ももいろクローバーZの現在地 地方自治体とコラボで大成功、高齢化してもなお応援を続けるモノノフたち…変わらぬ人気の理由
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今年4月12・13日に新潟県新発田市で『ももクロ春の一大事2025 in 新発田市 ~新発田 新発見!?~』を開催するももいろクローバーZ。開催地である新潟県新発田市は、このイベントに向けて大きく盛り上がっているという。
2017年から地方自治体とのコラボイベントとなった『ももクロ春の一大事』。会場の設営を地元業者に依頼したり、地元企業による物販や飲食店出店をしたりするほか、メンバーたちが積極的に開催する自治体のPRをするなど、地方創生を目的としたイベントだ。地方自治体の知名度向上や誘客を推し進めるイベントであるとともに、地元市民へのチケット優待などもある。この取り組みが評価され、2020年の「第12回観光庁長官表彰」では、ももクロに特別感謝状が贈られた。
ももクロのように、エンターテインメントの分野で地方自治体とコラボするケースは増えているという。エンタメウォッチャーの大塚ナギサ氏はこう話す。
「代表的なところでは、吉本興業所属の芸人が全国の地方に拠点をおいて活動する“住みます芸人”。芸人たちが地方のメディアでローカルタレント的な役割を果たすだけでなく、地方自治体と連携した仕事もたくさんあります。アイドル界でいうと、ハロー!プロジェクトは岡山県備前市や石川県加賀市で、地域活性を目的としたコンサートを実施し、そのチケットはふるさと納税の返礼品にもなっています。
地方自治体との協働は、アーティストやタレントにとって地元市民という新たなファン層の開拓になりますし、自治体を超えて官公庁などとの仕事にもつながっていくというメリットもある。また、普通のコンサートツアーを行っただけではなかなかニュースで取り上げてもらえなくても、自治体とコラボという特殊な形であれば、さまざまなメディアに取り上げられる機会も増えます。社会的に意義ある取り組みですし、アーティストやタレントサイドにもメリットがあるんです」
ももクロはTOKYO MXで『ももクロインフラーZ』(偶数月第1日曜日)という、道路や新幹線、港などのインフラの重要性を掘り下げる番組も出演しており、社会的な問題に取り組むアイドルグループとなりつつある。
そんなももクロの活動を支えるのは、モノノフと呼ばれるたくさんのファンたちだ。モノノフについて、アイドル雑誌ライターはこう話す。
「現在のモノノフは、2010年代のブレイク時から比較的長く応援している中高年以上のファンが多い。2015年くらいまでに比べるとメディア露出はかなり減っていますが、それでも年に数回のアリーナクラスのコンサートを成功させられるくらいの人気は保ち続けています。イメージとしては、ももクロとの関係性が深く、もう何十年もアリーナクラスのコンサートを続けているTHE ALFEEのファンに近いかもしれません。年齢層の高いファンは、自由に使えるお金もあるので、地方のイベントにも足を運ぶことができる。ももクロが自治体とのコラボを毎年続けられるのは、そういった優良なファンが多いという背景事情もありそうです」
盛者必衰のエンタメ業界で、何年も第一線で活躍し続けるのは簡単なことではない。ももクロがブレイクから10年以上経ってもなお人気が続いている理由は何か。
「メンバーの卒業はありましたが、新メンバーの追加はない。グループの体制がそこまで大きく変わっていないというのは大きいと思います」(大塚氏)
結成当初はメンバーの脱退と加入もあったももクロだが、2011年に早見あかりが脱退してからは長く5人体制で活動。さらに、2018年に有安杏果が卒業したあとは4人体制で活動している。
「新メンバーが加入すると新しいファンを獲得できる可能性が広がりますが、グループの雰囲気も大きく変わるので、既存のファンが去っていく可能性もあるのが実情です。ももクロの場合、5人時代にグループのカラーが完全に固まっており、そのカラーを支持するファンが多かったのですが、4人体制になっても新メンバーを加えることなく同じカラーを貫いています。4人体制になって不安を抱えたファンもいたでしょうが、それでも変わらなかったことが、既存のファンからの支持をより強めることとなったのは確かでしょう」(大塚氏)
グループがキャリアを進めるとともに、メンバーが大人になり、ファンも同じだけ年齢を重ねていく。社会的問題に関するテーマが増えているのも自然な流れともいえそうだ。
(取材・文=サイゾーオンライン編集部)