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『M-1グランプリ2024』では何が起こったか? ~ファーストステージ~【新越谷ノリヲトーク】

バッテリィズ

編集S それで、問題のバッテリィズですね。

新越谷 ジョックロックで「新しいやつもおもしろそう」という印象付けが済んでいたのもあると思う。期待感というか。

編集S 大爆発でしたね。

新越谷 エースがもう、扉があいた瞬間から待ちきれないとばかりに飛び出してきて。

編集S ほんとだ、すごい楽しそう。

新越谷 今年はずいぶん印象変わったなと思ってたんです。

編集S というと?

新越谷 バッテリィズって、ツッコミとアホのケンカ漫才というイメージだったんですよね。まともなことを言っている寺家に、アホのエースが理不尽にキレ散らかすという。「知らんわ!」「関係あらへん!」「どうでもええねん!」みたいな。

編集S 今回のネタとは、確かに違いますね。そういう印象は全然ない。

新越谷 そんなに熱心に追ってきたわけではないから的外れかもしれないですけど、わりと明確にキャラ変してきたと思ったんです。今回、ひとつ「エースが素直に謝れる」が爆発の要因になってましたけど、あんまりそういう人ではなかった。たぶん、寺家の中でエースの方向性を修正したんだと思う。それがハマった感じでしょうか。

編集S 石田さんは「ボケの角度とタイミングがわからない。不意打ち」と言ってました。

新越谷 そういう印象もなかったんだよなぁ。わりと、エースがちゃんと寺家の言葉を待って掛け合いをしていたと思う。これもあくまでイメージですけど。

編集S 進化してきたってことなんですかね。

新越谷 そうでしょうね。準々決勝から今年のバッテリィズがヤバいという話は聞こえてきてたけど、本番見事でした。すごかった。

ママタルト

編集S すごかったですね。余韻もあって、ママタルトにも影響はあったでしょうね。

新越谷 まさしく、19年ミルクボーイ直後のオズワルド。ママタルトはせり上がりにひとつポイントを持っていただけに、惜しかったですね。

編集S せり上がりが、肥満を乗せてちゃんと上がるかという。

新越谷 あの出番順でさえなかったら、むちゃくちゃウケたと思う。せり上がりでウケたら、もう外さないですからね。あの巨体であんだけ動ける人なんて見たことないはずだし、大阪弁と東京弁のコンビなのに全然違和感ないし。

編集S 確かに、珍しいですね。ボケが東京弁、ツッコミが関西弁。

新越谷 今年は敗者復活にひつじねいりがいたけど、ファイナリストだとゆにばーすくらいじゃないですかね。あとニューヨークか。

編集S 檜原のツッコミを省略せよという審査員の意見も。

新越谷 本人はもう1年これでやってみると言ってましたね。今年はやっぱり特殊な環境だったし、来年もう1回、勝ち上がってきてほしい。あと、これは個人的なことかもしれないんでアレなんですけど。

編集S なんですか?

新越谷 ちょっと嫌だなと思っちゃったんですよね。銭湯にあんなやついたら、マジで嫌だなと。あんまりウケには関係ないかな。

エバース

編集S それは関係なさそう。で、エバース。これもすごかった。

新越谷 次、エバース引いてほしいと思ってたんですよ。9番10番がトム・ブラウンからエバースだと、町田が変な感じになって死んじゃいそうな気がして。

編集S おもしろさが死ぬということですか?

新越谷 いや、生物学的な死。

編集S そんなわけなかろう。

新越谷 でも9番手がエバースでよかったと思う。大会的にも、みんなが知ってるけど怪しすぎるラスボスとしてトム・ブラウンが残ったのは、ストーリーありますよね。

編集S そのエバースはどうでした?

新越谷 あちこちで有望株有望株って言われて、プレッシャーあったと思うけど、ベストパフォーマンスじゃないですか。「さすがに末締めだろ」、あの間、よく待てたと思う。この日の町田、ガチでえぐいぞ。

編集S ネタもよかったですよね。

新越谷 優しい世界なんですよね。町田、あんななのに佐々木の幸せを本気で願ってる。エースの「謝れる人」もそうだけど、そういう人の好さみたいなところがウケるのって時代なのかなと思いました。敗者復活のカラタチに今後求められるのはそういうところかな、とか。

編集S おせっかいなくらいですもんね。

新越谷 おせっかいでもないと思いますよ。だって、佐々木は「行くかどうかわかんない」とか言いながら下見しに行ってるわけでしょ。その場所でわざわざ1階から3階まで店名まで調べて、どこで待とうか本気で悩んでる。そのくせ「行くかわかんない」って言ってる。かわいい。

編集S かわいいとな。

新越谷 エバースって、町田がケンタウロスにされたりルンバにされたり、わりと性格の悪い佐々木が町田を困らせる系のイメージが強くて、町田から佐々木にグイグイ行く構成は珍しいような気がするんですよね。これも単なる印象ですけど。でも、なんかこういう「いいやつなんかい」っていうニュアンスはトレンドになっていくかもしれないですね。

トム・ブラウン

編集S ラストはトレンド関係なさそうな2人です。

新越谷 待ってましたのトム・ブラウン。大好き。

編集S ウケてましたね。

新越谷 みちおが最初の2回くらい「あ、撃っちゃった!」って戸惑う顔をしてるんですよね。殺すつもりはなかったのに、という。そりゃ、場を白けさせないお酒の断り方なわけだから殺すつもりがあっちゃいけないんだけど、そのくせすぐ2発目を撃ってるし。何をやってるのか。

編集S ホントだ、戸惑ってる。

新越谷 こっから残虐大喜利になっていくわけですが、死体の首のうしろに扇風機の軸を差し込んで首振りさせるってアイディアもすごい。ルンバへの派生もすごい。

編集S 布川も「おまえが死ぬ必要はない」ばかりで、ひどいことされてるのに自分のことはあんまり言わない。

新越谷 シャンパン空けてパラパラ踊って楽しもうとしているのも意味がわからない。

編集S 最後はスタミナ切れてましたね。

新越谷 そう、ラストイヤーで大トリで出てきて、暴れるだけ暴れてスタミナ切れ。ちょっと、本当に泣きそうになっちゃった。おつかれさまと言いたい。

編集S そうですね。『THE SECOND』にも出ないみたいだし、芸人人生のクライマックスですもんね。

新越谷 しかと見届けた。

編集S 見届けました。もう6,000文字くらいありますし、最終決戦は明日にしましょうか。

新越谷 そうしましょう。

(文=新越谷ノリヲ)

新越谷ノリヲ

東武伊勢崎線新越谷駅周辺をこよなく愛する中年ライター。お笑い、ドラマ、ボクシングなど。現在は23区内在住。1977生。

n.shinkoshigaya@gmail.com

新越谷ノリヲ
最終更新:2024/12/26 18:00