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大阪の劇場で一番ウケている豪快キャプテンは「第2のバッテリィズ」になれるのか

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イメージ画像(写真:Getty Imagesより)

 バッテリィズの勢いが止まらない。

 『M-1グランプリ2024』準優勝以降、日清「カップヌードル」、サントリー「伊右衛門」など大企業の商品CMに次々と出演。4月21日より全国でオンエアがスタートしたサントリー「オールフリー」のCMではハンモックに寝ている大物女優・原田知世の顔にボケ役のエースが落書きをするほどまでに“大出世”。

 3月29日放送『オールスター感謝祭’25春』(TBS系)でも、俳優と芸人がタッグでチャレンジする「爆走!フリースロー」企画で、エースが永野芽郁と組むことになり、MCの今田耕司から「エース、良かったなあ! お前、すごい」と驚きの声。1年前のその頃は中華弁当を運ぶバイトをしていたというのだから、まさに“M-1ドリーム”を掴んだと言って良い。これらの活躍ぶりから「実質『M-1』優勝」の声もあがっている。

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バッテリィズの強さの秘密

 一方、ネタを制作するなど同コンビの頭脳でもある寺家の評価も抜群だ。本来であれば、今の時期はアホキャラのエースばかりに注目が集まるはずが、寺家があまりに有能であるからか、早くも彼のターンがくる状況に。たとえば同じく『M-1』準優勝(2008年)のオードリーの場合、春日俊彰の特異なキャラがまず広がり切って、それから若林正恭の実力に脚光が浴び始めた。しかしバッテリィズに関しては、分かりやすいキャラ系のエースと玄人受けの寺家の両方が一気に売れる珍しい現象となっている。バラエティ番組『見取り図じゃん』(テレビ朝日系)の企画「大きな声では言えないけど小さい声なら言える会」でも、オズワルドの伊藤俊介が、寺家にスポットライトが当たるのが早すぎるのではないかと分析したくらいだ。

 そんなバッテリィズだが、肝心のネタの方もさらなる発展を遂げている。筆者は4月12日開催『第60回上方漫才大賞』を取材したが、そこでバッテリィズは新人賞候補としてネタを披露。2024年の『M-1』で多くの人に手の内がバレたが、しかしそれを認めた上でなのか、これまでの漫才のフォーマットをアップグレードさせ、別の角度からエースのアホさを引き出しながら、寺家の躍動も目立つ圧巻のパフォーマンスを見せた。僅差で新人賞を逃したものの、2025年『M-1』決勝をしっかり見越したような完成度の高いネタに仕上がっていた。

今、大阪の劇場で一番ウケているコンビ

 『第60回上方漫才大賞』でそんなバッテリィズを倒したのが、2019年結成の豪快キャプテンだ。メンバーは、金髪で飄々としているべーやんと、見た目がとにかく濃い山下ギャンブルゴリラ。ネタの多くは、べーやんのなんでもない一言や願望などに対し、ギャンゴリ(山下の愛称)が怒気をまじえながら持論や暴論をぶつけていくうちに、自分でも何を言っているか分からなくなって混乱をきわめていく「説教漫才」。

 『M-1』では2023年、2024年に準決勝へ進出したが、全国的な知名度はまだほとんどない。ただ、関西ではメディア露出も増加中。ギャンゴリの暑苦しくも愛らしいキャラクターが親しまれている。またべーやんも、ライブでなんの前触れもなく結婚していたこと、そして子どもまでいることを告白するなど、空気が読めないところがおもしろい。

 4月13日放送『マルコポロリ!』の企画「仲間たちが激白!さや香の“問題児”はどっち?SP」に、さや香・新山の軍団員としてギャンゴリが出演した際も、共演のダブルヒガシが「今、劇場で一番ウケているのが豪快キャプテン」と明かし、司会の東野幸治の耳にも「『M-1』決勝に行くんじゃないか(と噂されている)」とその実力が届いているとされていた。実際に筆者が劇場へ豪快キャプテンのネタを見にいっても、毎回、爆発的なウケが起きている。

今年の『M-1』で一気に全国区に?

 そのように劇場ではバカウケしているが、大半の座席が女性ファンで埋まる大阪・よしもと漫才劇場の客人気は低め。『第60回上方漫才大賞』新人賞受賞後、べーやんが「全然人気ないのに」と言えば、ギャンゴリも「僕らみたいなもんは賞は獲れないと思っていました」と謙遜。さらに賞終了後の記者会見でも「でも僕ら、この前のバトルライブも7位でしたから」と、観客投票で順位が決まる劇場でのバトルライブでは結果が出ないことをどこか申し訳なさそうな表情で振り返っていた。

 それでも2024年『M-1』準優勝のバッテリィズをおさえて関西の名物賞レースを制したという結果だけを見ると、豪快キャプテンは現状、若手漫才師ランキングの“暫定1位”みたいなものではないだろうか。

 ちなみに『M-1』では、休止をはさんで再開した初年度の2015年大会こそトレンディエンジェルが優勝をさらったものの、2016年は銀シャリ、2017年はとろサーモン、2018年は霜降り明星、2019年はミルクボーイと“大阪勢”が4年連続優勝。とろサーモンは2010年に拠点を東京へ移しているが、お笑いファンにとっては大阪色が強い。

 ところが2020年以降のチャンピオンは、マヂカルラブリー、錦鯉、ウエストランド、令和ロマンといずれも東京勢。2019年のミルクボーイから実に5大会も戴冠から遠のいている。そのため大阪勢としては「なんとしてでもこのあたりで」という気持ちが強いはず。バッテリィズも4月より東京で活動していることから、大阪のエースは間違いなく豪快キャプテンと言える。

 まだ全国規模で“身バレ”してないため、初見の衝撃度も相当なはず。2025年こそ、豪快キャプテンにとっては最大のチャンスであり、勝負イヤーでもある。ここで結果を残せば、バッテリィズのように一気にブレークするのではないだろうか。

(文=田辺ユウキ)

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田辺ユウキ

大阪を拠点に芸能ライターとして活動。映画、アイドル、テレビ、お笑いなど地上から地下まで幅広く考察。

X:@tanabe_yuuki

最終更新:2025/05/05 09:00