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道重さゆみも…なぜハロプロ系アイドルは「すっぱり引退」するのか

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道重さゆみ(写真:Getty Imagesより)

 元モーニング娘。で歌手の道重さゆみが、今夏開催予定のコンサートツアーをもって芸能界を引退すると発表した。ネット上では驚きの声が広がっているが、ハロー!プロジェクト系のアイドルは若くして潔く引退するケースが珍しくない。引退発表の反響やハロプロ系アイドルの「早い引退」の理由について、アイドル事情に詳しい芸能記者が解説する。

 道重は19日、自身の公式ブログで「ご報告です。私、道重さゆみは、今年の夏に開催予定のコンサートツアーをもって活動の全てを終了いたします。突然のご報告に驚かせてしまっているかと思います。ごめんなさい」と発表。

 ライブについて「ピンク一面の光景を見る事が、何よりも私の幸せな時間」とした一方、道重は2023年末に「強迫性障害」と診断されており、「安心したいと思っての行動が、結果、また不安に繋がってしまう事も分かっているのに、どうしても止まらず、敢えて自分から不安を探してしまっているような感覚にもなって、苦しい時間が続いています」と吐露した。

 さらに「そんな中で活動を続けていくのは、難しい、限界だな、と感じるようになり、会社にもその都度、相談させていただいていました」と説明し、病気が引退の大きな要因になったことを示唆している。

道重引退にファンは驚き少ない?

 病気の影響があったとはいえ、道重は現在35歳でファンからの支持やタレント性もまだまだ陰りが見えていない。突然の引退発表は衝撃的に思えるが、アイドル事情に詳しい芸能記者は「意外ではなかった」としてこう解説する。

「モーニング娘。時代は、自分が誰よりもかわいいと信じて疑わないナルシストキャラとして、アイドルファンのみならず、一般視聴者からも高い人気を誇った道重だが、非常にストイックで、グループ愛が強かったのはハロヲタ(ハロプロファン)なら誰もが知るところ。また、ふだんは繊細で内気な性格で、パブリックイメージとのギャップがあるのも有名な話です。グループ時代はナルシストなキャラクターを貫いていましたが、ソロになると肩の荷が下りたのか、素の自分や“弱さ”を見せるようになりました。

 ソロ転向後は無理をせず、ほぼ従来のファンに向けての活動を続け、かねてから病気のことも公表していたため、ファンからすると『ついにこの日が来たか』という印象の卒業発表でした。寂しさこそあれ、それほど意外ではなかった。引退理由が結婚などではなく、現役アイドルのまま表舞台から姿を消すところも、30歳の誕生日である2019年7月13日に開催したバースデーライブで『一生、かわいいの現役でいたい』と宣言した道重らしい幕引きです」

なぜハロプロアイドルは潔く引退するのか

 病気のことはあれども、ある意味で「やり切った」という思いがあったようにも見受けられる。

 道重に限らず、ハロプロ系アイドルでは人気絶頂期に25歳で引退した元Berryz工房の嗣永桃子をはじめ、元モー娘。の亀井絵里、鈴木香音、加賀楓、元アンジュルムの川村文乃、元Berryz工房の徳永千奈美など、若くして引退するケースが多い。

 なぜハロプロ系アイドルはすっぱりと芸能界から去っていくのか。その理由について、前出の記者はこう説明する。

「モーニング娘。ブレイク後にハロー!プロジェクトに入った子たちは、芸能人という存在ではなく、大半がモーニング娘。やハロプロそのものに憧れてオーディションを受けていた。そのためハロプロに入り、どこかのグループに所属、もしくは新グループを結成してメジャーデビューした時点で、大きな夢は叶っている。

 またハロプロは意識的にライブやイベント、メディアなどで他事務所のアイドルと絡むことがほとんどなく、いわば鎖国状態。アイドル戦国時代といわれた2010年代前半に多少は緩和されたが、今もその基本姿勢は変わらない。そうした一種の無菌状態もあって、外の世界に憧れを抱くことが少なく、彼女たちの多くは『ハロプロアイドルをまっとうする』ことが最終目標となっています。

 さらに彼女たちが所属するアップフロントグループは、早ければ小学生から女の子たちを預かり、アイドルとしてはもちろん、一人ひとりに寄り添って人間的にも成長を促す教育を施し、ハロプロ卒業後のセカンドキャリアのケアもしっかりしている。芸能活動を継続したい者をサポートするだけでなく、引退したい者を無理に引き留めず、新たな道へ進むことも支援しているのです。そうしたサポート体制の充実ぶりもあり、次世代を担う後輩たちにバトンを渡したところで、若くして潔く引退する子が多いのでしょう」

佐藤勇馬

1978年生まれ。新潟県出身。SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。著書に『ケータイ廃人』『新潟あるある』がある。

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最終更新:2025/01/24 20:00