シュワちゃん長男はさわやかなイケメン系 人気ドラマ出演で注目度アップ

米国のテレビを見ていると、このところ細面のさわやかなイケメンが度々、登場する。朝のニュースショーでも夜のトーク番組でも、好青年の明るい表情が視聴者をひきつけている。イケメンの名はパトリック・シュワルツェネッガー。アクション俳優、アーノルド・シュワルツェネッガーの長男だ。筋骨隆々の父とは全く違うやせ型であるところが、逆に視聴者の関心を引く。ドラマの新シリーズの放送開始に合わせたプロモーションがパトリックのメディアでの露出度を格段に高めているが、米国のエンターテイメント界がパトリックを新しいスターに育てようとしているのは間違いない。パトリックの母は米国の第35代大統領、ジョン・F・ケネディの姪である。ハリウッドと政界の2つの「名家」を持ち合わせた「プリンス」だ。
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母親はケネディ元大統領の姪 育ちの良さからくる素直さが魅力
パトリックは1993年9月18日生まれの31歳。モデルで俳優だ。父親は世界的な大スター、アーノルド・シュワルツェネッガー。77歳になる元カリフォルニア州知事は、映画界の重鎮だ。
母親は米国のマリア・シュライバー。69歳のジャーナリスト、作家、社会活動家で、米国の名門一族、ケネディ家の一員である。ジョン・F・ケネディ元大統領の妹、ユーニス・ケネディの二女で、マリアからすれば元大統領は叔父にあたる。
パトリックは広い意味でケネディ家の一員で、芸能界、社交界、政界、実業界とつながった、誰もが憧れる、恵まれた家庭で育った。嫌みのない素直な表情は、家柄からきているだろうと、多くの視聴者は感じている。
パトリックがこのところ注目を集めているのは、HBOの人気ドラマ『The White Lotus(ホワイト・ロータス)』のシーズン3に出演しているからだ。
『The White Lotus』は、高級リゾートホテルで繰り広げられる客やスタッフの奇抜な愛憎劇を、ブラック・ユーモアを交えて描いたドラマで、2021年7月にスタートした。シーズン3はタイの高級リゾートホテルが舞台で2月16日にスタート、毎週日曜日に放送されている。
シーズン2が終了してから2年以上たっての待望の新作だけに、ニューヨークでは市営バスの車体に番組の宣伝ポスターが貼られるなど、話題作ぶりが際立つ。
生意気な金融マンを演じる スリムな肉体美を披露
パトリックは、このリゾートホテルに宿泊している米南部ノースカロライナ州の裕福な家族の長男役で出演している。長男は生意気で嫌みな金融マンだ。共に来ている弟、妹との近親相姦のような行為がドラマを通じて描かれている。
パトリック自身、演じる長男を「ペニスで率いるような卑劣で嫌なヤツ」だと表現している。それだけに演技力が求められる役柄である。
主役がストーリーを進展させるような演出ではなく、さまざまな登場人物の異常な行動を見せて進行していくスタイルなので、1話あたりのパトリックの登場時間がことさらに長いわけではないが、パトリックの役はシーズン3の要である。
身長185センチの細身で、父親のように筋骨隆々の体型ではないが、鍛えられた肉体はシャープで、ドラマの中でも度々、裸を披露している。
タイでのロケは7カ月にわたって行われた。父親と同じようにジムでウェイトトレーニングを欠かさないが、タイでのロケ中にトレーニングに励み過ぎて、筋肉が増えてしまい、マイク・ホワイト監督からトレーニングを止めるように注意された。ストーリーを通じて体型が変わってしまえば、シーズン3として演出上、おかしなことになってしまうからだ。
ドラマのプロモーションでニューヨークを訪れたパトリックは、ニューヨーク・タイムズのインタビューも受けた。
ニューヨーク・タイムズのテレビ・映画担当のアレクシス・ソロスキー記者はパトリックを「目が大きく離れ、色髪の毛がはちみつ色。折り目の細かい雰囲気」はスポーツマンやイケメンのさわやかなイメージを漂わせていると分析している。
マイク・ホワイト監督は「トム・クルーズのような資質がある。陽気だがその奥には怒りがある」とパトリックを評している。
「親の七光り」批判も噴出 インタビューにバッシングも
パトリックはカリフォルニア州サンタモニカで生まれで、ロサンゼルスで育った。10歳でコメディ映画『The Benchwarmers』(2006年)に端役で出演したことがあるが、子役での芸能活動は目立ったものはない。
演技は父親や民間の演技学校で学び、2012年に入学した南カリフォルニア大学では、父親の勧めでビジネスを専攻した。それでも演技や映画芸術については副専攻という形で学んでいたという。
大学時代から映画やテレビドラマに脇役で出演するようになり、俳優としての経験を積んできた。『The White Lotus』はパトリックにとってこれまでで、「最大の役」である。
HBO側もパトリックをドラマキャンペーンの中心に据えた。キャンペーンは米国メディアにとどまらず、海外の有力メディア向けにも行われ、HBOがいかに力を入れているかがうかがえる。
こうなると、世の中からは「親の七光り」批判がパトリックに向けられる。
パトリックは英国の保守系新聞、サンデー・タイムズのインタビューに「今回、役を得たのは父親のおかげだという人がいることはわかっている。彼らは私が10年間、演技のクラスに通い、毎週、劇を演じ、何時間もかけ自分の役柄に取り組み、何百回もオーディションに落ちたことを見ていない」と答えた。
このインタビューはさらに多くの「七光り」批判を生み、米国のソーシャルメディアでは「パトリックたたき」が起きている。
この批判を収められるかどうかは、すべてパトリックの演技にかかっている。
(文=言問通)
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