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大河ドラマ『べらぼう』、初回視聴率は過去最低でも話題作り成功で新たな視聴者層の獲得なるか

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『べらぼう』の主人公・蔦重を演じる横浜流星(写真:Getty Imagesより)

 横浜流星が主演を務める2025年のNHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』が1月5日にスタート。初回の平均世帯視聴率は12.6%(ビデオリサーチ調べ/関東地区、以下同)で、前作の『光る君へ』の12.7%を0.1ポイント下回り、大河ドラマ史上過去最低となった。

 1700年代の江戸時代中期から後期にかけて、主に出版の分野で活躍した“蔦重”こと蔦屋重三郎の生涯を描く『べらぼう』。

 遊郭の街である吉原で生まれ育った蔦重は、吉原の地図や女郎のランキングなどを掲載した“風俗情報誌”を作った人物としても知られている。戦国時代や幕末など、戦争や権力闘争が激しい時期を描くことが多い大河ドラマにおいて、比較的平和だった江戸中期から後期を題材にするのは今作が初となる。

「昨今、性に関するコンテンツは炎上も招きかねないなか、大河で遊郭を舞台に、遊女の商売を描くのは、挑戦的であるとともにリスクも伴います。少なくとも幅広い層がすんなり受け入れられるテーマではないでしょうし、NHKとしてもその点は承知していたはず。初回視聴率の低さも想定内だったかもしれません」(テレビ局関係者)

 なお初回放送では、病死した遊女が身ぐるみ剥がされて捨てられているシーンがあった。全裸の女性が臀部をあらわにした状態で地べたにうつ伏せになっている姿は、昨今の地上波ドラマにおいては衝撃的なシーンとしてSNSを中心に話題となった。

「今作は性的なシーンの撮影に関して撮影側と俳優側の間で演出を調整するインティマシーコーディネーターが入っており、最大限の配慮のもとで撮影したとのこと。ただし、格式の低い店で働く女郎がぞんざいな扱いを受けていることを表現するのに、臀部をあらわにする必要があったのかは疑問です。そう考えると、インパクトありきの演出だったと見ることもできる。結果的にかなりの宣伝効果があったのでは」(同)

 視聴率は過去最低だったが、視聴したという人によるSNSの反応は好意的なものも多く、なかには“初回の話題っぷりを見て興味をもった”という声もある。保守的な視聴者層にハマるかどうかはさておき、新たな視聴者層を獲得できる可能性は大いにあると言えるだろう。

 そんな『べらぼう』を、ドラマ評論家でコラムニストの吉田潮氏はどう見たのか。

「昔ながらの大河好きには賛否が分かれるかもしれませんが、個人的には、正直“戦国武士モノ”に飽きていたので、今までにない“庶民”のテーマとして注目しているところです。

まず脚本家の森下佳子さんは、女性からの話題を集めた23年1月期にNHKドラマ10枠で放送された“男女逆転”のSF時代劇『大奥』を手がけ、今回そのスタッフチームも参加している。さらに森下さんは、『JIN‐仁‐』(TBS系)で吉原の遊郭に触れ、性感染症や妊娠についても取り上げたことがある人です。大河でどこまで踏み込めるかは未知数ですが、時代や政治、社会に翻弄される売春宿の女性の運命をどう描くかは気になります」

 主演は横浜流星だが、吉田氏は「実質的には“女性”のあり方を描く大河」だという。

「小芝風花の花魁には物足りなさも感じましたが、共演に高橋克実や山路和弘、渡辺謙、かたせ梨乃など、手練れの俳優もそろえていて、全体のバランスはとれていると感じます。展開によっては新しい視聴者を取り込み、回を追うごとに話題になるのでは」

 2025年、旋風を巻き起こしそうな大河ドラマの新機軸に注目したい。

(取材・文=サイゾーオンライン編集部)

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最終更新:2025/01/14 22:00