようだ」と述べ、今度習氏に会ったら「日本の良いところを話す」とリップサービスした。それだけ日本側が中国との関係について、トランプ氏に相談していたということだろう。

「『台湾海峡の安定』について言及するということは、裏を返せばいまは危機的状況にあるということ。首相は対中関係に悩んでおり、出来るだけ刺激したくない。そこで、外務省文書の中から『台湾』に関する文言を最終的に消したのです」(外務省関係者)

 文春は、先の尾﨑を電話で直撃した。するとこう答えたという。

――米国の文書には「台湾」という言葉があるが、日本の文書にはないのはなぜか。

「日本側はそれ(発表文)の段階では外交の詳細については詳らかにしないというのがありまして。米国側は米国側の判断で、ファクトシートの中にそういうものを入れたんだと思います」

――台湾について議論があったことは否定しない?

「ということになります」

イラン情勢は時々刻々と変化し、物価高対策は進んでいない。多数に胡坐をかいていられるのは、あと何日か?

高市首相の終わりの始まりが、すぐそこまで来ている。
(文中一部敬称略)
(文=元木昌彦)

元木昌彦

編集者。「週刊現代」「FRIDAY」の編集長を歴任した"伝説の編集者"。

元木昌彦
最終更新:2026/03/31 13:00