Koki,、2作連続で主演映画が…プロデューサー工藤静香の誤算はどこにあった?

3月20日に公開されたKoki,主演の映画『女神降臨 Before 高校デビュー編』が、まさかの苦戦を強いられている。
世界で累計64億回も閲覧された大人気WEB漫画の実写化、全国311館での大規模公開、そして“キムタクと工藤静香の娘”という大物2世の注目の主演作──。
豊富な話題性をもって封切られた同映画だったが、公開初週の観客動員は約6万人、興行収入は8000万円で、「観客動員ランキング」(興行通信社)では9位と厳しい数字となった。
さらに、3月31日付の同ランキングでは2週目にして圏外に沈んでいる。
「大型連休でもない3月公開とはいえ、事前のプロモーションの量や期待値を考えればお世辞にも成功とは言えないでしょう。Koki,本人もバラエティー番組への出演などで積極的に作品をPRしていただけに、数字が伴わなかったのは本人以上に“プロデュース側”の問題ではないでしょうか」(スポーツ紙の芸能担当記者)
Koki,はデビュー以降、その仕事選びには母親である工藤の意向が強く反映されているとされてきた。
モデルとして海外ハイブランドの広告に抜擢され、2018年には映画未経験ながら『エル ガール ライジングスター賞』を受賞。その後、いきなり主演として起用された22年公開のホラー映画『牛首村』に続き、今回の『女神降臨』でも主演を務めているが、2世タレントの中でも、ここまで“準備万端”な状態でデビューした例は稀といえるだろう。
しかし、2作の主演作で“微妙”な評価を受けてしまったようだ。特に『女神降臨』については、原作ファンや若い女性層からの賛否が分かれており、作品のテーマ設定と主演の適性に食い違いがあるという指摘も多い。
映画ライターは次のように語る。
「主人公は、ニキビなどのコンプレックスを抱える地味な女子高生で、メイクを通じて“女神級”の美しさを手に入れるという設定です。しかし、最初から顔立ちもスタイルも整っているKoki,が演じることで、“そりゃ綺麗になるわ”としか思えない。説得力がないうえに、ブサイクメイクで“醜さ”を演出する手法が逆に差別的な印象すら与えてしまっています」
実際、SNS上ではKoki,のルックスをホメ称える声が上がる一方で、一部の観客からは「ニキビがある子はダメって言ってるみたい」といった辛らつな感想も見受けられる。
「毛色が似ている上白石萌音主演のドラマ『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(TBS系)では、地味で自信のないヒロインが努力を重ねて自己肯定感を得る姿が丁寧に描かれていました。でも、『女神降臨』ではわざわざ“ブサイクメイク”を施したうえで、『すっぴん=劣っている』というストレートな描写が繰り返される。今の時代の感覚からズレている印象は否めません」(同映画ライター)
そんな中、Koki,は今年3月17日の「アジア・フィルム・アワード」で「Rising Star Award」を受賞。これ自体は国際的な新人評価として価値あるものだが、実際の演技や作品がそれに見合っているかという点では賛否が割れたものだった。
「今作も、目を大きく見開いたり、口を大げさに開ける“顔芸”の延長のような演技が目立ちました。ホラー映画『牛首村』でも同じ印象を受けたのですが、感情の幅がまだ狭いですね。ただ、表情の華やかさやスクリーン映えするオーラはさすがというべきでしょう」(前出の映画ライター)
もっとも、芸能ジャーナリストの竹下光氏はこう語る。
「Koki,さんに関しては国内映画では2作連続での主演となりましたが、海外作品ではアイスランド映画『TOUCH/タッチ』やイギリス映画の『Tornado』などにも出演していますからね。『TOUCH/タッチ』では主人公・クリストファーの50年前の恋人役を好演し、繊細な演技が業界内でも高い評価を受けています。『牛首村』は驚きや恐怖などの感情をよりストレートに表現することが求められる場面がふんだんに盛り込まれているホラー作品ですし、『女神降臨』も漫画原作の実写化作品ということで一見大げさに見えるような演技が多いのも仕方のない部分はあるかと思いますけどね」
とはいえ、『女神降臨』だけでなく、『牛首村』も321館という大規模公開だったにもかかわらず、最終興行収入は約5.6億円といさかか“物足りない”数字に終わっているのも事実だ。
芸能事務所のベテランマネジャーはこう話す。
「工藤さんの“誤算”は、Koki,をいきなり完成品として売り出そうとしたことではないでしょうか。プロモーションも出演作の規模も、すべてが“スター前提”で組まれており、女優としての育成期間をすっ飛ばしてしまった印象が強い。普通は、脇役や助演を重ねて徐々にステップアップしていくもの。演技力や現場での経験を積むことで、“顔”ではなく“演技”で勝負できるようになる。最初から主演にこだわった工藤の過保護な育て方が、本人の足かせになってしまっているように感じます」
5月1日には『女神降臨』の後編の『After プロポーズ編』が公開されるが、前編の評価がこれだけ低調であれば続編での巻き返しは至難の業だろう。プロデューサーの工藤が描いたKoki ,の“完璧なロードマップ”は、大幅な修正を余儀なくされそうである。
(取材・文=サイゾーオンライン編集部)