『ラブジェネ』の松たか子を彷彿! 映画『ファーストキス』を感動作にしたCGの完成度

女優・松たか子が主演を務める『ファーストキス 1ST KISS』が2月7日から2月9日までの全国映画動員ランキング(興行通信社調べ)で初登場1位に輝いた。
同映画は、事故で夫を亡くした主人公(松)が、ひょんなことから夫(松村北斗)と出会った15年前にタイムトラベルし、彼の身に起こる不幸な未来を変えようと奮闘するラブストーリー。
メガホンをとった塚原あゆ子監督は昨年公開された『ラストマイル』や『映画 グランメゾン・パリ』が大ヒットしており本作でも期待が高まっていたが、映画サイトのレビュー欄では公開直後から「涙が止まりません」「最高の作品だった」「何度も観たい」といった絶賛コメントがズラリと並んでいる。
松にとっては新たな代表作にもなりそうな勢いだが、芸能ジャーナリストの平田昇二氏はこう語る。
「歌舞伎俳優の松本白鸚さんを父に持ち、女優、歌手として活躍する松さんは1993年に歌舞伎の『人情噺文七元結』で初舞台を踏み、翌94年にNHK大河ドラマ『花の乱』でテレビドラマに初出演すると、木村拓哉さんと共演した97年放送の『ラブジェネレーション』(フジテレビ系)や01年放送の『HERO』(同局系) 、5年ぶりに連ドラ主演を務めた17年放送の『カルテット』(TBS系)など数多くのドラマを成功に導いています。他方、映画でも09年公開の『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜』や翌10年公開の『告白』、12年公開の『夢売るふたり』、20年公開の『ラストレター』などのヒット作で知られていますが、今作の『ファーストキス 1ST KISS』も公開10日間で観客動員数は50万人を突破、興行収入も7.7億円を超えており、映画女優としても存在感を放っています」
そんな松主演の話題作『ファーストキス 1ST KISS』を傑作へと押し上げた要因の一つとなっているのが、「CG技術の完成度」という。
映画ライターは明かす。
「実年齢が29歳の松村が40代を演じる“老けメイク”も見事でしたが、特筆すべきは松の若返り処理です。劇中では45歳という設定でしたが、過去に戻ったシーンではアラサーな見た目が完璧に再現されており、ネット上でも『昔のドラマで見た松たか子がいたのがすごかった』『まさにラブジェネレーションの理子じゃん!』といった驚きの声が飛び交っています」
この“若返り技術”の詳細が明かされたのは、2月8日放送の『ズームイン‼サタデー』(日本テレビ系)でのこと。
「松村の老けメイクは特殊メイクが施されたそうですが、松の若返りはCGによるものでした。VFX技術による『ディエイジング(若返りCG)』は単なる画像処理ではなく、俳優の表情や質感を損なわずに若返らせるための高度な技術が求められます。膨大なショットごとに細かな修正が加えられ、気の遠くなるような作業を経て完成に至る。エンドロールを見る限り、この技術を担当したのはTREE Digital Studioであると思われますが、映画の出来栄えを大きく左右する要素であり、高い技術力が求められる領域だけに、影のMVPと言ってもいいかもしれません」(映画関係者)
「ディエイジング」といえば、近年ハリウッドでも進化を遂げている技術のひとつだ。
「06年公開の『X-MEN:ファイナル ディシジョン』でプロフェッサーXとマグニートーを25歳ほど、08年公開の『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』で主演のブラッド・ピットを20歳ほど若返らせる処理が施されていたのが有名です。従来の特殊メイクでは再現が難しい“自然な若返り”を可能にするこの技術は、日本映画においても徐々に浸透しつつあり、さらなる驚きを提供してくれそうです」(前出・映画ライター)
『ファーストキス』は松や松村をはじめとするキャスト陣の見事な演技にVFX技術が加わったことで、単なるラブストーリーを超えた感動作へと昇華されたようだ。
(取材・文=サイゾーオンライン編集部)