No No Girlsを成功させた「ちゃんみな」の凄腕、歌唱指導のプロが特に唸ったのは……
SKY-HI率いるBMSGとちゃんみながタッグを組んだ、ガールズグループオーディション「No No Girls」が、国内外から約7000もの応募を集め、2025年1月11日に最終審査イベント「No No Girls THE FINAL」を開催。このオーディションから、CHIKA(チカ)、NAOKO(ナオコ)、JISOO(ジス)、YURI(ユリ)、MOMOKA(モモカ)、KOHARU(コハル)、MAHINA(マヒナ)の7名によるガールズグループ「HANA(ハナ)」が誕生したことは大きな話題に。今後の活動にも注目が集まっている。
「ネクストブレイク確実」女優の素顔
数々のオーディションがある中でNo No Girlsに注目が集まったのは、プロデューサーちゃんみなの存在感あってこそ。ここでは、歌唱指導のプロである声楽家の「純子の部屋 – 純子さん」に、No No Girlsオーディションの優れた点、そしてプロデューサーであるちゃんみなの指導やその特性について聞いたーー。
ーー先日、純子さんがNo No Girlsのオーディション企画についてお話されていましたが、改めてその感想を伺いたいです。
純子 すごく面白かったです。私が推してたチカちゃんも無事メンバー入りを果たして。なかでも声楽家としてアイドルの子たちに指導をする立場としては、ちゃんみなさんの歌唱指導が特に印象的で、ずっと追って見ていました。
ーーたしかに、参加者たちもさることながら、プロデューサーとしてのちゃんみなの発言も大きなみどころでした。純子さんとしては具体的に、どこが印象に残ったのでしょうか?
純子 ひとつは、参加者に対する向き合い方ですね。まずは、ちゃんみなさんの「どんな人でも挑戦できる場を提供しよう」という熱意が伝わってきました。例えば、一般的なアイドルオーディションなら、参加資格は16歳から22歳まで……みたいに明確なターゲットを狙って募集をかけて、応募段階からふるいにかけるんですけど、No No Girlsの場合はちゃんみなさんが「自分で指導したい」という熱があり、年齢や国籍、外見といった条件を一切設けず、誰でも参加できるようにしていた点がすごいと思いました。
ーー「何回もオーディションで落とされた」経験もあるということから、参加者の多様性を重視していましたね。
純子 そしてちゃんみなさんが、一人ひとりの参加者に本当に丁寧に向き合っていたことも感じました。テレビで放送されていない部分でも、参加者全員へフィードバックをして、徹底的に指導されていたんじゃないかなというのが伺えました。例えば、チカちゃんは、最初はすごく自信がなさそうで。それが最終的には、見違えるほど堂々とした歌い方をしていました。
ーーそう言われるとたしかにオーディションの過程で、技術的な向上だけでなく、アーティストとしての存在感をつけていった感じですかね。ポテンシャルを探すのではなく、引き出して定着させるというか。
純子 そうなんですよ。ちゃんみなさんの指導は、単に技術を教えるだけではなく、参加者の心に寄り添うものでした。時には厳しい言葉も垣間見られましたが、それが逆に参加者との信頼感につながっていたんじゃないですかね。チカちゃんも、何度も挫けそうになりながらも、それを乗り越えて大きく成長していました。アーティストの信頼感は、私も指導するときに一番大事にしている部分です。そういうふるいにかけることはかけるけれど、残念ながら落ちた人にもちゃんと、フィードバックがあって、今後につながるようなオーディションだったと思います。
ーー日本では珍しいタイプのオーディションですよね。
純子 うん、やっぱり日本でよくあるオーディションだと、配信審査っていうのがあって。参加者が配信して、ファンにお金に繋がるギフトを募って、そのポイントが多い人が受かる……っていうところがまずスタートだったりして。それはそれでビジネスだとは思いますが、No No Girlsの場合は、そういう形でふるいにかけてはなかったですよね。
ーー本オーディションは、“サバイバル”要素よりも“育成プログラムを目指している”とSKY-HIもウェブサイトで語っていますし、純子さんがおっしゃるように、その方針がしっかり反映されていたということですね。
まさか7000人超全員にフィードバックしてたんじゃ!?
ーーところで、ちゃんみなの歌手としての特性については、どう評価してますか?
純子 彼女の魅力は、何といってもリズム感の良さだと思います。ラップのバックグラウンドを持つ彼女ならではの、ビートをしっかり感じ取る力が際立っています。トリリンガルなので言葉のリズム感もいいんでしょうね。それに加えて、表現力も、ただ歌うだけでなく、歌詞に込められた感情やメッセージをしっかり届けられる人だと思います。
ーーその特性が指導にも反映されていたのでしょうか?
純子 そうですね。彼女の指導からは、単なるテクニック以上に、「自分らしく表現すること」の大切さが伝わってきました。参加者たちもそれを受け取って、それぞれの個性を活かしたパフォーマンスを見せていましたよね。
ーー総じて、さまざまなオーディション番組がある中で、このオーディションはなぜ、これほど人気を獲得したんでしょうか?
純子 答えになってるかわからないですが、オーディションを見ていて、特にすごいと思ったのは、ちゃんみなさんが自分よりうまいと感じたら、それを素直に認めてしまえるところだと思います。たとえば若い子に対しても、はっきり「私よりうまい」と言えるんです。普通なら「今の私を超えてはいないけどね」とか、余計な条件をつけがちですが、ちゃんみなさんは全くそんなことをしませんでした。思ったことをそのまま伝えるーーその時の自分で、審査してフィードバックを投げかけているところがいいなあ、と見ていて思いました。
ーー純子さんも、数多くのアーティストのオーディションに参加していますが、ご自身の指導とも通じる部分があったのでしょうか。
純子 私も、オーディションの中で指導したり、時には審査したりする中で、結局「自分自身」と向き合ってフィードバックをしているんです。たとえば、30人の参加者がいた場合、その一人ひとりの歌を聴くときに、「もし自分だったらどうだろう」と考えるんです。「ここをこうしたら良かったな」とか、「自分の時はこうしてみよう」といったように、その子を通じて自分自身を見つめ直すような感覚、です。
そんな中で、参加者が自分の想像を超える瞬間があるとめちゃくちゃ感動するんです。「めちゃくちゃ上手くなっている」「こんなことまでできるようになっている」と気づかされると、自分が期待していた以上の結果を見せてくれる。その瞬間、思わず泣いてしまうこともあります(笑)。
そうしたことが、No No Girlsの場合、「もしかしたら本当に7000人もの応募者を、丁寧に一人ひとり見ていたのかも」と思わせる熱量だったんですよね。それが視聴者にも伝わって、単なる結果以上に、誰が残るかを超えた意義を持つオーディションになったのではないでしょうか。
(文/大沢野八千代)
■協力=純子の部屋 – 純子
大阪音楽大学音楽学部声楽科卒。学生より学外コンクールへ精力的に参加しKOBE国際学生音楽コンクール初入賞。その後中国音楽コンクール銀賞、サンテレビ賞、中国国際音楽コンクール国際部門1位(杭州にて)他多数。安藝榮子、R・ハニーサッカー、中川牧三に師事。主に宗教声楽・現代音楽・オペラからアニメ・ゲーム音楽まで取り扱うジャンルは多彩で、個性的な見た目とは相反する実直で技巧的、的確な表現方式を得意とする。演奏活動に加え多種多様な後進の歌唱指導にも力を入れ、アーティスト、タレント、俳優、アイドル、YouTuber、ティックトッカー、ミュージカル俳優等の育成輩出、プロモーションに携わる(ファーストサマーウイカ、おじゃす、矯正ちゃん、Kolokol、Quubi、サクヤコノハナ、AVAM(旧MiKiOdA IDOL PROJECT)など)。大阪を拠点とし、出張にて全国各地に赴き声楽をベースとした様々なジャンルの歌唱指導へ柔軟に対応しながら個性を伸ばすレッスンを展開している。
Twitter: https://twitter.com/matinee_poetic
平手友梨奈、音楽路線低迷の先