チョコプラ&さらば青春の光がYouTubeで強いワケ 識者が人気の理由を徹底解説

毎年恒例となるオリコンの「第7回好きなYouTuberランキング」が先日発表された。「専業YouTuber」や女優系のチャンネルの人気に陰りが見えた一方、芸人らによるお笑い系チャンネルの支持の高さが目立った。その中でも大きく躍進したのが、さらば青春の光とチョコレートプラネットの2組だ。なぜこの2組はYouTubeで強いのか、お笑い事情に詳しい芸能ライターの田辺ユウキ氏が解説する。
今回のランキングでは、二宮和也、中丸雄一、山田涼介、菊池風磨による「よにのちゃんねる」が3年連続となる1位に。2位は上位常連の江頭2:50となった。
毎年安定した強さを発揮しているこの2組に次ぐ3位となったのがチョコレートプラネットだ。昨年は5位だったが、今年は4位の料理研究家・リュウジ(昨年4位)、5位のヒカキン(昨年3位)を追い抜く大躍進となった。
6位には、さらば青春の光が初ランクイン。7位に入ったテレビプロデューサー・佐久間宣行氏のチャンネルも含め、お笑い系コンテンツの支持が高まっている状況が浮き彫りになっている。過去の同ランキングでは、白石麻衣、本田翼、川口春奈ら女優系のチャンネルが強く、東海オンエアら専業YouTuberもランクインしていたが、今年はお笑い系の強さが際立つ結果となった。
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チョコプラが幅広く支持される理由
お笑い系の中でも大きく躍進したのは、先述したチョコレートプラネットとさらば青春の光。チョコレートプラネットのチャンネルは、テレビ番組にも輸入された「悪い顔選手権」などの人気企画でおなじみ。ただ最近はコンスタントに再生数を稼いでいるものの、100万回再生を超えるような爆発的ヒットの動画はあまりない。それでもランキング3位に入ったということは、しっかりと固定ファンをつかんでいることがうかがえる。
年代別の投票結果を見ても、チョコレートプラネットは10代、30代、40代、50代でベスト5入りしており、幅広い世代にウケてるようだ。その強さの要因について、芸能ライターの田辺ユウキ氏はこう解説する。
「まず言えるのは、『悪い顔選手権』もそうなのですが、チョコプラのYouTubeチャンネルの企画はいずれもシリーズとして定着しやすい。爆発的な再生数はあまりないかもしれませんが、一方で、安定して高い水準を誇れるところが強みです。もう一つの強みは、SNS上にいかにも実在していそうなインフルエンサーなどになりきるパロディネタが特に人気を集めている点。一部の世代にウケているインフルエンサーだけパロディにするのではなく、若者向けのインフルエンサーから、年齢が高めの層にウケているインフルエンサーまで、幅広くネタに取り入れているのがチョコプラの特徴です。
スタートアップ系の起業家のキャラクターが登場するコント『財津チャンネル』シリーズは目の付けどころが本当に良いと思います。あの感じの起業家の動画って、YouTubeやTikTokを見ていたら、どの世代の方も本当によく見かけるのではないでしょうか。で、視聴者はみんなこう思うはずです。『こういう人ってどうして本質がつかみづらい横文字ばかり口にするんだろう』『何について論破したり、共感し合ったりしているんだろう』と。チョコプラはそういう『いかにも』なノリやワードを再現するのが上手。どの世代も何となくそういった動画を見たことがあるから、心に響きやすくなります。しかも、そういう人物たちの振る舞いを研究し尽くしているのではなく、あえて表面をなぞるだけにしていることで、余計にリアル感が増しています」
彼らは動画配信やSNSが身近になった時代ならではの笑いを生み出し、それを鉄板のコンテンツに昇華したようだ。田辺氏は続ける。
「チョコプラは、TikTok、YouTubeなどの一過性の流行、日ごろからなぜかよく流れてくる動画、ちょっと話題のインフルエンサーなどを幅広く、きっちり逃さずネタ化します。その許容量とスピード感は驚くばかり。私はTikTokで、カクテルやハイボールなどを作る過程を、包丁で氷を切るところから見せるバーテンダーの動画をよく見るのですが、そういうものも長田(庄平)さんがパロディ化してショート動画で見せたりしています。あと、木製プレートを使って調理をする料理系インフルエンサーのリアクションを再現したり。全部、いい感じでそれぞれの特徴を浅いところでネタにしている。いまやYouTubeは全世代が見ていますし、TikTokもそう。そういうコンテンツを利用して、いつも見ているものを、嫌味や悪意を感じさせることなく笑いにしてくれる。それが、チョコプラがいろんな世代に受け入れられ、支持が持続している理由ではないでしょうか」
さらばはスピード感とギリギリ感で勝負
さらば青春の光は、年代別の投票結果では20代で2位、30代で4位に入ったが、その他の年代ではベスト5から外れている。特定の年齢層に深く刺さる傾向が強いと感じられ、オンラインカジノ問題を即座にネタにするなど、話題の移り変わりが早いネット文化への適応力の高さも支持につながっているようだ。さらば青春の光のチャンネルの魅力について、田辺氏はこのように分析する。
「さらば青春の光は、トレンドから不祥事モノまで話題になっている事柄をとにかく素早く動画に仕上げる。視聴者も『さらばはきっと何かやってくれるはず』と、そのスピード感に期待しているのではないでしょうか。しかも個人事務所なので、そこまで何かに忖度する必要がない。ほかの芸人のチャンネルよりも踏み込んだことができるので、欠かさず見てしまうのではないでしょうか。時事ネタ系だと、1月25日投稿の『フジテレビについて』はサムネから内容まで本当に計算され尽くしたものだと思いますし、そのおもしろさは再生回数(3月末時点で約208万回再生)にもちゃんと表れていますよね」
話題になっていることへの彼ららしい攻めたイジり方やネット時代に合ったスピード感が大きな強みのようだ、さらに田辺氏は言う。
「テレビなどでは見ることができないギリギリの企画をやってくれるところも、やはり視聴者を引きつける理由の一つ。2022年11月12日投稿『BREAKING GOWN 第一回オーディション開催!!最もチ◯コがでかいのは誰だ!!』は、当時熱狂が最高潮にあった格闘技イベント『BreakingDown』のフォーマットと下ネタを組み合わせた神企画でした。こういう、さらばのチャンネルでしか見ることができない、いろんな好奇心をミックスさせた企画の多さもウケている理由かと思います。
あと、人気のインフルエンサーやタレントで『さらばのチャンネルが好き』という方が多かったり、インフルエンサーやショップとのコラボをたくさんしたりすることで、若者への訴求力を高めていった印象もあります。YouTube、ライブ、飲食店経営、メディア出演など各方面の活動をうまく結びつけながら、グッズ展開などへ落とし込んだりするところも、ファンの気持ちをつかんで離さない要因になっているのではないでしょうか」
(文=佐藤勇馬)
協力=田辺ユウキ
大阪を拠点に芸能ライターとして活動。映画、アイドル、テレビ、お笑いなど地上から地下まで幅広く考察。