【視聴率】『あなたを奪ったその日から』最終回5.6%、北川景子の衝撃ラストが物議「倫理的にいいの?」(ネタバレあり)


北川景子主演『あなたを奪ったその日から』(関西テレビ制作・フジテレビ系)の最終回が6月30日に放送され、意外なラストに「これって倫理的にいいの!?」などと驚く視聴者が相次いだ。
※以下、『あなたを奪ったその日から』のネタバレを含みます。
同ドラマは、山下智久主演『アルジャーノンに花束を』(TBS系)や『君と世界が終わる日に』Season1(日本テレビ系)などの池田奈津子氏が脚本を手掛けるオリジナル作品。食品事故で娘を失った母親が、不起訴となった惣菜店の社長の娘を誘拐し、自分の子と偽り育てるというサスペンスフルな親子愛の物語だ。
最終回では、“萌子”として結城家に戻った美海(一色香澄)が、ようやく新しい環境に慣れてきた頃、萌子の父・旭(大森南朋)は上司の木戸(中原丈雄)から一刻も早く紘海(北川景子)を逮捕させて事態を収拾するよう急かされる。
そんな中、萌子が「お母さんに会いたい」などとつづった手紙を残し、家出してしまう。その後、萌子のもとへ紘海と旭が駆けつけ、紘海と萌子が感動の再会を果たす。
この帰り道、紘海は「自首をする」と告げるが、旭は「子どもにとってもっとも幸せな環境で育てること」が大事であると説得。その後、誘拐のことが明るみに出るも、旭は記者会見で「誘拐事件はなかった」「2人は本物の親子です」と断言。萌子は“育ての親”である紘海のもとへ戻り、何ごともなかったかのように2人暮らしを再開するのだった――。
「北川景子の役は逮捕されるべきでしょ。犯罪だし」
初回放送時から、多くの視聴者が誘拐犯である紘海が逮捕される結末を予想していただけに、ネット上では釈然としない視聴者から「北川景子の役は逮捕されるべきでしょ。犯罪だし」「夜10時代のテレビドラマの結末として、倫理的にこれでいいのか?どんなことされても子どもを誘拐しちゃダメだろ」といった声が続出。
とはいえ、それぞれの事情や親子愛が丁寧に描かれてきたこともあり、「紘海が孤独にならず、幸せルートに行ったのは救われた」「意外すぎる結末だったけど、丸く収まってよかった」などと好意的に受け取る視聴者が目立っている。視聴者がさまざまな意見が飛び交っているラストについて、ドラマライターの北村有氏はこう語る。
「最終回の結末について、北川景子演じる紘海が逮捕されるENDを予想していた方のほうが多かったと思います。私自身もそう予想していましたし、物語の結末としても、倫理の問題としても、一度逮捕され、きちんと罪を償ってから親子として再会する展開のほうがスッキリしたかな、と感じます。ただ、そもそも紘海が萌子を誘拐したのは、旭とその家族が起こした事故によって実の娘を亡くしたからですし、罪の意識に苛まれて一度は誘拐したばかりの美海を警察を介して帰そうともしていました。
旭が紘海を告発せず、彼女たちを『本物の親子』として位置付け、罪に問わなかったのは、自分がしてきた罪の重さや影響を与えた人たちの人生に直面し、あえて告発しないことがせめてもの“償い”になる、と彼なりに判断したからではないでしょうか。逮捕されないENDはリアリティには欠けていますが、本作がこれまで1話から丁寧に積み上げてきた物語と、登場人物たちの心情を考えると、そこまで外れた結末ではないのかもしれないな、と感じます」
Snow Man・阿部亮平の役に「1人哀れすぎ」
倫理的な観点はさておき、紘海、旭、萌子にとっては心が晴れる結末となった同作。一方、いまだに視聴者をモヤモヤさせているのが、Snow Man・阿部亮平演じる玖村毅だ。
玖村といえば、旭の長女・梨々子に虚偽の情報をネット上に流されたせいで、仕事を転々とする羽目に。その上、最終回では梨々子に“やり返す”展開が描かれ、玖村は“闇落ち”の様相だった。
SNS上では「最後まで不憫すぎてすっきりしない」「1人哀れすぎて、気持ちの整理できてません」といった声が相次いでいるが、前出の北村氏はこう話す。
「梨々子には救いの手が差し伸べられたというか、自分の侵した罪を開示して被害者(紘海)に謝罪する場が設けられていました。そんな彼女の対比として玖村の状況を見ると、まさに不憫の一言ですよね。そもそも彼はSNS上で広められたような罪を犯してはおらず、もっと言えば、紘海が怪しいと気づくきっかけを望月(筒井道隆)に与え、そこから真実が明るみに出ることになりました。影の功労者とも言えるのに、あまりにも存在が無視され、報われないキャラクターとして描かれているな、と感じます。
メタ的な見方をしてしまえば、紘海が旭についての情報収集を進めるため、かつて旭の家に家庭教師として出入りしていた玖村と偶然知り合う展開が必要でした。この物語を俯瞰して見てみると、望月と同じように、玖村も『紘海と旭の関係をつなぐ存在』として違和感なく存在していなければならないキャラクターでした。せめて少しでも彼が救われる描写があればよかったのですが……。ある意味忘れられない、印象的なキャラクターになったのではないでしょうか」
なお、同ドラマの平均視聴率は初回が世帯6.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、個人3.6%で発進し、第2話以降は世帯4~5%で推移。
最終回は世帯5.6%、個人3.1%で、期間平均は世帯5.0%でイマイチとなったが、Tverや全話配信中のNetflixでは視聴数ランキングで首位になるなど健闘していた。
意外なラストが大きなインパクトを与えた『あなたを奪ったその日から』。北川主演ドラマ史上、上位の問題作といえるかもしれない。