ダイアン津田「名探偵津田」の大ヒットで勢い止まらず…俳優として大化けの可能性も
ダイアンの津田篤宏の勢いが止まらない。津田をメインにしたTBS系『水曜日のダウンタウン』の人気シリーズ「名探偵津田」が爆発的なヒットになり、そのリアクションの面白さから俳優業での活躍を期待する声が増加。実際に新ウェブCMで披露した演技が「うますぎる」と話題になっており、俳優として大化けする可能性も浮上している。
「名探偵津田」は、『水曜日のダウンタウン』のドッキリ企画「犯人を見つけるまでミステリードラマの世界から抜け出せないドッキリ、めちゃしんどい説」から誕生。津田がロケの最中にミステリードラマさながらの“事件”に巻き込まれ、周囲の仕掛け人たちの誘導によって謎解きに立ち上がらざるを得なくなるという内容だ。なにも知らないのは津田だけで、それ以外は基本的に全員が仕掛け人という構成になっている。
昨年12月11日に放送されたシリーズ第3弾「名探偵津田 第3話 怪盗 vs 名探偵~狙われた白鳥の歌~」は、 TVerでの再生回数が429万回(ビデオリサーチにて算出)を突破。配信開始から8日間の再生数として、TVerで配信された全バラエティ番組の中で歴代最高記録となった。
「名探偵津田」ヒットの理由
「名探偵津田」が視聴者に大ウケしている理由について、お笑い事情に詳しい芸能ライターの田辺ユウキ氏はこう解説する。
「『名探偵津田』は、演出家をはじめとした関係者たちによる世界観と設定の作り込みがすごすぎます。きっと入念なシミュレーションとリハーサルが行われているはずで、舞台演劇のようにかなり作り込んでいることが分かります。またシチュエーションも、第1話でペンションの中という密室を舞台にしたのが良かった。最初は限られた空間に舞台を設定することで、このシリーズを進行する上でのノウハウがつかめたのではないでしょうか。そして第2話では村、第3話では収録スタジオからホテルへ……という風に規模感を広げることができたのだと思います。
そうやって舞台をしっかり作り込むことで、主人公の津田さんがたとえ想定外の動きをしたとしても、『名探偵津田』の世界に押し込むことができる。出演者の演技、設定に少しでも抜かりやほころびがあれば一気に破綻する内容ですので、この面白さはやはり徹底したシミュレーションとリハーサルからくるものだと思います」
「主人公」である津田の魅力も本企画がヒットした大きな要素だ。
「津田さんに関しては、そういう世界観を押し付けられた側としてリアクションの良さがこの企画がウケた理由の一つになっているのではないでしょうか。津田さんの面白さはこの企画に限らず、なにかをやらされるとすぐイライラしちゃうところ。『なんでこんなことをやらされなアカンねん!』というイライラからくる本音が、徹底的に作り込まれた世界観のなかでは実に虚しく響き、またこのシチュエーションでは誰にも届かないところが余計に笑えます。
そしてなにより、ヒントをつかんだときの無邪気な喜び方。映画、ドラマ、アニメ、ゲームの『名探偵モノ』の主人公は難題をクールに解決へ導いていきますが、生身の人間がやるとそうではないという臨場感が伝わってくる部分も、好感が持てる理由です」
津田人気の背景に「大阪時代」の経験
同シリーズの大ヒットをきっかけとして、津田の人気と勢いは加速している。その背景には、大阪時代にしっかり実力を磨いていたという過去があるようだ。前出の田辺氏はこう続ける。
「2010年代、大阪を拠点とする芸人たちにとって理想的な東京進出の形は、千鳥であり、そしてダイアンでした。2019年に大阪時代の見取り図をインタビューした際、盛山(晋太郎)さん、リリーさんは二組の名前を挙げて『(彼らのように)誰もが認める地位を大阪でつかんでから、東京へ行きたい』『正統派な東京進出の仕方』とおっしゃっていました。
千鳥、ダイアンは、2000年代に『M-1グランプリ』のファイナリストになってはいましたが、しかし芸人として腕が上がったのは、大阪の情報番組でのロケ芸人としての経験からです。ここで認知度も実力もしっかり付け、満を持して東京へ進出しました。津田さんが『名探偵津田』のような難しい企画を乗りこなすことができたのも、大阪時代に強靭な地肩をつけていたからに他なりません」
津田が「俳優として化ける」可能性
「名探偵津田」でのリアクションの豊かさや面白さから、俳優業への本格進出を期待する声も高まっている。先日、津田が出演する三井住友銀行のスマホ口座「Olive」のドラマ仕立ての新ウェブCMが公開されたが、これがネット上で「名演技すぎる」と話題に。かまいたちの山内健司もSNSで「ちょっとまって。津田さん死ぬほど演技上手い」と絶賛した。
津田は過去にも、2018年度後期のNHK朝の連続テレビ小説『まんぷく』に出演するなどしているが、俳優業への本格進出もできそうな勢いだ。津田の俳優としての「可能性」について、田辺氏はこう指摘する。
「津田さんはテレビドラマ、映画にも何度か出演していますが、演技となるとやや力みが見えてしまいます。本職の俳優ではないのでぎこちなさがあるのは当然ですが、まだ津田さんの本来の良さを生かしきったドラマ、映画は見当たりません。CMはかなり細かく編集でつないだり、エフェクトをつけたりするのでうまく演出できますし、津田さんのキャラクター性を押し出せれば成立できます。しかしドラマ、映画となるとそうはいきません。
とはいっても、『名探偵津田』が役者としての津田さんの可能性やヒントを与えたものであることに違いはなく、津田さんを上手に動かすことができる演出家が現れれば、俳優として化けるのではないでしょうか」
芸人としての活躍はもちろん、津田が俳優として大化けする可能性は十分にありそうだ。
(文=佐藤勇馬)
協力=田辺ユウキ
大阪を拠点に芸能ライターとして活動。映画、アイドル、テレビ、お笑いなど地上から地下まで幅広く考察。