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『熱狂マニアさん!』BPO審議入りでTBSバラエティーが存続危機? 『ジョブチューン』『つぶれない店』の“グレーなステマ”もテコ入れ必至か

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TBS(写真:サイゾー)

 TBS系で2024年10月19日に放送された『熱狂マニアさん!』が、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会で審議対象となった。広告と誤認されるような表現が問題視されたという。

 ウエンツ瑛士と東京03の飯塚悟志がMCを務める『熱狂マニアさん!』は、ある物事に熱狂するマニアへの密着を通して、さまざまな情報を紹介する番組。BPOの審議入りとなった回では、家具・インテリア小売大手のニトリのマニアに密着し、ニトリで販売されている商品を多数紹介した。放送時間の多くで画面左上に「ニトリ」と表示されていた。

「番組内容がまるでニトリの宣伝であるかのように見えたということで、BPOの審議入りになったわけです。日本民間放送連盟の放送基準では、広告である場合は、しっかりと広告であることを明らかにする必要があります。通常のCMはその時点で広告であることが明らかなので問題はない。しかし、今回は広告と見紛うような内容だったにもかかわらず、広告だという表示はなく、それがいわゆる“ステルスマーケティング”に当たる疑いがあるということですね」(テレビ局関係者)

 TBSでは『熱狂マニアさん!』のように、特定の企業やサービスなどを特集して紹介する番組が少なくない。『ジョブチューン 〜アノ職業のヒミツぶっちゃけます!』では、主に飲食関連の企業を頻繁に特集。飲食チェーンやコンビニエンスストアの商品を有名シェフなどが採点する企画も人気だ。『坂上&指原のつぶれない店』でも、有名飲食チェーンやスーパーマーケットの経営の裏側などを特集している。

「TBSに限らず地上波のバラエティーでは、特定の企業のノウハウを紹介する番組が多いんですが、TBSは特にその傾向が強い。今回、『熱狂マニアさん!』のニトリ特集がステマ疑惑で審議入りとなったということで、『ジョブチューン』や『つぶれない店』の方向性にも大きく影響してくる可能性も高いでしょうね。もしも、企業特集そのものがステマとしてNGとなったならば、この3番組のメイン企画は総じて難しくなってしまう。下手をすれば、3番組とも存続の危機となりかねないと思います。

 ただ、同じ局で似たような番組がゴールデンタイムに3つも放送されているという事自体も、どうかと思いますけどね。今回のBPO審議入りをきっかけに、それぞれ少なからずテコ入れされるべきだと思いますよ」(同)

 そもそも、こういった企業特集は本当に“ステマ”なのだろうか。特集される企業から番組サイドに広告費が払われている事実はあるのだろうか。バラエティー番組の制作に関わったことがある制作会社スタッフはこう話す。

「実際に企業側が制作サイドに広告費を支払って番組を制作するという、明らかなステマは多くないと思いますよ。ただ、ゴールデンタイムのバラエティー番組で特集をすると売上が上がるのは事実で、企業側が宣伝を目的に番組に協力しているのは間違いない。そして企業側の積極的な協力があれば、番組制作費を削減できる。たとえば、商品を紹介する際に、番組側が実際に買った商品を撮影するのではなく、企業側から提供してもらうということもあるでしょう。飲食チェーンでの食事代なども企業側が負担してくれるかもしれない。企業側から紹介してほしいネタを出してもらえば、スタッフの取材の手間も軽減される。企業の協力によって、大小さまざまな形での制作費削減が可能なんです。制作サイドとしても、そういった企業側からの協力をより深いものにするべく、番組内容がよりポジティブなものになりやすいという側面もある。その結果として、真っ黒とまではいかないにしても、“グレーなステマ”が出来上がっているんですよね」

グレーなステマの是非

 一方で、完全なステマにならないような表現の工夫もある。元広告代理店社員でネットニュース編集者の中川淳一郎氏が解説する。

「テレビの制作スタッフは、『良いものだから取材依頼をしただけ』というスタンスだから、悪く報じる気はない。意地悪な気持ちも一切ありません。でも、だからこそステマ疑惑が出てしまいます。そりゃあ取材してくれた人をくさすようなことはしませんよ。しかし、ステマ疑惑を排除する工夫は必要。

 まずやるべきは、少なくとも競合2社の商品も入れ、そちらも比較検討する価値がある、といったイメージを与えること。あくまでも主役企業は『我々の判断の結果、ココが一番いい』という扱いにすべき。その際は、監修にあたり『家具ジャーナリスト』など複数の専門家の存在も重要です。

 完璧すぎる内容になると、ステマ疑惑をもたれます。基本路線は、トホホな状況の中、やぶれかぶれで一発挑戦したらなぜか当たった、というものです。これだとステマ疑惑は持たれません」

 もう一つ注意すべき点があるという。それは、取材された側の広報担当者によるSNS発言だ。

「以前、テレビに紹介された商品でいわゆる“キラキラ広報(若くて美人の広報)”がXで『IPO前から仕込んできました『ガイアの夜明け』が今晩放送です!スポットワークの可能性についてぜひご覧ください』と書いて炎上しました。『仕込んできました』という表現がステマ疑惑にあたったのですね。『仕込む』『ねじ込んだ』などの表現はしないよう広報にはキチンと伝えておきましょう」

 ゴールデンタイムのバラエティー番組で定着していた“グレーなステマ”が問題視された事実は、テレビ界全体にも影響を与えるだろう。今回のBPO審議入りを経て、バラエティー番組がどのように変わっていくのかにも注目だ。

(取材・文=サイゾーオンライン編集部)

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最終更新:2025/01/21 12:00