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KIBA×KISAKI インタビュー対談 後編~「人生を懸けている人は、ステージに全部出る」

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KIBA x KISAKI 撮影=石川真魚
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 GargoyleのKIBAと、長年ヴィジュアル系シーンの最前線を歩んできたKISAKI。世代も活動のスタイルも異なる二人だが、共通しているのは、人生の大半を音楽に捧げてきたことだ。

 対談後編(前編はこちら)では、まだSNSもインターネットもなかった時代のバンド活動や、手作業で作り上げてきた音源と宣伝、CDやレコードといった「物」としての作品への思い、そして現在のバンドシーンについて語り合う。

――お二人とも、音楽以外の仕事をほとんど経験していないという共通点がありますね。

KIBA:僕は本当にお金がない頃から働いてないんですよ。家賃を払えないとかも、しょっちゅうあった。周りから見たら「バンドマンの苦労」みたいに見えるんでしょうけど、本人はそんなに苦労していると思ってないんですよね。

KISAKI:わかります。僕もそうでした。音楽以外の仕事をして、その時間を取られる方が自分にはストレスだった。仕事をしていたとしても、たぶん頭の中では音楽のことを考えていると思うんですよ。でも仕事をしていたら、それをその場で行動に移せない。僕は、その時間がもったいないと感じてしまう。

KIBA:大変なことはもちろんあるんですよ。でも僕は、どちらかというとその大変さも面白い。芸術って、起きたことを自分というフィルターを通してどう表現するかじゃないですか。だったら、何かが起きている方が材料になる。「困った」という状況さえ、自分の表現につなげられる可能性がある。最終的に、それでバンド活動ができなくなったとしても、それはそれで仕方ない。だったら、やりたいことをやった方がいい。

――お二人が活動を始めた当時は、今とは宣伝方法もまったく違いましたよね。

KISAKI:全部手作業でした。ライブをやってアンケートを集めて、そこに書いてもらった住所へライブ情報を送る。友達が働いているコンビニでチラシをコピーさせてもらって、メンバーみんなで何千枚も宛名を書いてDMを送る。カセットテープを作る時も、自分たちでジャケットを作って、切って、ケースに入れて。本当に全部自分たちでやっていました。

――Gargoyleも同じでしたか。

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KIBA

KIBA:最初のライブなんて、誰も来るわけがないからね。お客さんが入っているバンドのライブへ行って、終演後に自分たちのチラシを配る。ライブハウスに貼るチラシも、カラーコピーは高かったから、普通にコピーしたものに自分で色鉛筆で色を塗ったりして(笑) でも、そういうことやってるのも単純に好きだったんですよ。

KISAKI:今はSNSで簡単に告知できますけど、逆に宣伝そのものについて考える面白さは少なくなった気がします。昔は、どうやったら知ってもらえるのかを全部自分たちで考えなければいけなかった。今は宣伝の方法を考えるというより、「今まで絡んだことのないバンドとライブをやってみよう」とか、そっちを考えるようになりましたね。

――音楽の届け方も、レコード、カセット、CD、そして配信へと変わってきました。

KISAKI:最初は全然ついていけなかったですよ。Twitter(現X)ですら、「140文字で何が書けんねん」と思ってましたから(笑) でも、そこは時代に適応していかないといけない。

 YouTubeや配信が当たり前になって、便利になったのは間違いないと思います。ただ、僕は今でもまず盤を出して、配信はあとにすることが多いんです。物としての作品を大切にしたい。配信は便利ですけど、僕自身は音楽をちゃんと聴き込むなら、スピーカーから聴きたいし、イヤホンよりヘッドホンで聴きたい。

 CDの売り上げは昔に比べたら全然減りましたけど、盤を欲しい人はまだいる。レコードを欲しがる人もいる。ヴィンテージの物を好きな人がいるのと同じで、数が少なくなっても、なくなることはないと思っています。

――Gargoyleは音源のパッケージにもかなりこだわっていました。

KISAKI:そこは本当に影響を受けました。インディーズ時代から、「こんなのどこで作れるんだろう」と思うようなジャケットや仕様を作っていたじゃないですか。僕もレーベルをやっていたので、経営側の感覚なら、「そんなもの作ったら赤字になる」と止めると思うんですよ(笑) でもGargoyleはやっていた。

KIBA:作りたいものを作りたい、それしか考えてなかったですね。それが赤字になるかどうかよりも、「これを作りたい」が先。そもそも、こんなに長くやると思っていなかったし。だから、自分の人生の思い出じゃないけど、年を取った時に「おじいちゃん、こんなの作ったんだぞ」って言えるようなものを作りたかった。一生、「これを俺が作った」と言えるもの以外は作っちゃダメだと思っていました。

――長くシーンを見てきて、今のバンドについて感じる変化はありますか。

KIBA:音楽的なクオリティは、今の方が高いことが多いと思います。演奏もすごくうまい。ただ、昔の「うまい」と今の「うまい」は少し違うんですよね。

 今は機械的な精度も含めて、本当にきれいに作れるし、それをライブでも再現できる。それはすごいことだと思います。ただ、生々しい激しさとか、格好よさがダイレクトに伝わってくるバンドは、少し減ってきたようには感じます。もちろん、今でもそういうバンドはいますけどね。

 僕らが憧れていたライブハウスのロックって、「うまく演奏する」だけじゃなかった。自分の個性だったり、奇抜さだったり、何か自分にしかないものをどうやって知ってもらうか。そこが大きかったと思う。

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KISAKI

KISAKI:僕は80年代後半から90年代くらいのヴィジュアル系がすごく好きなんです。あの頃って、それぞれのバンドの色が全部違ったじゃないですか。最初は先輩たちに憧れて、髪を伸ばして立てて、格好から入る。でも途中で「同じことをしても勝てない」と気づく。そこから、自分たちにできることを探していく。演奏がめちゃくちゃなバンドもいたし、ライブで何が起きるかわからないようなところもあった。でも、そのめちゃくちゃさもバンドの面白さだったんですよね。

――KISAKIさんから見て、KIBAさんのステージにはどんな魅力がありますか。

KISAKI:KIBAさんは唯一無二ですよ。ステージに立っている時の存在感がすごい。僕はいろいろな先輩を見てきて思うんですけど、人生を背負っている人、人生をそこに懸けている人って、ステージに全部出るんです。会場が大きいとか小さいとかじゃない。人生を音楽に捧げている人のステージは違う。

KIBA:ライブをやっていると、もちろんしんどい時もあります。そこで「ちょっと抜こうかな」とよぎる瞬間もある。でも、その時に「ここで抜いたら、俺は死ぬまで後悔するな」と思っちゃうんですよ。だったら、ここで倒れた方がいいんじゃないかって。やりすぎて倒れたなら、僕の中では格好いい。中途半端に抜くくらいなら、倒れるところまでやりたい。

――今回、KISAKIさんが50歳という節目に制作したアルバムをリリースしますよね。その一曲で、KIBAがボーカルを担当していますよね。今回の曲は、最初からKIBAさんに歌ってもらう前提で作ったのでしょうか。

KISAKI:KIBAさんにお願いして、OKをいただいてから曲を作りました。でも、KIBAさんに合わせて作ろうとはあまり考えなかった。KIBAさんって、どんな曲を歌ってもKIBAさんになると思っていたので。

 それで今回は、歌詞もKIBAさんに書いてもらったんです。僕の曲を聴いて、KIBAさんからどんな言葉が出てくるのか見てみたかった。実際、自分からは絶対に出てこない言葉が出てきました。レコーディングは緊張しましたけど、すごくいい仕上がりになったと思います。

――KIBAさんは、作詞まで依頼されるとは思っていましたか。

KIBA:歌ってほしいと言ってもらったこと自体、すごくうれしかったんです。大事な作品ですからね。ただ、歌詞まで書いてほしいと言われた時は、ちょっとびっくりしました。KISAKI君のこれまでの世界観があって、その中の曲を僕が歌うのかなと思っていたから。でも、だったら自分なりに書いてみようと。

 タイトルは「桜錯乱」。KISAKI君の持っているヴィジュアル系の華やかさと、きれいなだけじゃない少し怖い感じというか、狂気性。そういうものを出せたらと思って。KISAKI君をイメージしながら書きました。

――この作品に参加することでの心境の変化などはありましたか。

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KIBA x KISAKI

KIBA:正直、一人になってから「すごいものを出さなきゃ」と思っていたところがあったんです。一人になってGargoyle、つまらなくなったな、と思われたくない。だから逆に、なかなか音源を出す一歩を踏み出せなかった。でもKISAKI君の作品に参加して、「出す」ということを一回クリアできた。だったら、もうそんなに肩に力を入れなくてもいいのかなって。

 Gargoyleとして今、曲を作り始めています。まだ3曲くらいですけど、どんどん作っていって、来年の早い時期には出したいと思っています。
(文/構成=Leoneko 撮影=石川真魚)

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【GUEST PLAYER】
Vocal→
橋本直樹(OUTRAGE)
KIBA(Gargoyle)
苑(摩天楼オペラ)
団長(NoGoD)
マコト(ドレミ團・怪人二十面奏)
ryo(GULLET/ 9GOATS BLACK OUT / HOLLOWGRAM他)
椎名ひかり

Guitar→SAKI (Mary’s Blood・NEMOPHILA他) / Iyoda Kohei
Drums→森谷亮太

●詳細
KISAKI official HP

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Leoneko

ドラマー、ヴィヴァルディ・インク株式会社代表取締役。株式会社サイゾー取締役を経て、現在はWebメディアのコンサルティングと編集を手がけ、様々な媒体を担当している。サイゾーオンラインでは、Gargoyle・KIBAとミュージシャンの対談連載で聞き手と構成を担当。自身もバンドでドラムを叩き、ライブハウスに立ち続けている。

X:@leo_tekona

Instagram:@leone_ccf

Leoneko
最終更新:2026/10/14 12:00