『踊る大捜査線』新作映画決定で期待が高まる“平成人気シリーズ”のリバイバルと『古畑任三郎』復活の可能性

織田裕二が主演を務める『踊る大捜査線』シリーズの劇場版最新作『踊る大捜査線 N.E.W.』の製作が正式発表された。公開は2026年を予定している。
1997年にフジテレビで放送された『踊る大捜査線』は、織田演じる脱サラ刑事・青島俊作を中心とした刑事ドラマだ。数多くのスペシャルドラマ、スピンオフドラマ、スピンオフ映画も製作され、『踊る大捜査線』を冠した本編の劇場版としては4本が公開された。今年はスピンオフ映画『室井慎次 敗れざる者』『室井慎次 生き続ける者』の2部作が公開され、『生き続ける者』のポストクレジットでは青島俊作が登場していた。
劇場版2作目『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』は実写邦画歴代1位、興行収入173.5億円を記録するなど、平成の大人気シリーズ『踊る大捜査線』。そのリバイバルに、日本映画界も盛り上がりを見せそうだ。
「ここ数年の日本映画はアニメ映画が好調で、いわゆる“推し活”の一環として劇場に足を運ぶ人々に支えられています。一方で比較的ライトな映画ファンを呼び込めるような大衆的な作品が足りない状況もあります。
そんななかで、実写邦画興収歴代1位の記録を持つ『踊る』シリーズの復活は、とても明るい話です。それこそ当時の『踊る』シリーズを楽しんでいた40代以上の観客を呼び込むことができれば、大ヒットは間違いない。昨今の平成カルチャーリバイバルの流れもありますし、『踊る』以外の人気シリーズの復活さえも期待してしまいます」(映画関係者)
では、『踊る大捜査線』に続いて、新作の製作が期待される平成の人気シリーズとは、どういったものなのだろうか。エンタメウォッチャーの大塚ナギサ氏はこう話す。
「『踊る大捜査線』のように、すでに何度か映画化されている平成の人気シリーズであれば、多くの観客から支持される可能性が高い。そういう意味では、木村拓哉さん主演の『HERO』(フジテレビ系)は劇場版第2作が公開された2015年から10年ほど経とうとしていて、続編があれば喜ぶファンは多いのでは。
2018年に劇場版が公開された山下智久さん主演の『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(フジテレビ系)なども、新作が出てきておかしくないタイミングだと思います。
個人的に新作が見てみたいのは、仲間由紀恵さんと阿部寛さん主演の『トリック』(テレビ朝日系)ですね。2014年に劇場版第4作でシリーズは完結していますが、『踊る』も劇場版第4作で完結したはずでしたから、まだまだ可能性はあると思います。あと、堺雅人さん主演の『リーガルハイ』(フジテレビ系)の劇場版も見てみたい。そもそも“法廷もの”なので、単発の映画化にはとても向いています。コメディ要素が強いということで、ライト層へのアピールもできると思います」
一方、全3シーズンのほかスペシャル版、ファイナル版など、何度もテレビドラマとして製作されているものの、劇場版としては1本も製作されていない平成の人気シリーズが『古畑任三郎』だ。
「『踊る』シリーズと同様、日本のテレビドラマ史に燦然と輝く“刑事モノ”が『古畑任三郎』シリーズ。主演の田村正和さんが亡くなっているので、そのままの形で再び映像化することは不可能ですが、新たなキャストでのリメイクや、別の登場人物にスポットを当てたスピンオフなどであれば製作できるのでは……と勝手に期待してしまう。
もし実現したら、かなり大きな話題になることは間違いないでしょう。かつてイチロー選手が本人役で出演したこともあるので、同じように今度は大谷翔平選手が登場したら……なんていう妄想もはかどってしまいます。最近はNetflixなどの配信ドラマが目立ち、地上波ドラマの存在感が薄まっていますが、『古畑任三郎』であればそこに対抗しうる強力な作品を生み出せると思います」(大塚氏)
『古畑任三郎』の脚本を担当する三谷幸喜は、朝日新聞での連載『三谷幸喜のありふれた生活』において、2020年と2021年に2本の新しい小説版『古畑任三郎』を発表。新ドラマへの期待も高まったが、三谷は「田村正和さん抜きでドラマの新作が作られることはありません」と宣言している。
とはいえ、何が起きるのがわからないのがエンターテインメントの世界。『踊る大捜査線』についても、主演の織田裕二が首を縦に振らないと言われていたこともあったが、ここにきて大復活することとなった。往年の大人気シリーズの新作が次々と登場するという展開も、決して夢物語ではないのでは──。
(取材・文=編集部)